Cannondale F-Si特集 Vol.3「オフセットドライブトレイン」
 
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一旦すべての規格を白紙に戻して、29erとしてのレーシングジオメトリーを突き詰めたF-Siの肝がウルトラショートチェーンステー&カスタムオフセットの採用。29erの限界を超えたチェーンステー長を実現した理由がオフセットドライブトレインの採用だ。

オフセットドライブトレインとは何だろう。つまり、バイクを俯瞰して見るとドライブトレイン全体が右にオフセットしているのだ。

タイヤとドライブトレイン(主にチェーン)が干渉する事なり、弓なりになっているシートチューブと共に、今まででは物理的に不可能だった長さにまでチェーンステイを詰めることに成功している。
 
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具体的にどのようにしてドライブトレインをオフセットしているのかを語る前に言っておきたいが、ドライブトレインがオフセットしているだけで、クランクセットやリアタイヤ自体が俯瞰したときに右にオフセットしているわけではない。オフセットしているのはチェーンがらみのドライブトレインだけだ。

ドライブトレインは主にクランク側とリアハブ側に別れるが、クランク側を見るとフレームのBBのセンター自体は真ん中だが、クランクが専用品となっている。そもそもCannondaleの高級車種はすべからく専用のSiクランクが採用されているが、F-Siではチェーンリングのスパイダー装着部分が右に6mmオフセットしている。同時にダイレクトマウントフロントディレーラーの装着台座自体も右に6mmオフセット。フロントチェーンリングは2枚まで対応する。

リアハブ側は、フレームを後ろから見るとリアエンド全体が右に6mmオフセットしている。リアハブ自体は通常の135mm QRタイプで、XTRだろうがMAVICだろうがなんだって装着可能。

では右に6mmずらしたのにどうやってリアタイヤを真俯瞰から見たときにフレームセンターにもっていっているのかというと、スポーク長を調整してリムの位置自体を左に6mmオフセットしている。

なのでF-Siには既存のホイールは装着可能だが、センタリングのし直し、多くの場合はスポークの張り替えが求められる。
 
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Cannondaleに言わせると、従来のホイールはリアハブ全体を見たときの中心にタイヤが来ているのでフリー側のスポーク角度が急になってしまい、構造的な欠陥があったが、今回のオフセットドライブトレインで限りなく理想的なスポーク角度となったので、乗り心地、強度などあらゆる意味でデメリットはないという。

12mmスルーアクスルを採用しなかった理由は「ハードテイルではスルーアクスルを採用してもまったく意味がないから」だそうだ。リンクがあるわけではないので、左右のドロップアウトがバラバラに動く力は加わりにくく、むしろホイール交換が面倒になるというデメリットしか残らないという。

専用パーツといえば従来から専用品であったクランクアームぐらいのもので、他はアイデアの転換で実現したオフセットドライブトレイン。付き位置で後ろを走ると明らかに右にずれているが、乗るとリアハブ自体が右ずれているのを体感するのは不可能。そこは最新鋭のカーボンテクノロジーの剛性バランスで完全に隠している。
 
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こうして得たリアセンター長はわずかに429mm。それは、殆どの大手ブランドの27.5ホイールのリアセンター長よりも短く、GIANT XTC Advanced 27.5と同じ数字。

フレームジオメトリーは自転車の基本。これはいつの時代も変わらない自転車のセオリーだが、斬新なアイデアで理屈に乗っ取ったことを平然とやってしまう。如何にもCannondaleらしいアプローチと言えるだろう。

次回はF-Siのもう一つのトピック、Lefty 2.0について紹介する。
 



report:Kenji Nanba
photo:Cannondale
date:14.6.30