Cannondale 2015 OverMountain特集 Vol.6「ジキルとハイド」
 
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ひとたびハイスピードでテクニカルなトレイルを下ると思わず「ヒャッホー!」と叫びたくなるほどに新型JEKYLLのダウンヒル性能は進化している。

「フロー」モードとは良く名付けたもので、160mmのDYADショックのボリュームは十分過ぎる。ダウンヒルレーサーに乗ったときの、自分より後ろの事はサスペンション様にお任せいたしますというあの余裕感が流しても攻めても感じらる程に進化しており、ただひたすらに迫り来る岩を見極めながらラインを絞って突っ込んでいくだけで良い。

後ろをDYADに任せるとしたら前はどうか?ロングストロークのLeftyと聞いて、「Leftyねぇ・・」というユーザーは居るかもしれないが、それは恐らく新世代のLefty SuperMaxに乗ったことのない人だろう。

新世代のLefty SuperMaxは従来にあった初期の風船を針で刺すような突っかかり感は、常にベアリングとシールがオイルに浸かった状態となる倒立オイルバス構造によって劇的に改善されており、また動き出した後のダンピング感も猛烈に進化しているが、それは160mm仕様のSuperMaxとなっても変わらない。
 
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それよりも驚いたのは前後方向への曲げ剛性の向上で、スクエアtoスクエアの内部構造はストロークしていけば行くほど剛性が高くなり、通常のシングルクラウンフォークでは勝ち目がない程になっている。倒立フォークは構造的にストロークした時の剛性がストロークすればする程高くなる。と、Cannondaleがやたらとプレゼンテーションで捻れ、曲げ剛性について語っているのは嘘ではない。

フレームを硬めて来たのは、フォーク剛性の高さとの組み合わせで衝撃吸収と路面追従はユニットに、フレームとフォークはそれを支える支持基盤という考え方が根底にあるのは明らかだ。苦手な部分をお茶を濁してごまかさず、しっかりと改善した上でメインフレームとスイングアームのあるべきあり方に持って行ったのは賞賛に値する。Leftyが最初に出てきた10年以上前からCannondaleが言い続けたLeftyのメリットが、ようやくというか史上最も効果的に現れているバイクだろう。

ダンピング性能やストロークのスムーズさはライバル並に、レッグ剛性は体感的にはダブルクラウンのDHフォークにも匹敵する程になっている。

砂利が浮いた状態でのハイスピードコーナリングも路面追従性能が素晴らしく、かつ27.5ならではの若干広くなったコンタクトパッチ面積が効いているし、サイドバイサイドのスイッチバックはなんといってもバイクの重量が軽いのでヒラヒラと重心位置を変えつつ腰から下はドシッとした盤石感。コンフィデンス。そんな単語が下りながら頭に浮かんだ。
 
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下り終えて時計をみるとタイムコントロールまでの時間が15分しか残っていないが、全然それらしき場所は見あたらない。気がついたらマレー氏は先に行ってしまっており、もう一人と一緒にタイムコントロールを目指す。「エレベート」モードに自然と戻して、ドロッパーシートポストを上げると、さっきまでの凶暴なバイクはどこへやら。ジキル博士とハイド氏の分裂が新型JEKYLL 27.5は広がっている。
 
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残り5分を切った頃に丘の向こうにライダーの山が見えた。こうしてようやく「本当の」スタート地点について、息つく間もなく観た事もないダウンヒルコースへと「Tres, Dos, Uno」のカウントダウンの後に飛び出していった。
 
Vol.7「ENDUROの神髄」に続く

Cannondale 2015 OverMountain特集
Vol.1「ENDUROが世界を変える
Vol.2「ENDUROが世界を席巻した理由
Vol.3「新型JEKYLL 27.5、TRIGGER 27.5の詳細
Vol.4「マウンテンバイク2.0
Vol.5「JEKYLL 27.5をENDUROレースで試す
Vol.6「ジキルとハイド
Vol.7「ENDUROの神髄
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Ale di Lullo, Kenji Nanba, The Bike Journal
date:14.5.20