SHIMANO Ultegra Di2の発売時期が刻一刻を迫っている。SHIMANOより遥か先にプロトタイプを発表しておきながら一向にして市販出来ないでいるCampagnoloに対して、7970DURA-ACE Di2に続く2段階目のロードバイク用電動コンポーネント、Ultegra Di2。今回は、その最終型のプロトタイプに触る事が出来たので少しレポートしておきたい。
シマノの内部関係者によれば、「今、まさに量産が始まろうとしている段階で、1週間の単位でかなりの製品が出来上がってくる。」というUltegra Di2。完成車メーカーからのオーダーが当初の予定の数倍入っており、生産ラインはフル回転が予定されていると言う。そんなUltegra Di2の量産前プロトタイプの仕上がりは、量産品と言われてもなんの違和感もないコスメティックの仕上がりであった。
まず、STIのブレーキレバー。DURA-ACEやワイヤー式ULTEGRAではカーボンだったが、ULTEGRA Di2ではコストの問題でアルミニウム製となると報じられている。既に存在しているカーボンレバーを敢えてアルミニウム製に変更した所で、ユーザーをガッカリさせる点を差し引いた上で利益があるのかどうかは甚だ謎だが、そこはSHIMANOは生産コスト管理に厳しい日本の大企業である。
が、今回触ったプロトタイプを見る限りは見た目上のショボさは全然ない。入念に塗装が施されているのでアルミかカーボンなのか見た目でもちょっと触っただけでも全然解らない。というか、そこまで考えて実物を見ていなかったので今考えてみるとあのレバーはプロトタイプだからカーボンだったんじゃないか?と思うぐらいの仕上がり。ブラケットはDURA-ACE Di2同様に、ワイヤー式の現行STIの握っているだけで痛くなるアウターワイヤーを通す為の脹らみがなく、スリムで握り易いサイズとなっている。これなら全然OK。シフトレバー、というかシフトスイッチのタッチ自体はDURA-ACEと全く同じ。目を閉じて触ると解らないというか恐らくスプリングやスイッチまで含めて全く同じ。これについてはプロトタイプなので、DURA-ACEのスイッチ部品であった可能性があるので量産品の仕上がりを見てみないと正確な話は出来ないが、恐らく同じと思われる。

前後ディレーラーのモーター部分については、DURA-ACEよりもサイズが一回り大きく見た目にモッサリとした印象を与えるが、最近のカーボンフレームと組み合わせるのであればフレーム自体のボリュームもある為デザイン的にそんなに違和感は無いと思う。一方で、スチールフレームと組み合わせる人が居るのかどうか解らないが、もしそういう酔狂な人が居るなら、迷わずDURA-ACEと組み合わせた方が良い。サイズ的にはそのくらいのサイズ。DURA-ACE 7970 Di2の非常に「お求めにくい」値段の理由が、専用開発のモーターの値段にあると一説には言われているが、Ultegraを出してくるに当たってモーターのサイズが一回り大きくなっている辺りは、噂は本当だったのかもしれない。と筆者は考える。この辺りは、シマノの開発者と話す機会があったら聞いてみたい。

残念ながらサドルには跨がらせて貰えなかったが、気になる変速性能はメンテナンススタンドの上で回した印象では、「DURA-ACEと目を閉じて乗っても解らない。」と言うのはちょっと大げさ過ぎる表現だろうと感じた。具体的に表現するなら7900DURA-ACEから7970DURA-ACE Di2の差と同じような差がULTEGRAでも見られる。フロントの変速性能は流石Di2。の域。逆立ちしてもワイヤー引きでは追いつけない性能となっている。今回触ったプロトタイプには社外品のチェーンリングが付いていたが、変速性能は上々。7970 DURA-ACEでも味わえる、あのチュイーンと変わる滑らかな変速がメンテスタンドで回しただけでも感じられる。一方で、モーターの作動速度は、感覚値ではDURA-ACEより1割程遅いように感じられたが、この辺りは実際に発売されてから、DURA-ACEと計測して比べてみないと正確な事は言えない。なんと言っても、これは量産前プロトタイプボディの裏にも、堂々とPROTO TYPEと刻印が入っていた。正確な評価など出来る訳も無いが、少なくともULTEGRA Di2の実力の片鱗を見る事は出来た気がする。

7970 Di2を使って来た印象では、電動コンポーネントの是非はともかくとして、そのアドバンテージは明らかである。敢えてワイヤー式に拘る行動は、10年後には金属フレーム懐古主義と同じ存在になるであろう事は間違いない。また、個人的には電動コンポーネントの良さはコネクタの取り外しで簡単にリアディレーラーを脱着出来る点で、チェーンをミッシングリンクにしておけば飛行機輪行などの際の、組み立て調整の手間が半分ぐらいに減る点であると思う。そういった意味でも、DURA-ACEに比べると手軽に使えるULTEGRA Di2のデビューはウェルカムだ。量産品が出回ったタイミングでもう少し詳しくテストしてみたいと思う。

ULTEGRA Di2とDURA-ACE Di2の比較特集を掲載しています。
 
 

report: Kenji Nanba