SPECIALIZEDの新しいTARMACを試す(ブリーフテスト)
 
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SL5とは呼ばない新しいTARMACが登場とあって、世界同時発表の今日、発表直後に日の暮れた都内でS-WORKS TARMACを試す機会を得た。
 
Rider-First Engineeringとスペシャライズドが呼ぶ、フレームサイズそれぞれにフレームの特性を変えて作って来る作り方は、金属フレーム時代のフレームサイズが小さくなるに従ってどんどん剛性が高くなって来る作り方から進化して最近のフラッグシップは各社サイズに合わせてBBやヘッド剛性の値が均一になるように仕上げて来た作り方を更に1レベル進化させて来た自転車の作り方だ。

ハンドビルドのオーダーメイド車では、ライダーのスキルや体格、体重に合わせてチューブを変えたりして好みの乗り味に仕上がるように作っているビルダーが居るが、ある意味今回スペシャライズドが行った手法は、それに近い。それでいて、性能はバリバリ最先端のカーボンフラッグシップ。

自動車やモーターサイクルで考えると、出力も重量も異なる小排気量車と大排気量車で求められるシャシーの剛性やパフォーマンスが異なるのは当たり前だが、McLarenとの協業で量産スポーツバイクもその領域に達したと考える事も出来る。実際、それぞれのライダーで異なるフィーリングを数値化して、それぞれのバイクに落とし込む領域ではMcLarenのエンジニアと共同で作業を行ったとSpecializedも語っている。

ちなみに、筆者の身長は公称170cm(実測169.3cm)なので、日本人男性のサイクリストの半分以上が乗る52サイズが適正サイズ。60サイズの人には、Rider-First Engineeringなのでインプレはある意味あまり参考にならないのかもしれない。
 
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従来の、カーボンの積層方法がこうで、BB周りの剛性は競合に比べて何%高く、重量はシートポストまで入れた重量で競合より何グラム軽くて…と言った説明を一切省いての発表となった今回の新しいTARMACは、乗ってみると、今までは自転車は速くてナンボと言っていたSpecializedが自転車は気持ち良くてナンボ(もちろん同時にかつて無く速い)に、自転車作りの在り方をガラリと変えて来た意思表明が見て取れる。

言葉に表現しにくいが、まず乗って走り出してコーナーを曲がると思わず「あー、コレコレ。欲しかったのはこういうバイク」と言いたくなるようなバイクに仕上がっている。

SL2の時にまるでコンクリートを踏んでいるかのようなと表現した硬さはSL3で更に硬くなり、SL4の初期型でこの先どこに行ってしまうのか?と思っていたが、3年悩んだSpecizlizedはSL5ではなく新しいTARMACを出して来た。TARMACと聞いただけで、思わず膝と上腕に冷や汗が出て来そうな硬さは新しいTARMACの52サイズには少なくとも無い。
 
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中程度までの出力では従来のターマックと違ってウィップを感じさせるペダリングフィールでありながら、トルクを掛けて行くと急激に硬くなる仕上げはあまり他のバイクに感じた事のない物で、ひょっとすると新しく採用されたBBとチェーンステーをモノコックで仕上げたフレーム設計だとこういう乗り味になるのかもしれない。

ハンドル、腰、足の全てにおいて乗り心地自体は、新しいTARMACの名前の通り、まったく従来とは違う快適なもので、特にほんの少しだけベントしたエアロフォークの仕上げは、横剛性はありながら垂直方向には快適でハンドリングも良いという一歩突き抜けてしまった感すら感じさせる。ちなみにエアロフォークとひょうたん型のヘッドチューブの効果もあってか、エアロ性能自体は声を大に謳っていないが、従来比ではかなり高くなっているとの事だ。

ハンドリングについては、都内の交差点を曲がる程度でしか試せていないが、オンラインでのプレゼンテーションでも念を押して説明していただけあって従来のターマックが持っていたカミソリのようなコーナリングから1レベル進化していて、5枚歯カミソリのような、どの侵入角度から入っても怖くなく、かつスパッと曲がるハンドリングに仕上がっているのは感じられた。とはいえ連続する高速コーナーでテストした訳ではないので、これについての結論は試乗コースに持っていた後にレポートしたい。
 
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本気のレーサーが1000Wで踏んだ時にはTARMACらしさを持ちながら、一般的なサイクリスト巡航速度では全く違う優しさと快適さを持っている新しいTARMACは、少し乗っただけでも解る変化と、そして気持ち良さを持っていた。詳しいフルレポートは、後日テスト出来次第お届けしたい。

なお、気になるディスクブレーキ仕様は、本国では同時に発売されたが、日本には今回の発表では導入されていないが、スペシャライズド・ジャパンによると「現在導入を前向きに検討中」との事なので遠くない将来に国内にも導入されるものと思われる。
 
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report:Kenji Nanba
date:14.5.11