Crank Brothers Joplin 4r

愛好家にとっては今更感が否めないが、まだまだその存在を知らないライダーも多いようなので通称如意棒ことアジャスタブルシートポストを紹介する。アジャスタブルシートポストとはトレイルライディング時に、手元のレバーもしくはリモートレバーによってシートポスト長を任意の長さに調整出来るシートポスト。

今回紹介するCrankBrothersのJouplin 4rは、既に上位モデルの新型Kronologが発売されているがその登場まではアジャスタブルシートポストの定番として君臨して来たモデル。

所謂160mmクラスのサスペンションを装備したエンデューロカテゴリーや、140mmクラスのオールマウンテンカテゴリーではアメリカンブランドのバイクに一部のモデルで標準搭載されており、実際アメリカに行くと装着しているライダーはかなり多い。が、問題は我々が住んでいるのは日本。

ご存知の通り160mmのバイクでダラダラとした数百メートル級の山をズドーンと登って、シートを下げてズドーンと下るようなトレイルは残念ながらあまり、無い。日本のトレイルの条件で、かつ100mm-120mmトラベルのバイクでアジャスタブルシートポストが果たして必要なのかを考えてみたい。

先に答えを言ってしまうと、ライダー好み次第だが試してみる価値はある。という結論になるだろうか。レバーを押して伸びきった状態を通常のXCポジションのサドル高に設定しておく事で、ヒルクライム・巡航では当然ながら普通のシートポストでポジションを出した状態とまったく変わりなく走れるが、里山のトレイルライディングで尾根道を走りながらドロップオフが出て来た時に止まる事もスピードを落とす事も無くシート高を100mm(Joplin4の場合)落とせるストレスフリー度合いは、携帯電話の充電が非接触になったぐらいの衝撃だ。

複数人で走る事の多いトレイルでは、難しいセクションの度に止まってシートポストを下げていては、ペースを乱すようでちょっと気が引けるし、それ故にちょっとした登り返しに入ってもシートポストを上げずに走って足がパンパン。更に遠慮してシートポストを下げずに下ったら岩でリアが跳ねてサドルで股間を強打という展開から、アジャスタブルシートポストがあればオサラバ出来る。

ちなみにこういったストレスフリー度を実現するには、シートポスト側のレバーで操作するタイプより、このJoplin 4rのようなリモートタイプの方が圧倒的に良い。コロラドのトレイルみたいにズドーンと登って頂上で一旦降りて息を整えてから下るような条件ではリモート無しでも良いかもしれないが、日本のトレイルのようにちょこまかとアップダウンを繰り返すような条件で使うなら圧倒的にリモートタイプだろう。尾根道のアップダウンで、シートポスト長が自由自在というのは、誰と走っても「それイイネ!」と言われる。

特に、サドルを下げる程でもないガレ場で、勢い余ってラインを誤って足で路面を蹴って安定させたいような状態で瞬時にレバー操作でサドル高を下げられる事は日本のトレイルではその最大のメリットとも言える。

伸び縮みの構造は、単純に言って、フロントフォークのロックアウト状態でトラベルが可変させられるモデルに近い。伸びきった状態でレバーを触っていなければサドルは上下方向には完全に固定されるが、構造上の問題か左右には本当に少しだけカタカタと動く。神経質な人はこの動きが気になるだろうが、個人的には停車してサドルを触ると気になるが、走っている時はまったく気にならない程度。

重量は決して無視出来ない。Joplinだとその重量は約600g。通常のカーボンシートポストと比べて、凡そ350g程重い。回転部やバネ下が重い訳ではないので実際あまり気にはならないが、ちょっと残念な重量ではある。

シートポスト自体の突き出し量もフレームによっては問題になってくる。普通のカーボンポストと異なって、シートチューブが湾曲しているバイクの場合にカットする事が出来ない(ポストの下部にエアチャンバーが入っている為)ので、フレームによっては突き出し量もしくは差し込み量が足りずにシートポストが伸びきった状態では適正サドル高より高くなってしまう事があるからだ。
Joplinの場合はアジャスタブル幅は100mmなので、補機類部分を含めるとミニマムのシートポストの突き出し量が150mm程度必要となる。またこの状態では全体の長さが400mmなのでフレームに250mmはシートポストを差し込む必要があるので、装着フレームを選ぶのは最大の問題だ。(例えば写真のバイクの場合、若干シートチューブが湾曲しているのでチューブにピラーが接触する一番下までシートポストを差し込んでも伸びきった状態のサドル高が700mmになってしまう。)ただし、最近は120mm級でも如意棒が標準装備になっているモデルも多くメーカーもその事は把握しているようで、例えば最新のFuel EXではシートチューブがストレートかつ、如意棒標準装備(一部グレード)かつリモートケーブルはフレーム内装となっている。

日本で走る場合はどんなバイクにオススメかというと、やはり120mm級のフルサス、もしくは100mm級のフルサス。一方でハードテイルでは26、29とも好みによって装着しても良いが、色々試してみた結果個人的には要らないというのが結論。120mm級のバイク程限界が高い訳でもなく条件によってはサドルを股に当ててバイクを安定させたい事もあるし、やはりハードテイルならその軽量さを最大限に享受したいからだ。

まとめると、差し込み量さえマッチすればフルサス愛好家は一度は試してみるべきアイテムと言える。個人的な意見ではフロントフォークのロックアウトとアジャスタブルポストのどちらかを選択しろと言われたら、こちらを選択したい。そのくらいに気に入っている。一方で問題は重量だが最新フラッグシップモデルのKronologを見たら公称465gと書いてあるので、気になる人はこちらを選ぶべきかもしれない。
 
 

report:Kenji Nanba
photo:The Bike Journal
date:12.10.22