レースで使うR.V.CARBON XT

オンロードを走った時の軽さがオフロードに入ると消えてしまうバイクが多々ある。その要因としてバックが跳ねる、ヘッド周囲が弱くて左右にブレる、BB周囲が硬すぎる等の原因があるが、このR.V.CARBONはロードの軽さをオフロードでもそのまま感じられるものだった。
レースではマイペースというものが存在しない世界、強制的な急ブレーキ後のダッシュを幾度と繰り返しながら進む中で、反応性というものは非常に重要となってくるが、これがBB周囲の硬さによって反応性を高めているフレームだと荒れたオフロードではウィップが戻ってくる時の足への当たりが強くて強靭な筋力がなければ当たり負けてしまう。R.V.CARBONはトップチューブが弓形でフレーム全体がサスペンションのような効果があるのと同時に、BB周囲を硬くして反応性を高めているものではなく、適度なしなりがあり、BB周囲の捩れが大きくなっていくのと同時に硬さが出てくるコシのようなものがある。

路面が一定で綺麗な登りではペダリングのリズムも一定でスピンをしているかのような状態だが、木の根が多くありリズムが取れない登りでは1つの登りの中でも何度も加速している状態になる、この場合の加速ではハンドルの真上に重心を持ってきてダンシングで加速する事が多く、重心が前にいっているので後輪のトラクションが抜けてしまう事もあるがR.V.CARBONは見た目のゴツさより想像以上に路面を追従していた。これも弓形のフレームがもたらしているものと思われる、先程も出てきたサスペンションの効果が路面にタイヤを押し付ける方向にも効いているのだろう。
Jシリーズでよく見かける26インチのハードテールバイクと比べて木の根を越える際にバイクの跳ねが少なく、29インチまでとはいわないが、タイヤのサイズを1.95から2.1に太くした程の乗り心地の良さとトラクションが感じられた。
フォークのアッセンブルからしてかなり玄人向けのバイクである。バイクを自らコントロールできるテクニックがあってやっと速く走る事が出来るバイクだと感じる。というのも、ヘッド周りのブレ知らずな高い剛性にバネ下が物凄く軽いDTのフォークによってハンドリングがスカスカのように軽い、それこそタイヤの接地感が薄くなってしまっているほどに浮いた感じがある。
下りでしっかりと前輪に加重してフロントブレーキをガツンとかけてタイヤのサイドノブを綺麗に押し当ててグリップさせるような乗り方が求められる。その為には腰砕けにならないホイールが必要であり、軽量ばかりを謳うホイールでは不釣合いだ。慣性を殺さないように流れるような走りを出来るライダーには武器になるバイクだが、プッシュや抜重が上手くできないライダーにはフレームの塊感が強すぎるかもしれない。もう少し全体的に剛性を落とし、緩く作るとスポーツクラス程のライダーでも「扱いやすいバイク」と感じられるだろうか。
レースではタイヤにIRCミトスXC2.25サイズを使用しているが、この手の塊感が強いバイクにはタイヤに太いものを選ぶとバイクが持つ性能を十二分に発揮できる。軽量なだけのホイールが合わないのと同じく、タイヤにも良いマッチングが求められるバイクであるというのは、それ相応の乗り手のレベルをバイクが求めてくる、それを良いと取るか悪いと取るかは個々の考えによって違うが、ハイエンドのレースバイクにも「没個性」な万人向けバイクよりも、速く走るためにクセがあるバイクが私は好きだ。
 
 

report:小笠原崇裕
photo:The Bike Journal
date:12.6.19