3大ブランド旗艦ロードバイク徹底比較 Vol.5

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難波ー インプレを語る前に、前置きが長くなり過ぎたけど、SUPERSIX EVOの裏にはそういう話があるって言う事は言っておきたい。

小笠原ー 3ブランドのバイクの中で唯一下北沢、三茶、自由が丘とかに乗って行っても「トレーニングの帰りですか?」と言われないオシャレ感はある。それは間違いないと思う。そういう美しさの話と、その裏の地道なカーボンテクノロジーの話も解った上で乗ってどうか。

難波ー 3台並べて乗ると、まず見えてくるのは見た目の印象を裏切らない走り感が強いかと。つまりモダントラディショナル。

小笠原ー 誤解を恐れずに言うと、3台の中ではトラディショナルなロードレーサーっぽい走り感が一番強い。それはどういう意味かっていうと、他の2台、特にマドンにその傾向が強いんだけど、戦闘機っぽいようなバシューンと加速して行くっていう走りは3台の中では一番控えめ。トルクを掛けて行った時の足への返りだとか体への優しさをちゃんと残している。

難波ー SAVEステーっていう扁平チェーンステーや、3台の中で唯一のベンドフォークでフォークエンドの巻き込んだ形状なんかが、見た目通りの効果を発揮している。

小笠原ー 絶大。巡行時の乗り心地の良さはハンドルへのビリビリ感、足への振動ひとつとってもダントツ。比べ物にならない。ターマック、マドンから話が逸れるけど、ルーベ、ドマーネに近い優しさがありながら、スプリントやここ一発のアタックになると反応は断然コッチ。

難波ー トラディショナルな見た目のバイクは最先端のテクノロジーを使って、トラディショナル最先端な走りをするって事でしょうか?

小笠原ー 見た目の印象は裏切らない。とはいえ、コレだけ乗り心地が良くて、それなのにスプリントでも伸びるっていうのは金属じゃ無理。カーボンじゃないと出来ない事っていうのを考えた時のアプローチが他とは違う。そこに過去20年ヨーロッパでプロからも市場からも鍛えられて来た蓄積が生きているとしか考えられない。

難波ー ブランドは一夜にして成らず。デザインの話に戻ると、キャノンデールはやっぱり自転車の格好良さっていうのを理解していて、MTB、ロード、トライアスロン、シティと、それぞれのカテゴリーで格好良くあるためにはどうしたら良いのかを理解している。MTBでは奇天烈。ロードではネオクラシック。これがキャノンデール流の解釈なんでしょう。乗るとそういうのが更に見えてくる。

小笠原ー それでもレーシングバイクとは何かを解っていて、カッコいいだけじゃなくて勝てないと意味がないので勝てるバイクに作り込んで来ている。

難波ー 御意。キャノンデールに惚れ直した。

小笠原ー 平坦な道で足があるうちに乗るんだったら、ターマック、マドンに比べるとエボはちょっとだけスピードの巡行性能とか加速性能では一歩後ろだと思う。その代わりに乗り心地とハンドリングの楽しさを得ている。あとヒルクライムだけだったら、ターマックよりは個人的にはエボの方が登ると感じた。ホイールを色々付け替えて乗っても印象は同じ。

難波ー 日本人の99.999%がプロツアーレースを走る訳じゃないので、グランツールで勝てるバイクなんだけどというのを横に置いておいて、普段乗りについて考えると、3台の中ではロングライドには一番なんじゃなかろうか。

小笠原ー 全行程のアベレージでヒルクライムも入れて30km/hを超えるペースでロングライドをやる人には無茶苦茶お勧め。コレ買っとけば間違いないというのは、半年以上乗っている自分が言うんだから間違いない。
あと、ヒルクライムも優勝狙って最後の1kmでヒルクライムスプリントが入ってという走り方をせずに自分のタイムを狙って走るという人にはお勧めでしょう。

難波ー 床の間からグランツールまで。懐が深い。

小笠原ー ターマックを床の間バイクって言うのは無いなぁ。どう考えても無い。マドンも少なくともこの真っ黒カラーは床の間仕様には考えられない。

難波ー 有名なアマチュアレーサーでツールド沖縄で優勝した人もバイクは普段自分の部屋に保管しているらしく、エボなら部屋に置いておいても許せる。と言って自分で買ってしばらく乗ってた。

小笠原ー 人によってはバイク買って来て、部屋のインテリアに合わないから箱にしまって倉庫に封印したって言う人ですら居るぐらいですから。プロなら出されたものを使うしか無いけど、アマチュア、趣味の人にはそういうのはやっぱり大事でしょう。

難波ー デザインとか美しさを無視するなら自転車は全部カーボンむき出しの真っ黒で良い訳ですよ。その方が軽いし。

小笠原ー でもそうじゃない。
ちなみに、今から300kmマイペースで乗って来いと言われたら3台の中でコレを選ぶかな。疲れない。足に来ない。足に来ないって言う意味ではトライアスロンの人にもランに足を残せるって言う意味で奨められる。ターマックはコレ一台で練習からレースまでと言ったけど、エボは更にターゲットが広い。かといって、サガンだってあれだけエボでスプリント勝ちまくってる訳で、エボがスプリントダメかって言ったらそんな事は全然ない。その差はほんの僅か。

難波ー ターマックで今から300kmと言われると、SL4より足に来る硬さはもう少しまろやかだったSL2で3泊1200kmの旅に出て辛い思いをした経験があるので、ない。300kmぐらい乗って、次の日に足に来るんですよ。プロからしたら出直して来いでしょうが、ホビーサイクリストとして考えると辛いもんは辛いし、痛いもんは痛い。

小笠原ー なので、ターマックの時もチャートにしたら穴がないって言いましたが、こっちはもっと穴がない。ロングライドとかデザインの所まで広がっている。3大ブランドのバイクなんだから当たり前だと言われるとそれまでですが、それにしても穴が無い。ただし、さっきも言ったけどスプリントとか高速域でバシューンと戦闘機のように伸びていく伸びはあとヒトイキ。
余談で、こんなことを言うとアレだけど、チェーンリングに関してはFSAよりやっぱりシマノ純正が使いたいけど、問題はPF-BB30。

難波ー アダプターを付けてデュラエース使うじゃだめなの?

小笠原ー Siクランクの当りの柔らかさはエボに合ってるんだよね。

難波ー キャノンデールは「競合を含めてSiクランクは最高の重量剛性比」とか言ってるけど。

小笠原ー んなわけがない。BB30なんで軸剛性は高いからそれを何か特定の条件で測ったらそれが最高だったりするのかもしれないけど、実際の踏み心地はマイルド。いい意味でマイルド。79のデュラみたいなカツンと足に返ってくる硬さよりもコッチの方がバイクに合っている。なのでチェーンリングだけ純正を使いたい。

難波ー アッセンブルの話に脱線するとエボにカンパは似合うし、ちなみに言うと、ホイールを付け替えたインプレは後で語るとして、見た目だけの話でもロープロファイルのホイールが似合う。

小笠原ー カッコイイ人は何着ても似合う。980円のフリースでもカッコイイ。そういうのと同じなのかもしれない。少なくとも他の2台にトラディショナルなロープロホイールははっきり断言するけど無い。エボは練習用ホイールを履いても残念な見た目にはならない。それは事実。

難波ー 話が色々脱線しましたが、エボって言うのはそういうバイクなのかな。と言うのが3台並べた印象。という事で最後にトレックのMadone7をインプレしてみましょう。

Vol.6に続く
 
 

talk:Kenji Nanba,小笠原崇裕
photo:Kenji Nanba,The Bike Journal
date:13.3.07