「すぐ読めるMERIDA 2013注目モデル斜め乗り」特集 vol.5

難波 - ついでにどうぞと言う事で、安いグレードのフレームを採用したSCULTURA EVO 903に乗ってみた。THE BIKE JOURNALは知っての通りエントリー・ミドルグレードは取り上げないんだけど、このバイクについては一言言っておきたい。

SCULTURAには3種類のフレームがあって、その3つともにMY13で同時にフルモデルチェンジとなった。で、このEVO 903に採用されるフレームは基本的な金型はSCULTURA SLと同じだけど、カーボンのグレードを下げて作ったエントリーグレード。ちなみに、中間グレードはSCULTURA PRO、この903に採用されるのはCOMPという。バイク名はEVOだけどフレーム名はCOMP。解りにくい。
SCULTURA COMPフレームにはBB386EVOが装着されないとか、MERIDAの神髄とも言えるチューブ内のリブが入ってないなどカタチこそ似ているが中身は変わっている。

小笠原 - 安いんだから変わっていない方がおかしい。

難波 - で、903に乗ると?

小笠原 - 値段の話はそもそもしないんだけど、エントリーバイクを語るんだったら値段の話は外せないので語る。18万円でこれが手に入るって言うのはもはや何かオカシイ。驚異的に走る。
パーツ構成を見ると、50サイズで8.4kg、文鎮ですかというパーツしかついていないんだけど、乗ると進むのよ。

難波 - ホイールなんぞ、シマノR500ですよ。

小笠原 - フレームの剛性バランスのとりかたなんかも、ちゃんと解って開発している感が強く感じられる。安いバイクだと、あからさまに適当に作りました感が感じられるバイクもまだまだ存在していて、コーナーに突っ込んで行くと限界の手前の所でやっぱ危ういし、広報車で転けたら大変なのでやっぱ辞めとこ。となるんだけど、このバイクはそういう危うさがない。フレーム自体の剛性バランスなんかの素性が凄く良く出来ている。

難波 - ヒラヒラと軽々登るとかそういうのはないけど、確かにバランスはいい。流石に世界2位だけあってボリュームゾーンの出荷台数は半端ないだろうから、やっぱ量産効果でコストが下がるのか?とかいらない事を考えてしまうぐらいのレベル。
例えばの話、来年MERIDAジャパンプロチームなんてのが仮(注:単なる仮定の話です)に出来て招聘されたとして、喜んでサインしたら与えられたフレームがこれだったとする。プロとはいえ、それでレース走れるか?そういう質問してみてもいい?

小笠原 - それでチームに入って、優勝狙ってエースでというんだったら答えはノー。SLの方が明らかに走るから。その差はやはり歴然。
でも1年目はアシストなんで風除けになってサポートカーにボトル取りに行ってと完全にチームの中のアシストと割り切って走るんだったら、別にこれで不満はない。SLの方が乗り心地良いけど。

難波 - ヒルクライムのここ一発でドカーンとか、スプリントでドカーンじゃなくて黙々淡々と集団の中で仕事するんだったらOKと。

小笠原 - それでも、これには乗りたくないよっていうフレームは沢山あるけど、SCULTURA EVO 903のフレームは例えばヘッドの剛性だとか、ハンドリングの安定感だとか、不満と言う不満がこれと言ってない。上を見たらそれはキリがないけど、与えられたのがこれなんだったら文句言わずに乗る。ただし、ホイールだけは良いのが欲しい。
一方、ヒルクライムレースだともうちょっと軽いのが欲しいかな。重量も、踏み味も。

難波 - 意外に見逃せないのが、このフレーム自体、Di2に最初から対応している。なのでステップアップのベースとして考えると、まず最初の1台に903買って3,000km乗って、軽いホイール買って、走り込んでいるうちにポジションが気になり出して、ハンドル・ピラー・サドルをカッコいいカーボンのに換えつつ自分仕様に合わせて、耐久レース出て、やっぱワイヤー式じゃ7時間、8時間のレースは疲れるので最後にDi2買ってと、真っ当に順を追って1、2年で楽しめるバイクだと思う。
それで行くとこまで行って最後に最高級ラインのフレームを買って一丁上がり。というロードレーサー人生、最初の人に奨めるならアリかな。と。

小笠原 - 確かにそのベースとしてはお勧め出来る。フレーム単体よりも完成車の値段がヤバいよ。特にTiagraがついているグレード。901。フルカーボンで、店頭で買って、色々相談に乗ってくれてメンテもしてくれてこの値段だからね。。。色は903の方が好きだけど。

難波 - ホンマか?と疑う暇があったら、一度乗ってみて欲しい。
これが良かったのでついでにと言う事で中間グレードのフレーム、SCULTURA PROを採用したSCULTURA PRO 907-Eにもちょっとだけ乗ってみた。せっかく乗ったので紹介してみるけど、これは?

小笠原 - これはねー。松竹梅の作り分けの上手さを感じるというか・・。

難波 - 903のフレームよりは明らかに一回り走りが軽いし、走りの質感も高い。でも・・・。

小笠原 - 競合が多すぎるんだよね。このカテゴリー。

難波 - 中間グレードのフレームにアルテグラDi2がついて、そこそこのホイール履いてというと、競合の売れ筋トップブランドがこぞって参入している。例えばキャノンデールとかスペシャライズドとかトレックとか。その辺と比べると44万9千円のプライスだと、アピールに欠けるというか。

小笠原 - モノ自体は勝負出来るレベルなんだけど、個性、アピールって言う意味では確かに弱い。じっくりとスペックを眺めると、ハンドル、ステム、シートピラーがすべてカーボンだったりして、アッセンブルにはこだわっているんだけど。手持ちの予算は完全に限られていて、走りを突き詰めたい。買ったあとにパーツ付け替えたりしませんって言うんだったら、お勧め出来る。

難波 - あとSLに比べるとハンドリングがマイルドなので、乗り比べたらこっちが気に入ると言う人は居るのかもしれない。

小笠原 - これに比べるとSLは軽過ぎるのもあってちょっとピーキーなハンドリングをする。例えば下りで路面にウネりがあってラインをフッと変える時に思った以上にラインが変わっちゃう。乗り馴れたり、プロや上級者なら自分の中で補正出来るからそれで問題ないんだけど、あっちよりも907の方がニュートラルなハンドリングなので「走って安心」と感じる人も居ると思う。

難波 - ヒルクライム、スプリントでも踏み始めから加速して行く907に比べて、SLはワンテンポ遅れてビヨン(ビヨーンではない)と加速するので907の方が走ると感じるかも。

小笠原 - 絶対的な性能ではSLの方が明らかに1枚上手なんだけど、そう感じる人が居てもおかしくないでしょう。そういう意味でもSLはフレームの特性を解ってペダリングを合わせて行けるプロ仕様。一方で907の走りは解り易い。

難波 - どんな人にどのグレードを奨めるかと聞かれると?

小笠原 - 自分で選ぶんだったら迷う間もなくフラッグシップのSL。でも、1台目のバイクを探していて、予算はいくらでも出せるけど少ないなら少ない方が良い上で良いものを選んでくれと初心者の人に言われたら907。

難波 - 通勤でも雨の中でも使って、ガンガン道具として使いつつ、予算も抑えつつ、パーツ換えていってという趣味も楽しみつつなら903は本当にお勧め出来る。SRAM APEXについては個人的には好きなんだけど、好き嫌いもあるのでTiagraがついた901の方を選ぶのもなしではない。

小笠原 - サイクリングロードを走るんだったらバイクの重い軽いは関係ないので、まず買って、乗って、自分なりのポジション出して行って、エアロホイールの効果を知ってと言うんだったら、フレーム自体の性能に騙されて残念なモノを買わされちゃった感はないので903はいい。

難波 - 逆にちょっと乗れるようになって来て、エアロホイールや軽量ホイールを買ってみたらR500のダメさ加減は良く解るかもしれない。。

小笠原 - 最近はいきなり高いのを買っちゃう人も居るけど、まず道具としてガンガン使って乗る事、乗る楽しさ、そのあとにグレードアップして行く楽しさ。そういう風にステップアップしていってほしいよね。

難波 - はい。ということでまとめ。MERIDA 2013。ロードに関しては、SCULTURA SLの発表を持って仕切り直しと言っても良いでしょう。

小笠原 - ゼロから。今から。

難波 - 紀元前、紀元後という話でしょう。

小笠原 - これからツール参戦ですよ。という新たな一発目でイキナリ大リーガー級の凄いのが出て来た。一言で言って、MERIDAの底力を見せつけられたとしか言いようがないでしょう。

難波 - 今頃、他の中小ブランドで、最近までMERIDAのロードとドイツ市場で競ってた所は、すいませんでしたと思ってるかもしれない。そのくらい松竹梅でイキナリ揃えて来た。

小笠原 - 後は個人的には次に出てくるTTバイクがどんなものかが気になりますね。TTバイクなんで格好良くて新しい提案があるバイクが出て欲しい。

難波 - 1月1日か2月10日(チャレンジマヨルカレースに合わせてチーム発表が予定されている)のどっちかで発表でしょう。

小笠原 - 続報を待つ!


 
 

Talk:Kenji Nanba,小笠原崇裕(まとめ:Kenji Nanba)
Photo:The Bike Journal
date:12.12.04