SHIMANO デュラテグラ Di2。前代未聞のその実力。

デュラテグラ。もちろんそんな名前のコンポーネントは存在する訳もなく、DURA-ACEとULTEGRAのミックスコンポの俗称だ。今回は、ULTEGRA Di2トークバトルでも話題になっていたデュラテグラDi2の実験結果を紹介する。
そもそも、Ultegra Di2とDURA-ACE Di2のフルコンポでは国内実勢価格で20万円にも達しようかというどうしようもない壁がある。値段の原因はDURA-ACEのDi2部分の高価さにあるのだが、果たしてメカニカル部分にDURA-ACEを、電動部分にULTEGRAを採用する事で価格は凡そその中間点の電動コンポーネントとなるのだが、その価格ヒエラルキーに見合った性能を引き出す事が出来るのか?それがデュラテグラDi2の狙いである。Di2比較試乗トークバトルの既読を前提とする実装結果なので、まだお読みでない方は先にトークバトルをお読み頂きたい。

今回の装備は、チェーンセット、ブレーキキャリパー、チェーン、スプロケットにDURA-ACEを、その他にULTEGRAを装着した上で、アルミホイール(SHIMANO WH-7900 C24クリンチャー)とカーボンホイール(Easton EC90 SLX)の双方で走行して印象を探った。フレームは前回と同じCANYON AEROADだ。

この仕様でのデュラテグラDi2には見た目が一見さんには「DURA-ACE Di2いいねぇ」と言われてしまう程、パッと見7970Di2だ。シフトレバーは正面から文字を眺めない限りパッと見DURA-ACEと同じような形状(詳しく見ると全然違うが)だし、ULTEGRAもDURA-ACEもDi2は流通量が少なく余り見慣れていない上にクランクとブレーキがDURA-ACEなので言わない限り誰もミックスコンポだと気がつかなかった。そういう意味で見た目のアップデート度合いとしてはこれはアリだし、実際ULTEGRAがついていると解って見ても全然悪くない。むしろ良い。問題は乗ってどうなのかだ。

チェーンセット。この組み合わせは正直言って無い。どうしてそうなるのかは解らないが、明らかに設計段階で意図的に本来の性能が発揮されないように設計したとしか思えない程、DURA-ACE FC-7900がアルテグラになってしまう。正確にはアルテグラクランクよりも変速性能(ギアの載りの良さ)に関しては若干上がる物の、むしろデュラエースに我々が期待したいあの滑らかなアップシフトのリニアさが完全に消えてしまう。剛性、重量、仕上げの点でデュラエースだが、肝心の変速性能が発揮されないのでは大枚を叩いてチェーンセットをこれにする意味はあまり無いだろう。

一方でブレーキ。これはデュラエースのキャリパーにアルテグラのレバーという期待値程度の性能は当然出るが、果たしてデュラエースにする意味がそこまであるのか?と言われるとアルテグラのブレーキの完成度も決して悪い訳ではないので飛躍的な向上とは言いがたい。マッチングとしてはトークバトルでも話にある通りデュラエースキャリパー+レバーの組み合わせにある高級感のあるレバー作動とタッチは、アルテグラレバーでは感じられない。むしろ鍛造ボディのキャリパーとカーボンレバーの剛性バランス、レバーのリターンスプリングの重さまでデュラエースはキチンと計算してあるのだと改めて感心させられた。同時にそこまで出来るのなら、何故に紐デュラエースのブレーキレバーの作動感はあのようになってしまったのか?という疑問も出てきてしまう。まとめると、悪くはないがオススメもしない組み合わせ。という事になる。

スプロケットとチェーンについては、トークバトルでも述べている通り私は太鼓判を押してオススメする。

よって、デュラテグラDi2は選択肢としてあまりオススメ出来ない。Di2を新規に買うなら、お手頃価格でDi2なアルテグラDi2か、高くても至高のデュラエースDi2か。この選択肢しかないだろう。繰り返しになるが、アルテグラDi2を選択するなら予算が許せばスプロケットとチェーンはデュラエースにした方が良い。デュラテグラDi2はスプロケとチェーンだけ。これが結論だ。
では、デュラエース電動メカにアルテグラセットを組み合わせたアルエースはどうなのだろうか?ひょっとするとコレが本命なのかもしれない。次回はそれを試してみたい。
 
 

report:Kenji Nanba
photo:The Bike Journal
date:2012.2.2