Cannondale 2015 OverMountain特集 Vol.7「ENDUROの神髄」
 
Vol.1をまだご覧でない方はこちらからご覧ください。
 
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タイム計測のあるダウンヒルレースは何年ぶりだろうか?多分5年ぶりだ。かつては白馬岩岳で青春の全てを注いだダウンヒルレースだけど遠ざかって久しい。そんな事を考えながらバイクを壊してはいけないと80%程のペースで下るも、コーナーの先にどんなコースがあるのかは知らない。先を知らないのにタイム計測しながらダウンヒルをするというのは、今までの人生で経験したことのない事。80%のペースで下っているとはいえ、このドキドキ感こそがENDUROの神髄だろう。

1.5km程走って洗濯板上のストレートを下るといきなり1m程の落差のドロップオフがやってきた。「ちょっとヤバいかな?」と思いながらも減速せずにエイヤっと突っ込むとこのときに27.5インチ+160mmの真価を知るのであった。多分、本当の限界は遙か彼方。それほどにJYKKLE 27.5のダウンヒル性能は進化している。

ドロップオフを飛び降りて160mmストロークがボトムアウトしかけたそのときの路面の岩を乗り越える瞬間に26ではない27.5が活きてくる。大径ホイールが持っているロールオーバー処理能力の高さだ。

プロレーサーだって限界の95%でENDUROは走るというのだから、限界が本当に来たときの最後の砦に27.5が効いてくる。27.5の事をヨーロピアンがENDUROサイズと呼ぶのはこれが理由だろう。
 
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調子が出てきたと思ったら今度は2mを超える落差のドロップオフが出てきたので、借り物のバイクなのでということで丁寧にバイクを降りて辞退。プロレーサーと同じコースで行うENDUROには大人としての自制心が求められる。

ドロップオフの先のコーナーをバイクを担いで走って曲がるとゴールだった。つまりゴールエリアでリエゾンに向けて準備をしている選手に、後ろから来た選手がドロップオフをクリアしたかどうかが解るコース設計になっている。手元の時計を見ると3分40秒経っていた。既にスタートから2時間が経過しているが、タイム計測されているのはこの3分40秒のみ。

「ドロップオフは2個ともクリアした?」そんな事を話しながら、装備を直してリエゾンのダブルトラックを登る。次のスタートまでは1時間程あるが、最初のリエゾンでタイムドセッション2のゴール地点が見えていたので、どうやらスタート地点はあの山の頂上らしいと話しながら走っていると気が付けば一緒に走っているのは7人程になっていた。
 
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30分ほど掛けて林道をマーカーに従って登ると、とても乗っては登れない斜面の先にスタート地点が見える。次のダウンヒルに備えて足に負担をかけないように担いで登りきると、そこはジブラルタル海峡とその先のアフリカ大陸までが望める絶景ポイント。ディスカバリーもENDUROの魅力のひとつと言うことか。
 
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バックパックから補給食を取り出して食べながら他のライダーと話していると、知らない国の名前も知らない人だけどコースがこうだった、バイクの走りがああだったと、20分ほどのつかの間の一時。そうしてセッション2のスタート地点に並び、自分のスタートが来るともう一度、何キロ続くか解らないアドレナリンタイムだ。

こうして続くセッション3(試乗会を兼ねているため何故か電動アシストFlash29erでのワンメイクレースだった)を終えて、スタート(=ゴール)地点のオヘンまでの長い道のりを走る頃には、スタートタイムが同じ辺りのライダーとはすっかり打ち解けて写真を撮影したり話したりしながら、規定のゴールタイムまでにリエゾン4を終えて晴れてゴール。
 
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ゴールすると遅めのランチパーティーが用意されていて、コース途中ですっかり仲良くなった選手と一緒に「あそこの高速コーナーが・・」「リアスイングアームの捻れ剛性が・・」と話しながら、ワインを片手に日が暮れるまで楽しい時間が続く。

世界を賑わす「ENDURO」はガチガチのレースと思いきや、完全に大人のためのイベントだったというのが参加してみての感想だ。リザルトは?なんて野暮な事より、どれだけマウンテンバイクを楽しめたか?多分、それが一番大事。
 
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そこにターゲットを完全に絞って開発された新型JEKYLL 27.5は、ENDUROワールドシリーズでシリーズ優勝を狙って戦うバイクそのものであるが、同時に、いかに楽しく、楽にENDUROを走りきるか?で考えても現存する同じカテゴリーの中で突き抜けて最良の1台と言える。そして何より格好いい。

秋にはアジアで初めての競技連盟公認ENDUROが群馬で開催される予定となっているが、既報の通りシマノも新型XTRでENDURO対応を謳っており2015年以降に、世界の最先端シーンが日本に入ってくる事は容易に想像される。ENDUROをやるのに必ずしも新しいバイクは必要ない。でも、一度走ってみて、ENDUROって面白い!となったら、「より速く、より快適に、そしてより楽しく」ENDUROする為に何が必要なのかはここまで読んできた方なら既にお分かりだろう。

Cannondale 2015 OverMountain特集
Vol.1「ENDUROが世界を変える
Vol.2「ENDUROが世界を席巻した理由
Vol.3「新型JEKYLL 27.5、TRIGGER 27.5の詳細
Vol.4「マウンテンバイク2.0
Vol.5「JEKYLL 27.5をENDUROレースで試す
Vol.6「ジキルとハイド
Vol.7「ENDUROの神髄
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Ale di Lullo, Kenji Nanba, The Bike Journal
date:14.5.20