小笠原崇裕が乗るGIANT PROPEL ADVANCED SL

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GIANT PROPEL ADVANCED SLを難波賢二がテスト


エアロ系だと意識しないで走れるエアロ。こんな言葉がぴったりと当てはまる。従来のエアロと謳うバイクでは、登りやスプリント性能というものを大きく捨ててでもエアロを追及した作りで、実際の走りも平坦の巡航から登りやスプリントへと入って行くと重さやモタつきってものがかなり出ていた。

その中でもスプリントの出来るエアロ系や、重量の軽いエアロ系も存在はしたが、ノーマルロードの性能を考えるとエアロ系は「どこで必要なの?」と考えてしまう事もあった。プロペルは、踏んだ瞬間にはTCRアドバンスドには及ばないものの、薄いエアロ形状のフレームとは感じない程のBB周辺の剛性があり、重いギアでの走り出しでもモタ付かずに加速をしてくれた。そこからギアを1枚1枚上げて行くと、スピードが上がるにつれてBB周辺の捻じれが少なくなる感じがあり、踏み込みと加速がリニアに繋がっている事もあって、クリテリウムのような加減速の多い走り方にも十分に対応が出来る。

登りでは斜度が8%程を超えてくると、正直なところ重さを感じてしまう。重量からくる重さではなく、ペダリングの軽快感やダンシングでの振りの軽さといったもので、特に遅いスピードほどこの重さを感じてしまった。1踏み1踏み踏み込むようなキツイ斜度ではTTバイクとまではいかないにしても、ロングクライムは外したくなる。一方で、集団で速いスピードのまま緩斜面に突っ込んで行くような場面ではノーマルロードと比べて減速の仕方が緩やかで、僅か数秒だろうが、足を貯められるのでは?との感触があった。

今回のテスト日は風が強めに吹いており、正面から風を受ける走りをした時に、右のペダルを踏んでバイクが進み、左のペダルを踏み始める前に若干のバイクの失速を感じる事が多々あるが、プロペルはその失速が非常に少なくてバイクが流れ続けているので、ペダルを踏み込む際の余計な踏み上げが要らなくなると感じた。

下りのパートではハンドリングに若干の難があった。難波氏のインプレッションにも書かれているが、ジップのホイールとの相性だろうが、コーナリングの中のある一定角度から更にバイクを倒し込んでいくと「カクン」と倒れ込んでオーバーステアになり、ラインが若干変わってしまう。全体や、リヤ周りに腰高感のあるバイクはたまにあるが、これはヘッド周辺が腰高い感じがあり、フォークの剛性が足りないように感じてしまうかもしれない。とはいえ、プロペルアドバンスドSL3ではこの腰高感が出てこなかったので、ホイールとの相性によるものだろう。

乗り心地はリヤバックから若干の突き上げがある。コツコツと振動は伝わって来るが、タイヤが跳ねて接地感が希薄になったり、視線がブレてしまうような硬い振動ではない。TCRと比べてもかなり太いシートチューブでISPとあって、もっとゴツゴツ来るような乗り心地かと想像していたので、エアロ系でこの程度の振動だったらかなり乗り心地の良い部類に入るだろう。

そしてブレーキ。Vブレーキ。トップモデルは軽さからかカーボン製のブレーキが奢られているが、これが及第点に達していない。ブレーキフィーリングが「グニャ~」と芯の無いグミの様な感触で、絶対的な効きも低く、シクロクロス用の効かないカンチブレーキに似た物だった。エアロは解る、スピードをより上げるならば同じ様にブレーキ性能ってものも上げてこなければ、スピードは出るがスピードを出せないバイクとなってしまう。下位グレードのバイクに付いていたアルミ製のVブレーキは「カチッ」とした芯のある握り心地で、絶対的な効きも良く、しっかりとタイヤがロックするまで効く。ブレーキ単体で入手出来るのかは分からないが、ブレーキはアルミ製をお勧めしたい。

「登れるエアロ系」ってのがプロペルの一番の印象。ピーキーな扱いだった今までのエアロ系、プロペルはノーマルロードの様な扱いやすさを目指しているのか、「エアロ系ですよ」と言われずに乗ったらならば、「ちょとクセのあるロードレーサーだな」と感じるだろう。エアロは当たり前の上で扱いやすさを求めてきているように感じた。

お勧めできる用途として、長距離ロードレース、アップダウンの多いトライアスロン(オリンピックディスタンス、ハーフアイアンマン)、ロングライドが挙げられる。自転車会社の最大手が後発で登場させた渾身のエアロ系プロペル、各種実験数値でも競合と比較して数多くのポイントが1番で、とても扱いやすいという一歩抜きん出た性能であった。
 
 


report:小笠原崇裕
photo:The Bike Journal
date:13.8.1