前回まで、空力、巡行、スプリント、ハンドリングと様々な角度から4つのホイールを考えて来たが、結論である「自分で買って、実戦で使用するならどのホイールを選ぶのか?」を決めて行きたいと思う。その前に、4つのホイールについて、小笠原の意見を改めて聞いてみよう。

まずLightWeight OberMayer
「作り、軽さどれを取っても至高の一品。踏み出しの初速から50km/hを越えるまで
引っ掛かるポイントが無く同じ加速がずっと続いている感覚。前後輪の剛性バランスが良くベルトで前後輪が繋がっているかのように安定して回転した。ただ、横風が吹くと直進性が強すぎる為かハンドルを持っていかれる傾向があった、十分に慣れてからレースで使用してほしい」

Bontrager Aeolus9.0
「ググッと踏みこんでの加速が必要だったが40km/hを越えてからの伸びと維持はリムハイトの通り。足を止めてもこのままずっとスピードを維持できそうだと錯覚してしまった。4本中リムが一番高いが横風の影響は、空力設計が活きているのか気にならない程度。ホイール自体の重さと慣性の強さからかハンドリングは重めだがTTのようなレースで多少風が吹くコンディションでも迷わず選択できる1本」

Mavic Cosmic Carbon Ultimate
「空力性能の到達速度だけを見ると低い数字が出ているが、全速度域での踏み出しの剛性感が高く、 昨今のカーボンフレームとのマッチングを非常に大切にして設計されている事が良く分る。 リムハイトからくるであろう慣性の低さは空力よりもコントロール性に振っているように感じる。個人TTよりも集団内で自在に動き回り、山岳でアタックを決め平地も巡航しやすい仕上がりだった。」

Campagnolo BORA Ultra two
「セラミックベアリング独特のスルスルと回っていく感覚とホイール全体の剛性がややズレている感触がした。セラミックベアリングの性能を100%引き出そうとするならばリム部分の剛性アップが必要。しかし長年プロレースで求められてきたボーラ、40km/hを超えた辺りからの安定感は特筆モノ。この安定感とは横風や路面の凹凸を受けての速度変化が少なく減速しにくかった。この4本の中で一番乗り心地が良いホイールでもあった」

プロの意見としての結論の前に、自分のホビーライダーとしてツールド沖縄210km、アイアンマンに出る時に選ぶホイールを述べるなら、前者はBORA、後者はアイオロスだ。理由はやはり、金属スポークとニップルのコンベンショナルなメンテナンス可能な組み合わせ。ライトウェイトをホビーレースで使用している選手は多数居るし、例えば筧五郎さんのライトウェイトが壊れた。なんて話は聞いていない。という事は、普通に使っている限りは十二分な耐久性を持っている事は明らかなのだが、そこに潜むのはやはり集団落車の危険性。
BORAならリム単体で手に入るし、G3とラジアル組みの触れとりは簡単ではないが少なくとも可能。今回のテストで、確かに上の2つのホイールとの登坂性能での差は少なくないという事が解ったが、総合的に安心して普段のライディングから使って行けるホイール。という事になるとやはりBORAを選ぶ。
一方でアイアンマンとなると話は別だ。空力性能がモノを言う世界。ココは空力最強の数値を出したアイオロスだろう。クリンチャー仕様ならではの遠征時の利便性やレース時にチューブラータイヤをくくりつけて走らなくて良い利便性という意味でもアイオロスの圧勝。プロではなくて趣味だからこそ、レースで楽よりもレースの準備まで含めて楽。という所がポイントだ。アイアンマンもロードレースも。というのであれば、前輪だけが入手可能なので、5.0の前輪だけを買っておくという考え方が出来るのもまた良い。ちなみに、アイオロスは落車による破損の際も期限なしで安価に同等品に交換してくれるのも選択肢に入れた理由の一つだ。

一方で、人生を掛けたプロレースとして選ぶならどのホイールだろうか。小笠原はこう語る。まずアイアンマン。「後輪にはリムハイトの高いモデルを持ってきたい、なので、アイオロスの9.0。ボーラの60mmは選択肢にないが、最近出たボーラの80㎜なら考えられない事も無い。前輪は気象条件にもよるが風が無ければ後輪と同じリムハイト、風があればアイオロス9.0よりはボーラが有利だろう。180㎞の距離を風に煽られないよう神経使いながら走るのは物凄く疲れる。故に、風のあるコンディションではアイオロスの50㎜との組み合わせも選択肢に入ってくる。」

ツールド沖縄で使うなら、「沖縄といわず、登り下りのあるロードレースだったら前輪にコスミック、後輪にオベマイヤで決まり!前後に違うブランドのホイールという反則技だが、コスミックの風に影響されないコントロールのしやすさとオベマイヤの軽さとトルク伝達性能を合わせるとどのコース、気象条件でも使えるオールラウンドの究極ホイールセットとなれる。この組み合わせが、目下最強のホイールセットだろう。」

今回の結論はこのようになったが、世界にはまだENVE CompositやMAD FIBER、CORIMA、EASTON、Reynolds、ZIPP、Fulcrumと言った同じカテゴリーの商品をラインナップするブランドが多数存在する。ホイールブランドのトップ4の旗艦モデルという事で、今回はこのラインナップで比べてみたが果たして他のブランド達はどのような成績を出すのだろうか?機会をみてこれらのホイールとも比べてみたいと思う。
 
 

文:Kenji Nanba、小笠原崇裕