日本の鉄、MIYATA JAPONを試す Vol.2
 
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小笠原ー 次行ってみましょう。そうして下りった所に道の駅があったので、Elevation RCに乗り換えたわけです。
  
難波ー これはMIYATA SPORTSと言って、JAPONのセカンドラインで、JAPONと同じフィロソフィーで作られたミヤタオリジナルチューブやラグが使われているんですが、製造はメイドインジャパンではなくて、台湾製。
 
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後で出てくるElevation Extremeの弟分になるバイクです。伝統の鉄がTHE MIYATAなら革新の鉄がElevationシリーズ。要するに鉄なのに軽いんです。

小笠原ー 乗り換えていきなり下り。ズドーンと下って、今度はダラダラの最後はガツンと標高差500mほど登り。どんな試乗ですかと思いながら乗ったわけですが、さっきの盤石コーナリングのTHE MIYATAから乗り換えるといきなり軽量フレーム。

難波ー The Miyataからするとフレーム+フォークだけで1kgぐらい軽い
 
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小笠原ー The MIYATAの下りがあれほど印象的だったのに対して、こっちは軽量なスチールフレームらしいコーナリング。安定感という意味ではそれほど高くなく、最近のオールラウンダータイプのカーボンフレームのゴシッとした安定感から比べるとスカスカの印象。残念ながら絶対的な剛性はそれほど高くないし、高いわけもない。

難波ー ハンドリングマシンとしては私的にもあまり評価は高くない。85km/hで下れと言われたら遠慮したくなる感じ。そもそも日本じゃそんなスピード出して良いところありませんが。

小笠原ー 100km/hと言わないところがアマチュア・・。

下りでもがいてみると、カーボンフォークの見た目がゴツい割にはヘッド周りの剛性が高くないなっていうのが印象。なのでヘッドを軸にしてスパっと切り込んで行くのが躊躇される。レースで使うなら下りは、バイクの軸に重心を乗せる事を意識して我慢の走りを強いられるでしょう。
 
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難波ー 乗り心地自体は悪くない。鉄らしいビヨヨーンという感じじゃなくて、アルミの高級バイクっぽい。シャキッのビヨ。

小笠原ー スチールフレームのインプレには擬音語が多発しますね。鉄というより軽量アルミと鉄の中間な乗り心地。

難波ー いわゆる鉄の乗り味を想像して買うと、ちょっと違うという事は知っておいた方が良いと思います。いわゆる鉄が欲しい人は今回は登場しませんがMIYATA GSを選んでおきましょう。

そこから登りに入ると、どうでしょう?

小笠原ー さっきのThe MIYATAとは比べものにならないぐらい軽く、ヒラヒラと登る。鉄フレーム、50万円程のバイクということを考えたら上出来でしょう。
 
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難波ー アルミの軽いバイクと比べても普通にクルクル回して登ってる分には遜色なく登る。

小笠原ー クルクル回して登る分には、これだけ軽ければまあ不満は出ないでしょう。一方で、おりゃっとダンシングで踏んでいくと、BB周りの剛性が足りないの肩すかしをくらう。どっちかというと回転系の人向けですね。

難波ー ウィップの感じはうまく仕上げてあるので、そういう系の走りが好きな人で、アルミじゃないのよ鉄なのよという人にはこの選択肢は上手くハマるかもしれない。

小笠原ー 体重も出力も少なめの人向けバイクですね。

難波ー で、登りの途中でフラッグシップのメイドインジャパン、Elevation Extremeに乗り換えたわけです。Dura-Ace Di2だけでなく無く子も黙るスーレコEPS仕様も用意されていて133万円。
 
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小笠原ー 装備もこれでもかという具合の頂点を突き抜けた仕様になってます。

難波ー 伊豆の峠というか全国の峠の中でも屈指の凶暴さを見せる通称裏仁科に挑んだわけですが、さて印象は。

小笠原ー もの凄い。

難波ー 驚くほどに軽い。鉄フレームなのに完成車で実測6.5kgですから。

小笠原ー 鉄なのに軽いとかそういう次元の軽さじゃなくて、最新カーボンフレーム全部を並べて乗り比べても、もの凄く走りが軽い部類のバイクに入る。もちろん装備が、頂点を突き抜けた仕様なのでそれによる所もあれど、どっちにしてもスチールフレームという単語から想像される走りじゃない。
 
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難波ー 名前の通りエクストリーム。

小笠原ー 普通になにも聞かずに、このバイク走りも登りも軽いからちょっと乗ってみと言われて乗ったら、「あー、こりゃ軽いね。よく登る。」っていう印象しか残らないぐらいのレベルに達してる。で、後から鉄フレームって聞いたらマジ?っていう世界。

難波ー 同時に感じたのは、鉄のフレームって乗ってて優しい感じがどれもあるでしょ?田舎に帰って縁側に座ってる的な優しさ。このバイクにはそれが全然なくて、バリバリのカーボンレーサーっぽい無機質な感じまで出ちゃってる。

小笠原ー それはある。優しくない鉄。

難波ー 乗っていて、自分が鉄のフレームに乗ってるのか、アルミなのか、ステンレスなのか、それともチタンなのか良く解らなくなっちゃう感じ。
 
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小笠原ー 登りはこれだけ軽いんで、あとは平坦と下りは?って事になるんだけど、下りはフォークとのマッチングっていう意味ではさっきのRCよりは大分いい。本気で攻め込んでいくとやっぱり超軽量な鉄なんで怖い感じはあるけれど、レースで言えばアタック掛かってない集団の下りだったら全然オッケーというレベルにはある。ブレーキの時の全体のたわみは、カーボンフレームになれちゃってると慣れが必要。

難波ー ハンドリングマシンという訳ではないけれど、気持ちいいスピードで下ってる分には、下りの楽しさをスポイルするようなネガは見あたらない。

で、スプリントしてみると?
 
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小笠原ー うりゃっと自分から平坦で仕掛けていく感じで1000W超えで踏んでいくと全然ダメ。全体的に剛性が足りてない。一方でアタックに反応して集団前方でヌヌヌヌっと600Wぐらいで回していくと、それにはフレームは粘って答えるし、良く走る。この良く走るは、金属フレームにしては良く走るという意味ね。

難波ー ヌヌヌッのヌーーーーーっとトルクが途切れずに回して行ける人ならオッケー。という意味?

小笠原ー そう。

難波ー 普通にロードツーリングで使う人の目線で語らして貰うと、このバイクはもの凄く軽いし、スピードの上下が余りないツーリング的な走りをするともの凄く気持ちいい。だけど、鉄フレームに僕らが期待している音叉を叩いた時のような気持ちよさは持ってない。

世の中には色んな気持ちいいバイクがあって、カーボンじゃなくて、チタンでもなくて、The MIYATAでもなくて、Elevation Extremeをあえて選ぶ理由は?と聞かれると、それは究極の贅沢品、突き抜けた1台という答えになる。

小笠原ー 世の中には色んな突き抜けてるバイクがあるけど、これもある領域で最も突き抜けた1台。エクストリームとは良く名付けましたね。
 
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難波ー なんてったって世界最軽量ですから。

小笠原ー え?世界最軽量なの?

難波ー 完成車6.5kg、フレーム1.24kg。量産スチールフレームとして世界最軽量。知らなかったの??

小笠原ー 本当に知らなかった・・。

最後に嗜好の傾向をまとめるとTIMEとかBMC IMPECとかが好きな人には、このバイクは琴線に触れるんじゃないかと思います。

難波ー メイドインジャパンモデルではあとスポルティーフのSportif ProとランドナーのEiger Proというモデルがあるんですが、今回はSportif Proを借りてきたけど時間が足りず満足行くまで試乗が出来なかったので、写真だけ紹介しておきましょう。
 
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小笠原ー 北海道で旅しながらインプレしてみたいですね。

難波ー Sportif Pro。驚くべき事に、一澤信三郎帆布のオリジナルハンドルバッグが用意されてます。
 
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小笠原ー 全体のまとめですが、今回乗って感じたのは、ミヤタという会社、自転車作りにおいては120年を超える歴史を持っているわけで、バイク作りの考え方っていうかこだわりが普通じゃない。

難波ー 普通に考えたら、設計だけやって、どこかの工場でカーボンフレーム作ってきてミヤタのバッジつけて売れば良い訳じゃないですか。まあ、The MIYATAに関しては鉄の歴史があるんでカーボンにするのはあり得ませんが。

小笠原ー 安易にそこに行かないのはもちろん、自分たちの信念っていうか自転車に対するこだわり、突き詰め方をそのまま自転車に表す方法を知ってるんですね。乗るとそれが伝わってくる。卓越してるを通り越して超越してるの域ですね。

難波ー 企画してる人もフレームビルダーも塗装やってる人も組んでる人も、全部超越し過ぎちゃっていて仙人の域。いわゆる日本企業がよく言われる過剰クオリティっていうのが、そこかしこにある感じ。

小笠原ー フラッグシップの2台には、こんなもんで良いじゃんっていう抜きが一切ない。両極端の鉄で今出来る限界。

難波ー このバイクの良さをパっと見で解るようになるには、相当の年月を自転車に乗ってきた人じゃないと難しいでしょう。でも自転車歴の長い人になればなるほど、突き抜け度合いが解ると思います。

小笠原ー 茶道の道具とか、日本刀とか、そういうものを見れるようになるには時間が必要って言いますよね。自転車も同じで、色んなバイクを乗り継いできたからこそ解る価値だと思います。

難波ー で、The MIYATAとElevation Extremeのどっちか1台を選べって言われたらどっちを選ぶ?

小笠原ー それは、どういう意味で?

難波ー 用途は考えずに、単純にどちらか1台を選べと言われたら。

小笠原ー The MIYATAかな。

難波ー その理由は?

小笠原ー 作り手の考え方が、バイクにそのまま反映されているから。どういう考えで作ったとかは聞かずに乗った訳ですが、乗っていて手に取るようにその思いが伝わってきたので。ここまでコンセプト通りに仕上げて来るっていうのは、一言で凄い。難波さんは?

難波ー Elevation Extreme

小笠原ー その理由は?

難波ー やはりその突き抜け度合い。唯一無二っていうのは、それだけで価値があるよ。

小笠原ー Elevation Extremeの走りは、鉄史上最強のレーシングバイクということで、機会があればもうちょっと詳しく乗り込んでみたいですね。

難波ー あと、もう一つの理由は実はThe MIYATAは既に持ってるので・・。

小笠原ー 持ってたんですか!今日初めて乗ったって言ってたじゃないですか。

難波ー 最初に展示会で見たその日にバックオーダー入れて注文したの。で、持ってるけど組んでない訳。どうせ組むなら、80年代のオールジャパンで組みたいと思って、新品未開封のシュパーブプロとNITTOのハンドル・ステムとかは手に入ったんだけど、どうしても新品の32HのARAYA ADXカーボンだけが手に入らない。

小笠原ー 組み上がっても乗ったらMOTTAINAI!

難波ー ある高名なランナーが言いました。どうしてもそれしかないと思う靴を見つけたら3足買っておきなさい。自転車も同じだと思います。

小笠原ー 絶対違うと思います。

難波ー おあとが宜しいようで。

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talk:Kenji Nanba, Takahiro Ogasawara
photo:The Bike Journal
date:14.6.28