ランブル・イン・ザ・ジャングル4日間ステージレース総合優勝レースレポート

大会名:第二回 ランブル・イン・ザ・ジャングル 4日間ステージレース
大会ウェブサイト:http://theyakattack.com/rumbleinthejungle/
開催地:スリランカ
開催日時:2016年6月12-18日
結果:
4日間総合: 優勝
ステージ1、 優勝:74km 獲得標高2386m, TSS 216
ステージ2、 2位:65km 獲得標高2166m, TSS 187
ステージ3、 2位:67km 獲得標高2411m, TSS 216
ステージ4、 2位:74km 獲得標高1046m, TSS 145
タイム:13時間52分12秒(4日間合計)

2年越しで戻ってきたスリランカ。前回出場では4位で惜しくも表彰台を逃す結果だった。

「勝ちたい」

その思いだけをぶつけにこの地に戻ってきた。

早めに現地に入り、40度近い蒸し暑い気候に身体を慣らした。軽いインターバルで刺激を入れた身体は反応も良く、足も軽く感じる。しかし、4日間の長丁場、しかもスリランカのアドベンチャーなコース、何が起こるかわからない。実力だけじゃない運の力も身につけて初めて勝利に近づくことができる。

13418862_1231124470233450_247320694884986238_n

© Lucia Griggi

ステージ1:

たくさんのギャラリーと声援に見送られながらパレード走行でスタート。

13443262_1231124323566798_1284932832291438045_o© Lucia Griggi

先導バイクが消えると、一気にスピードが上がり、先頭集団が形成される。

ネパールの絶対王者アジェイ・パンディットチェトリ選手、オーストラリアのピーター・バット選手、日本のアルバート・キクストラ選手、そして私。

平地区間では様子見の展開が続く。

大きな川を横断するところでアタックをかけてピーターと二人で飛び出した。

一時後方が見えなくなるほど離すが、ここで二人で痛恨のコースミス。

致命的になる前に気づき、すぐに引き返す。15分ほどのタイムロスでアジェイ選手に再び追いつき、振り出しに戻る。

足が軽い。周りは辛そうな表情だ。

後半の1時間半以上続く長くきつい登りで勝負をかけようと思っていたが、ここが勝負所と判断し、再びアタックをかけて単独で飛び出した。

長い登りへ突入。この時点で気温は40度近い。照り返しも強く、斜度も20%以上、岩もゴロゴロ、ケイデンスが30を割るところもあった。地獄ようなキツさだ。

淡々と自分のペースで登り続けた。初日でタイム差を一気に離してやると心に決めていた。汗の流れる量が尋常ではない。極度の暑さと疲弊で意識が飛びそうになるところを気力で持ちこたえてとにかく追い込み続けた。

永遠に感じた登りを終え、フィニッシュへ向かう細かいアップダウンで足が攣り始める。しかし、自分にとって今日が勝負の日。決してスピードを緩めるわけにはいかない。

固まろうとする足に喝を入れながらフィニッシュラインをまたぐその瞬間まで出し切った。

初日、ステージ優勝を飾った。

13407335_10154294407391151_1623454467259032744_n

最大のライバル、アジェイから約35分を離すことに成功。しかし、今回の総合争いの敵は実は他にもいた。

今大会はカテゴリー分けがないぶん、40歳代には12%、50歳代には20%、女性には20%のタイムボーナスが引かれるのだ。このタイムボーナスのルールで順位は大きく入れ替わる。

タイム差を作ることに成功はしたが、油断は決してできない。そして、ワンデーレースのように追い込んだ身体のダメージが気がかりだ。

 

ステージ2:

スリランカを代表するリプトンの紅茶の茶畑のエリアを走破する二日目。その高低差と斜度は想像を絶するほどきつい。

13435292_1229352567077307_7730076141947287155_n

初日実力を出し切れていなかった登りが絶対的に強いアジェイがその実力を発揮する。スタートから軽やかに激坂をダンシングで登っていく。

13416824_1232114863467744_9068422507135085404_o

© Lucia Griggi

私の調子も悪くないが徐々に離されていく。イメージではタイム差の余裕を生かして後ろについていこうと思っていたがとても付いていけない。強い。

13442194_10154293935341151_7719271452393039125_n-2

©Sanka

チェックポイント毎にタイム差を聞くがどんどん離されていく。3分、6分、8分。

大きく垂れることもなく、悪くない走りだったが詰めることができずに2位でゴール。

ステージ3:

おそらくレース中一番のきついレイアウト。スタートから約16キロのガレた登りが延々と続く。

この日もアジェイの登板力が光る。遠い視界には入るがその姿は遠い。

そして、昨日の3位で終えているもう一人の若手ネパールライダー、ラジクマが私の後ろにべったりと付いて登る。やはりネパールライダーは登りが非常に強い。

13413733_10154301700786151_5936156534227053693_n-2

© Etienne Van Rensburg

この日の風が、スリランカでも近年稀に見るほどの強風だった。何度か飛ばされそうになり、バイクを降りなければいけないほどだった。

ラジクマが後ろから必死の形相で迫るおかげで「こっちもまだまだま負けられない!」という意識が強くなり、自分をさらに追い込むことができた。ライバルの存在は自分の力を最大限、いやそれ以上の道の力を引き出してくれる。ありがとう。

13508857_1232913016721262_7374126535353217487_n

© Lucia Griggi

後半のアップダウンでラジクマを引き離して見えないアジェイの姿を追うが、追い付けないまま2位でフィニッシュ。

アジェイからはなんと12分差をつけられていた。なんという強さだ。

ステージ4:

総合2位につけるアジェイとのタイム差は約10分。総合1位の座は決して譲れない。

今日は何が何でも調子が上がっているアジェイに付いていきたい。最初の8キロの坂をなんとしても離れず終えたい。

全身全霊で登り始めるが数キロでアジェイの後ろ姿が少しずつ遠のいていく。さらにラジクマに抜かれ、ピーターにも抜かれてしまう。

アジェイはその二人も引き離し、いつものように軽やかにスルスル急勾配の坂を綺麗に登っていく。ラジクマ、ピーター、私は10〜15秒間隔くらいでそのあとの追った。

前へ行きたい心とは裏腹にパワーが出ない。

それでも気力のみで頂上では前の二人とドッキングし、超ロングダウンヒルへと突入。ピーターと私はフルサスの特性を生かし、先頭交代をして超高速でアジェイを追った。

スリランカの小さな村々を通り抜ける。この雰囲気がとても好きだ。

しかし、この日の調子の良いピーターのペースについていくのが非常にきつかった。昨日はラジクマ、今日はピーターのおかげで自分一人では出せない追い込みをすることができていた。

親友でもあるピーターは私が千切れそうになると「カモン!」と励ましの激を飛ばしてくれる。その度にそこから雑巾から最後の一滴を絞り出すかのように再び追い込んだ。死ぬほど辛いのだが、彼には感謝しかない。彼の言葉がなかったらそこで緊張の糸が切れて大きく遅れていたことだろう。

最後の10キロ近くは舗装路で先頭交代で協力し合いながら展開した。

最終日フィニッシュはピーターと並んでの同着2位。

13497769_1233646629981234_9175205443119898390_o

© Lucia Griggi

この日ステージ優勝したアジェイには約2分差で負けたが、

トータルでは10分差で逃げ切った。

念願だった総合優勝を手にすることができた。

しかしながらアジェイは本当に強かった。ネパールというサイクリングにおいて決して恵まれていない国でここまで強くなっている彼にはリスペクトしかない。まだ26歳。これからどんどん世界に出て経験を積み、成長してこの強さを世界へ魅せて欲しい!ライバルながら心から楽しみで応援したい選手だ。

初日に限界の限界まで追い込んで生んだタイム差で優勝を勝ち取ることができた。作戦通りではあったが、3日間2位という結果ははっきり言ってすごく悔しいのも事実。完全優勝をしたかった。やはり勝負の世界は甘くはない。

そして、今回は高め合ったライバルの大切さにも心から感謝だ。辛い時に本気でプッシュしあえる彼らのおかげでまた一回り成長できた。

そして、レースが終われば笑って語り合える親友になる。今回もまたスリランカから広く深いMTBの世界の輪が広がっていく。

13483357_1233646836647880_5958336889881629539_o

© Lucia Griggi

これだから世界のステージレースはやめられない。

盛大に行われた表彰式ではスリランカ航空のCEOも出席し、メダルや賞金の授与を行った。こんなにも輝かしい表彰式は珍しく、この場で頂上に立てたことを心から誇りに思う。

13432221_10154302873546151_9132594041246587167_n-2

私の優勝賞金は$4000、ステージ優勝賞金$500、そして11月に行われるネパールヤックアタックに招待される($3995)。総額にして日本円で約100万円以上。

しかし、スリランカのMTBに対してのプロスポーツとしての尊重と認識は素晴らしいものがあった。とても未来がある視野で、選手に対しての態度や扱いもものすごい愛に溢れている対応だった。

今大会の様子はすぐにテレビや新聞でも取り上げられているのも注目したい。選手、大会、国、スポンサー、メディアの良い関係が構築されている。

13501874_997600480309187_3425673503863670034_n

MTBのレースの楽しさだけでなく、プロスポーツとしての可能性を感じさせてくれるとても大切な経験となった。

今回の優勝は私の選手人生の中でもとても大きなタイトルとなった。

ありがとうスリランカ。

そして、私の優勝を支えてくれた全ての人たち、応援してくれた人たちに感謝。

ありがとうございました!

13427876_10154303407316151_4681500815450596659_n-2

Special thanks to Srilankan Airline (スリランカ航空)!

レース機材

バイク: Canyon LUX CF 29 チームエディション

ドライブトレイン:SRAM XX1, 32T

タイヤ: Continental Race King 2.2Protection: 前後18~20PSI

グリップ: Ergon GS1

グローブ: Ergon HX2

ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11

ヘルメット: Limar

ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB

チェーンオイル:Finishline CeramicWet Lube

補給食:GUパワーバージェル&VESPAプロSayako’s Kitchen

リカバリー:C3fit コンプレッションソックス

テーピング:ニューハレ

パーソナルスポンサー:

NEW HALE:テーピング

自転車コーキ屋

Peaks Coaching Group Japan

VESPA

パワーバー

THE NORTH FACE

C3フィット

なでしこ健康生活・生きている玄米

ヒロコンフーズ

VITAMIX

HALO HEADBAND:ヘッドバンド

オルタナティブバイシクルズ

民宿 藤屋(王滝村)

百草丸 日野製薬(株)

スポーツクラブ ルネサンス

チームスポンサー:

Ergon

Topeak

Canyon

SRAM XX1ContinentalTires

Primal Wear

Finish Line

Crank Brothers

Chamois Butt’r

Stan’s No Tubes

 

速報:ランブルインザジャングル総合優勝!

スリランカの4日間ステージレース「ランブルインザジャングル」総合優勝しました!

13466073_1232122606800303_9108538278733793127_n

優勝賞金は$4000+ステージ優勝$500、11月のヤックアタックネパールのエントリー($3950)をゲットしました!

2年前は4位。あの悔しさからここまで長かったですが、ついに勝ちました。

初日に思い切り追い込み、タイム差を一気に離してそこから3日間必死の逃げ切り勝ちでした。

13413733_10154301700786151_5936156534227053693_n

後半猛烈な勢いで追い上げてきた準優勝のアジェイはとても強かったです。

最後の最後までわからない展開、意地と意地のぶつかり合い、全てを出し尽くした最高の勝負でした。

今季初の海外優勝!とにかく嬉しいです!

これも私を支えてくれている皆様のおかげです!

ありがとうございました!

また詳しいレポート書きます⭐︎

今はレースの表彰式後すぐに飛行機に乗り、フランスへ到着しています。

今週末はMTBマラソン世界選手権。

この優勝の流れで良い結果につなげます!

Fujimi DC レースレポート

大会名:Fujimi DC
大会ウェブサイト:http://www.powersports.co.jp/sda/16_ontake/index.htm
開催地:長野県富士見パノラマスキー場
開催日時:2016年6月4日
結果:第1ヒート:2位、第2ヒート:2位、決勝:3位
ファストラップ賞:3回

私の尊敬するライダー松本駿選手が開催する富士見ダートクリテリウムへ参加。

ビギナーからプロ、キッズからマスター、男女関係なく、レースを楽しめるアットホームな環境がここにはある。

私がエントリーするエキスパートは3回レースを楽しめる。

第1ヒートと第2ヒートは10分+1周、決勝は20分+2周。そして、各レースの1周目を最初に通過した選手にはファストラップ賞(1000円!)が贈られる。

私の今回の課題はスタートダッシュ。

マラソンライダーの特性か、常にスタートは牽制し、後ろで様子を見ながら後半での展開で順位を上げているのが私のスタイル。

スピード化が進む長距離レースにおいてスタートからの全力ダッシュはもはや避けては通れない。特に世界に出るとそのスピードはXCとほぼ変わらないほどだ。

特に今回のような短いレースで先頭に出ることなどかつてない経験。ファストラップ賞を獲得し、チカラ尽きるまでスプリントをするというのが今回の目標。

少人数でのスプリントレース。どこまでいけるか。

0R5A6505

第一ヒート、全力で上げ、自分らしからぬ走りで最初の坂を全てダンシングで登りきり、そのままファストラップ賞を獲得。0R5A6218

しかし、予想はしていたがその後に思い切り失速して耐えるだけの展開となり、山中選手に次ぐ2位でフィニッシュ。

0R5A6578

第2ヒートもその勢いのイメージで自分のスタイルを打ち破り1周目をファストラップ賞で通過。

0R5A6280

案の定、2周目から足も心肺も悲鳴を上げて急激な失速。

0R5A6370

無酸素の領域にい続けるこのレースは非常にきついが、松本選手監修のこのコースはなんとも面白い!

0R5A6320

絶妙なタイトコーナーの連続、二手に分かれるライン、ジャンプセクションなどなど疲れていても集中力を欠かすわけにはいかない。

なによりワクワクさせてくれるコース作りにテンションが上がる。

0R5A6766

マウンテンバイカーがマウンテンバイカーのために作るコースはやはり違う。乗っていても作り手の愛を感じる。

第2ヒートも山中選手に続く2位で終了。

決勝も変わらず、今日の課題のスタートダッシュを決める。最初の坂だけでなく、平坦区間の終わりまでダンシングを止めずに踏み切った。

0R5A6311

本気で心臓が口から飛び出るほど心拍はマックス、体からは乳酸がにじみ出るようなほどに飛ばした。1周目は後続をかなり突き放したが、当たり前だが徐々に失速を余儀なくされる。

0R5A6304

次はどこまで踏ん張れるか。

0R5A6388

限界を超えながらもしっかりとコースを楽しむ。バンクにかかるGの感覚がテンションを上げる。

0R5A6306

松本選手と山中選手にパスされ、スタートダッシュのダメージの回復を待つがなかなか戻ってこない。
0R5A6623

決勝はそのまま復活ならず3位でフィニッシュ。

スタートダッシュを決めてペースを考えずにできるところまでスプリントをするという実験的なことを実践できたレース。

これで、どこまで追い込めば失速するか、あのスプリントをどこまで持続できるか、たくさんのデータをとれたのでとても良い経験をすることができた。今レースで算出したデータを解析するのが楽しみだ。全ては次に生かすため。

日本では数少ないライバル達で切磋琢磨できる場、レベル関係なく楽しめるレース、マウンテンバイカーの交流の場を作ってくれる松本駿選手には心から感謝。さすがです。

0R5A6824

エキスパート表彰式。ライバルがいてこそ高め合える。ありがとう。
0R5A6838

恒例の豪華景品じゃんけん大会も大盛り上がり!

集合写真。このみんな笑顔の写真が全てを物語っている。
0R5A6840

みんなマウンテンバイクが、仲間が大好き!

おすすめのイベントです!参加しても、観戦しても絶対に面白いのでぜひぜひ足を運んでみてください⭐︎

ウェブサイトhttp://fujimidc.blogspot.jp

写真:Sayako Ikeda

ヒルクライム・イン・王滝村レースレポート

大会名:ヒルクライム・イン・王滝村
大会ウェブサイト:http://www.powersports.co.jp/sda/16_ontake/index.htm
開催地:長野県王滝村
開催日時:2016年6月5日
距離:24.2キロ(メーター読み)
獲得標高:1,276メートル
気温:3〜13℃
最高標高地点:2,163メートル
結果:4位(MTB部門)/ 総合19位
タイム:1時間15分28秒
TSS:111
エネルギー量:1,232kJ

昨年の大会は世界選手権のスケジュールと重なり欠場。

一昨年はMTB部門で優勝、ロードも合わせた総合では2位。

もちろん今回も狙うは頂上。

スタート恒例の祈祷を代表選手として参加者の無事を願い、御嶽山へ祈りを捧げた。

13343036_983412638439501_1727195570495896389_n

©Satoru Tanaka

スタートでは西東京から王滝村まで垂れ幕を作り応援に来てくれた方の姿が。すごく嬉しくてさらに元気が湧いてきた。

13346448_983412631772835_5480229569562795673_n©Satoru Tanaka

しかし結果から言うと予備疲労を溜めすぎ、本領を発揮できず4位という苦渋を味わう結果となってしまった。一昨年のタイムよりも遅いという非常に悔しいパフォーマンス。

火曜日から標高の高い王滝村に入り、スリランカステージレース、MTBマラソン世界選手権を視野に入れた高地合宿を始め、連日追いこみトレーニングを行っていた。前日は松本駿選手主催のダートクリテリウム(別途レポートを書きます)に参戦。ステージレース対策として合宿最終日に今大会を予定した。最後の日までしっかりと追い込むプランニングを行った。

多少の疲労感が残っていたが、それでも勝てる。と思っていた。

どこかに過信があったのだろう。

しかし、ライバル達の実力は想像以上のものでコンディションを合わせないと勝負にすらならないのが現状だった。

展開はスタートからロードの選手達を筆頭にかなりのハイペースで始まった。

13344771_983412651772833_2203472043234364927_n

©Satoru Tanaka

序盤の反応はよく、きついけれどもロードのパックに入ってレースを進めた。MTBでは宮津選手が少し前に、松本選手が視界に入る後方に位置していた。

30分を経過したあたりから足が鉛のように重くなり、フォームも保てなくなり、体重を乗せるダンシングでだましだましスピードをキープした。

普段ならばここからギヤをもう1段階上げるのだが、今回は逆にペースダウンを余儀なくされる。

息も上がりきってしまい、非常にきつい。

そこへ松本選手が私とは対照的なキレのあるダンシングで勢いよく抜いていく。

その背中を見失うまいと必死の形相で追いかける。しかし、それも数分しか続かず徐々に離される。

4位につけている山中選手も徐々に近づいてくる。

再び雨足も強くなり、風も強くなり、心身ともに窮地に追い込まれる。

標高2000メートルでのこの気候は非常に寒い。登っていても末端の感覚が麻痺してくる。

山中選手が追いつき、横に並ぶ。大きなギヤを力強く踏み、ものすごい集中している。私や前の2選手とはまた異なるパワー系の脚質だ。圧倒されそうだが、こちらも離されまいと意地を見せる。

足はもう悲鳴を上げてパワーをかけられない。フォーム、使う筋肉、呼吸を変えたり、なんとかしてスピードを上げるために少ない知恵と体力を絞りだそうと努力した。

10秒くらい前を行く山中選手。強い。

残り3キロほど。

緩めたい足と心に「超戦!!!」と、ムチを入れる。

ゴール直前のコマ送り。

0R5A6925

0R5A6930 0R5A6932 0R5A6933 0R5A6934 0R5A6935 0R5A6937

フィニッシュまで出し尽くすことが今できる最低限のゴールだ。

山中選手には追いつけず、4位でフィニッシュ。

0R5A6943

悔しすぎる。順位よりも、弱い自分が許せない悔しさ。涙がこみ上げてきた。

0R5A6942

どんなコンディションであろうとも勝てる絶対的な強さが欲しい。

まだまだ弱すぎる。そのことを改めて痛感させられた。

MTB部門の優勝者、宮津旭選手はロードを含めた総合でも6位に入る圧倒的な登板力を見せた。2位には勢いを見せる松本選手、3位の山中選手もものすごい底力を秘めている。他にも気の抜けない強豪選手達がたくさんいる。

0R5A6990

高め合える素晴らしいライバルに恵まれているのもまた事実。

皆と次に勝負をするのは9月のSDA in 王滝120キロ。

その時は、フィットネス、コンディション、全てをトップに合わせて真剣勝負を楽しみたい。

たくさんの応援・サポートありがとうございました!

いよいよ6月9日から長期海外遠征が始まります。

最初はランブル・イン・ザ・ジャングル4日間ステージレース(スリランカ)、MTBマラソン世界選手権(フランス)へと続き、渡米します。

これからも宜しくお願いします。

写真:Sayako Ikeda

レース機材

バイク: Canyon Grand Canyon CF 29 チームエディション

ドライブトレイン:SRAM XX1, 32T

タイヤ: Continental Race King 2.2Protection(後)、 Speed King 2.2 Race Sport(前): 前後45PSI

グリップ: Ergon GS1

グローブ: Ergon HX2

ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11

ヘルメット: Limar

ボトルケージ: Topeak ShuttleCage CB

チェーンオイル:Finishline CeramicWet Lube

補給食:GUパワーバージェル&VESPAプロSayako’s Kitchen

リカバリー:C3fit コンプレッションソックス

テーピング:ニューハレ

パーソナルスポンサー:

NEW HALE:テーピング

自転車コーキ屋

Peaks Coaching Group Japan

VESPA

パワーバー

THE NORTH FACE

C3フィット

なでしこ健康生活・生きている玄米

ヒロコンフーズ

VITAMIX

HALO HEADBAND:ヘッドバンド

オルタナティブバイシクルズ

民宿 藤屋(王滝村)

百草丸 日野製薬(株)

スポーツクラブ ルネサンス

チームスポンサー:

Ergon

Topeak

Canyon

SRAM XX1ContinentalTires

Primal Wear

Finish Line

Crank Brothers

Chamois Butt’r

Stan’s No Tubes

 

中田コーチによる王滝データ解析まとめ

Facebookでは公開済みですが、自分のデータながら興味深い解析・分析だったので改めてブログでも掲載します。

以下、Peak Coaching Group Japanの中田尚志コーチがSDA in王滝100キロのレースデータを解析してくれた内容です。コーチありがとうございます!

[レース] SDA王滝ウイニングデータ解析! その1

池田選手のレースデータを見て行きましょう。
王滝は日本最大規模のMTBマラソンです。一番の特徴は100㎞におよぶ距離です。
4時間37分というレースの中で、走る条件は刻々と変化して行きます。
その変化に耐えることがレースに勝つ条件になって行きます。

レースをパックで走った前半と、独走に持ち込んだ後半に分けて見てみましょう。

13256354_353278071462781_8081985204074430808_n
・峠のパワー
最初の峠での攻防は激しく32分でNP288Wを記録しています。
IF(FTPに対しての強度)を見ると0.931ですから、かなり高い強度です。体内のグリコーゲンの約半分を消費する強度と時間とも言えます。

また王滝は標高が高い分、酸素が薄く数値以上のダメージがあります。
WKO4の新機能ECP(もし標高0mで走ったとしたら何ワットになるかの推定値)で見るとECP292W。体は低地で292Wで走ったのと同じダメージを受けている事になります。


・NP
レース前半のNPは245W, 後半のNPは218W。
最初の峠でグリコーゲンを半分使ってから、まだレースは4時間あるわけですから後半はグリコーゲンが枯渇した状態で走らざるを得ません。その為後半のNPは218Wにまで落ちています。

これは単に疲労状態からくるものだけでなく、後半の峠の標高が全体的に高い(スタート地点902mに対し、後半の山頂は1587,1558,1533m)ことも影響していると考えられます。

これはECPにも表れており、レース全体を通して低地と比べて+10W余分に負荷がかかっています。

13255917_353278351462753_2009186387197979657_n

—-
・峠のペダリング
最初の峠では、QAⅠ(FTPを超えかつ90rpmを超える領域)が7.7%、QAⅡ(FTP以下かつ90rpm以下の領域)が47.6%。
最後の峠では、QAⅠが0.6%、QAⅡが39.1%となっています。

ここから最初のバトルでは、ハイケイデンス(90rpm以上)でFTPを超える能力が、後半はペースが落ちてきても踏み負けない持久力(90rpm以下でトルクフルな出力)が必要な事が分かります。

13266004_353278388129416_898149057339707909_n

—-
・気象条件
気温
最低4℃
最高23℃

スタート時の気温は4℃、レース中の最高気温は23℃。4時間半のレースの中で19℃の気温差があります。

—–
・標高
最低 902m
最高 1612m
平均 1386m

1,000mを超える高地では、空気は乾燥します。また酸素が薄い分、エネルギー消費が大きく体は脱水状態になりやすくなります。

これら気温差・標高は、筋肉がつりやすくなります。
実際、池田選手も前半のハイペース+気温差+標高により、レース後半は、筋肉の攣りに苦しめられました。

—–
データを次回のレースに活かす。
池田選手のデータを見て行く中で、下記の王滝対策が見えてきます。

キー・ラーニングポイント
・標高により実際のパワー値以上に体は消耗している。(海抜0mに比べて+10W消耗している)前半飛ばし過ぎると、いつも以上に後半踏めなくなるので注意。

・後半は標高の高さからパワーが出なくなる。「終わってしまう」ようなペースアップは避け、いつも以上に注意深くペーシングする必要がある。低地に比べて+10W負荷がかかっていると認識しておくこと。

・前半の峠バトルに備えて速いケイデンスで高いパワーを出すトレーニング、後半の為に低いケイデンスでトルクの高いパワーが出るトレーニングを行う必要がある。

・気温の差、標高から筋肉が攣りやすい。レース前の食事で電解質(マグネシウム・カリウム・カルシウム)は、通常より意識して摂る必要がある。

・カフェインは水分を逃がす為、レース週のコーヒーは控えめに。

——

[レース] 加齢を味方につける方法 解析その2

SDA王滝のウィニングデータ解析

昨日に続いて池田選手の走りを更に見て行きましょう!今日は36歳にして自己ベストを5分縮めた理由です。

——
池田選手にとって、春の王滝は「鬼門」で、優勝できそうで出来ない年が続きました。
写真の表は2011年から2016年までの池田選手の王滝の順位とタイムです。

昨年秋の王滝は優勝しているものの、春の王滝に関しては2012年を最後に優勝がありませんでした。(王滝は年に2回あります。)

そこで今回は優勝した昨秋の王滝をベースにトレーニングを組み、なおかつ昨秋以上の調子に持って行くを目標にしました。

13241322_353623468094908_9014558906115730383_n

—–
(1)過去のデータをベースにトレーニングを組み立てる。

我々にとって都合が良かったのは、昨年と今年のレーススケジュールが非常によく似ていた事です。
昨秋の王滝、今回の王滝ともに海外のステージレース参戦が終了した22日後にレースがありました。

その為、ステージレース終了後の疲労回復と、残り22日間のトレーニングスケジュールを昨年をベースに増減する事が容易に出来ました。

2015 秋の王滝
モンゴリア・バイク・チャレンジから22日後にレース
モンゴリア終了後 CTL116, ATL182, TSB-94

2016 春の王滝
ジョバーグトゥーシーから22日後にレース
ジョバーグ終了後 CTL120, ATL147, TSB-48

2015 / 2016年 比較
CTL116 / 120 =フィットネスは、ほぼ同じ。
ATL182 / 147 =疲労は若干軽め。
TSB=-94 / -48 調子(疲労状態)も軽めということが分かります。

13263879_353623461428242_4686860095870561607_n

—–
(2)トレーニング計画

2015年のモンゴリアは極度の疲労の上に、参加者から風邪をもらい体調を崩しました。
その為、調整程度のトレーニングで王滝に出場せざるをえませんでした。
データを見るとTSBが-94に達していることが大きく免疫システムに影響している事は明白です。

その為、今回はTSB-48と軽いものの、帰国後1週間はFTPを超えない有酸素ベースのトレーニングで様子を見ました。
レースは1週間に25時間走るハードなものでしたから、帰国後1週間のトレーニングは4時間/週に抑えて回復に努めています。

回復がすすみ体感的にハッキリと体調が良いと感じれるようになってから、昨年出来なかったFTP以上のトレーニングを入れて調子を上げます。MTBマラソンと言うと距離が強調されがちですが、実際は激しいアップダウン、ライバルとの攻防がありFTP以上の強度も出現します。

ライバルとの攻防を越え(FTP)、独走に持ち込むことを前提(VO2Max / Tempo)としたトレーニングをレース週の水曜日に行いました。
これは体力の強化になるだけにでなく、良いイメージトレーニングになります。

——
(3)レース当日
迎えたレース当日のPMCは下記のとおりです。昨年の秋を超えるフィットネス(CTL)、調子(TSB)を実現してレースに臨んでいる事が分かります。これは体調を把握するだけでなく自信を持ってレース当日を迎える精神的なバックアップにもなります。

レース当日
2015 秋の王滝
CTL93, ATL80, TSB+26

2016 春の王滝
CTL106, ATL110, TSB+21

——
結果
Stravaデータで2012年優勝時と2016年優勝時を比べてみましょう。

2012
最初の登り 4941climb: 29:45, 13kph, 262W, 908VAM(VAM=1hに何m登れるか)
最後の登り SDA王滝 春 激坂入口~最後のピーク: 22:16, 15kph, 221W, 571VAM

2016
最初の登り 4941climb: 28:53, 13kph, 283W, 935VAM
最後の登り SDA王滝 春 激坂入口~最後のピーク: 22:24, 15kph, 219W, 567VAM

結果的に全体では4年前のタイムを5分短縮して優勝。MTBは路面状況が大きくタイムに影響する為、一概に言えませんが、タイムを短縮して優勝しているのですから強くなっていると言い切って良いと思います。

—————————————-
データと経験を活用しレースへの戦略を立てて行けば、加齢はスローダウンの要因ではなく、速くなれることを示しています。

—————————————-

キー・ラーニングポイント
・過去のCTL、ATL、TSBをベースに現在の状態を把握する。
・過去のレースをベースにトレーニングを組み立てる。
・過去の実績を元に未来を予想し修正する。
・当日、自信を持って迎えれるようにトレーニング、データの確証をつくっておく。

より多くのデータを蓄積し、活用する事で皆様も年を追うごとにパーフォーマンスを上げて行って頂きたいと思います。

———-
CTL:過去42日間のTSSの平均=どれだけトレーニング出来ているか=フィットネス
ATL: 過去1週間のTSSの平均=どれだけ疲れているか
TSB: CTL-ATL=調子=どれだけ疲れが抜けているか

——
注意点:データはトレーニングの結果です。ですから数字合わせに走るトレーニングではなく、ベストなトレーニングを行った結果、狙った値に収まるのが大切です。

——-

秋の王滝で皆様の走りにお役立て頂けると嬉しいです。

Peaks Coaching Group – Japan
中田尚志
——-

中田コーチからパワートレーニングに関するセミナーのお知らせです⭐︎

パワートレーニングに興味がある方は要チェックですよ!

[パワーセミナー] シルベストサイクル梅田店様
初心者向けパワーセミナーを開催させて頂く事になりました。

・日時:7/3(日) 16:00~
・場所: シルベストサイクル梅田店6階会議室
・料金:3,000円
・お申込み方法:シルベストサイクル各店にて直接お申込み下さい。
お電話メールでも結構です。
シルベストサイクル梅田店 06-6344-3808
メール takashiアットpeakscoachinggroup.com
アット=@

今回はパワーメーターに興味のある方、パワーベースのトレーニングを始めてみたい方向けの初心者講習です。
パワーメーターは、ダイエットから五輪レベルの強化まで役立つツールです。

活用することで必ず投資価値を見出すことが出来ます。
是非この機会にご参加ください。