ヤックアタックレースレポート2016後半

大会名:ヤックアタック2016
大会ウェブサイト:http://theyakattack.com/yakattack/
開催地:ネパール・アンナプルナサーキット/ムスタング
開催日時:2016年11月3~16日
結果:9ステージ総合5位
ステージ1(33km、獲得標高1190m、最高標高1616m):7位
ステージ2(71km、獲得標高2900m、最高標高2700m):5位
ステージ3(30km、獲得標高1250m、最高標高3540m):5位
ステージ4(16km、獲得標高1238m、最高標高4450m):6位
ステージ5(11km、獲得標高1036m、最高標高5416m):6位
ステージ6(46km、獲得標高2050m、最高標高4080m):3位
ステージ7(38km、獲得標高1400m、最高標高4010m):6位
ステージ8(54km、獲得標高2150m、最高標高4288m):4位
ステージ9(32km、獲得標高1250m、最高標高3751m):8位
タイム(9ステージ合計):24時間55分55秒

レースレポート前半(ステージ1〜5)

ステージ6(46km、獲得標高2050m、最高標高4080m) :

このステージから、許可を取らない限り入山できないネパールの聖地「ムスタング」エリアへと入る。例年と全く違うコースとなるので未知の世界だ。

考えないように、受け入れないようにしていたが、ステージ4の夜から崩した風邪らしき症状が本格化してきた。ただでさえ不調なのに体調まで崩してしまう失態。自分が情けなく、自身に対して堪らない怒りを覚える。

スタート前の体調は最悪。飲み込む唾でも喉は痛み、乾いた冷たい空気も滲みる。体はだるく、関節も痛む。少しでも、1秒でも喉と鼻を守るためにスタートギリギリまでマスクを着用した。レースをできるか迷うほどに具合は悪かった。

しかし、ここまで来て諦めてたまるかという意地とエゴ。加えて自分への怒り。スタートラインへと並ぶことを決意した。

スタートから乗車できない登り箇所が点在する。担いでは乗ってを繰り返し、4080mの峠を目指す。やはり身体の反応は鈍く、10位くらいの位置で序盤を進む。

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©Matt Rousu

しかし、身体が温まり始めると鼻が通り始め、足も回り始めた。決して速いわけではないが、淡々と一人ずつ抜いていきながら順位を上げる。

長いダウンヒルセクションで一気にトップ5まで上げる。寒く、乾いた荒涼とした山岳コースをただひたすら無心で漕ぎ続けた。

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©Matt Rousu

後半に差し掛かり、4位に浮上し、3位の選手を視界に捉える。容赦なく続く砂の深い20%の斜度はあるだろう登り。

具合も悪くなり、順位も振るわない。そのどん底の状況が逆にプレッシャーを取り払い、吹っ切れたように集中力を高くしてくれた。

3位のローンに並ぶ。向こうもステージ入賞を逃したくない。簡単には抜かさせてくれない。一進一退の攻防が続く。追いつくだけでも限界だったが、今はそこからさらにギヤを一段をかけての勝負。

抜きつ抜かれつの想像を絶するきつい状況が1時間くらい続く。一瞬でも足を緩めたら負けだ。絶対に引けない戦い。

テクニカルなロックセクションでわずかにローンが躓き遅れた。たった2〜3秒だろう。しかし、この数秒が大きい。震える足で無理やりダンシングでアタックをかける。精神的なダメージを与えるためにもできるだけ元気なフリをして演技をする。これっぽちも余裕はないが勝負をかける。

ここで初めてギャップが生まれ、さらにタイミング良く長めのダウンヒルに入り、さらにその差を広げる。

必死に逃げた。そして、まだ姿は見えないが前のトップ2人にも追いついてやる勢いで無我夢中でペダルを回した。

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©Matt Rousu

前の2人には追いつけなかったが、3位で今大会初のステージ入賞を果たした。大会中最悪の体調の日に。自分自身の可能性に驚き、嬉しくもなった。

レースは本当に何が起こるかわからない。しかし、それは今回のように諦めないで戦い続けていればの話だ。

最後まで戦ってみせると改めて心の中で誓った。

ステージ7(38km、獲得標高1400m、最高標高4010m):

連日限界を超えて追い込み、キャンプ地も標高3500m以上の過酷な環境下で体調も回復するわけはない。翌日のスタートは容赦なくやってくる。

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©Matt Rousu

今日のミッションも変わらない。「今のベストを尽くす」。余計な雑念は頭から排除し、前へ進むことのみに集中し、全力を尽くす。

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©Matt Rousu

人が生活できる環境か疑うほどの荒涼とした世界が広がる。まるで違う惑星に来たかのような錯覚にさえ陥る。

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©Matt Rousu

ネパールの最強コンビ、アジェイとローンと今日も競い合う。4−5−6位のパックだ。コースは3つの大きな峠があるわかりやすい設定。

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©Matt Rousu

3人でバトルをしながら良いペースを刻んでいくが、2つ目の峠頂上付近で悔しくも遅れ始めてしまう。私が弱いというのもあるが、やはり彼らは強い。3つ目の登りでも視界に2人はいるが追いつくことができない。

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©Matt Rousu

わずかな差だがトップ5に入り込めず、6位でフィニッシュ。7ステージ終えた総合は5位。

この時点で総合4位のアジェイとわずが8秒差。七日間レースを終えて8秒差とは、ものすごい良い勝負をしている。明日のステージは険しく長い。勝負の明暗を分けるステージになることは間違いない。

心から勝ちたい。

ステージ8(54km、獲得標高2150m、最高標高4288m):

具合が悪いことや、ネガティブな思考は一切捨て去った。今日はワンデーレースのつもりで臨む。

狙うはステージ優勝。ライバルのアジェイだけでなく、トップ3のコーリー、ティナス、ピーターにも勝つ。やってみせる。

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©Matt Rousu

スタートからアジェイが先頭を強烈なペースで引く。そこにコーリー、ティナス、少し離れて私、ナラヤン、ピーターが続く。アジェイからの気合いがバシバシ伝わって来る。

4000m付近なのでとても苦しい。しかし、今日の自分は負けていない。まずは遅れた始めたアジェイをパス。テクニカルなロックセクションで今大会不動のトップ2に追いつく。アジェイ、ピーター含む後続はかなり離している。

コーリー、ティナス、私の3人の先頭パックで進む。さすがにこの2人のペースは速い。ただ一緒に乗っているだけでは置いていかれてしまう。

登りの能力は現時点で2人には負ける。しかし、テクニカルセクション、下りでの技術では決して負けていない。むしろ勝っていると感じる。得意な場面では積極的に前へ出て、登り途中までは先行して、抜かされるにしても離される距離を最小限に抑える戦略を取った。

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©Matt Rousu

ムスタングの最高地点4288mの峠に差し掛かる手前で徐々に2人からジリジリと離されてしまう。

しかし、まだ焦ってはいない。これからテクニカルな長いダウンヒルがいくつかあると聞いている。長所を最大限に生かせば必ず追いついてステージ優勝の可能性はまだまだある。

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©Matt Rousu

1−2分遅れて登頂し、下りへと入る。ここからしばらく二日前のステージと重なり、以前とは進行方向が逆となる。

この下りで前の2人に合流したいところだが、コースに困惑してしまう。昔のコースサインが残っていて赤い矢印が2方向を向いているのでそのたびにスピードを緩め、確認しなければならない。しかも、下りでスピードもあるので見逃す不安も抱える。

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©Matt Rousu

疑心暗鬼のままにコースサインに習って下っていたら、気付くと見覚えのある二日前のフィニッシュ地点の村まで下りてきてしまっていた。そのまま行くと一昨日のステージを繰り返すことになってしまう。これは違うのではないか。。。

フィニッシュ後に聞いた話だが、同じ様にコースロストをした選手は多数いた。

とりあえずどこでコースミスをしたかもわからないので、下りてきた道を登り返す。精神的なショックからか足が回せず、バイクを押して歩いて登り返した。ようやく見晴らしが良い地点まで戻ってきて辺りを見渡す。

すると、自分の後ろにいたはずのアジェイ、ピーター、ティトの3人の登る姿が反対の山の中腹、遥か彼方に見えた。トップ2人の姿は視界にすら見えない。

ステージ優勝の夢が崩れ去る。絶望感。今から再スタートしてもあの3人にすら追いつけるかどうか。

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©Matt Rousu

悩んでいる暇はない。とりあえず追走を開始しなければ。不幸中の幸いなのか、今ステージは比較的長い。その分だけ再び追いつけるチャンスがあるということだ。ポジティブな面だけを考えて再びペダルに力を込めた。

足はまだ生きている。スピードが伸びる感覚もある。まだ絶対に追いつける。

5位のティトには思ったよりも早く追いつき、抜かすことができた。この時点で3−4分先にピーター、さらに1−2分前にアジェイの姿を捉えていた。ロストしたせいで残りの正確な距離が計算できない。フィニッシュまでに追いつきたい。間に合うか。

今日だけで限界の壁を何回越えただろうか。

所詮、限界なんて言葉であり、自分が作っていた妄想にすぎないのかもしれない。

現に、疲労が最高潮にあるはずのステージ8のこの場面で今大会中自己最高のパフォーマンスを発揮している。

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©Matt Rousu

張り裂けそうな心肺、何度も攣っている足、まだまだ動く。前へと確実に近づいていく。

最後の登りの頂上と思われる手前でピーターを抜き去る。

30分前には遥か彼方に見えていたアジェイの姿もグンと大きく視界に入ってきている。

深い轍と深い砂の急斜面ダウンヒルが始まる。巻き上がる砂埃で視界はゼロになる場面もあった。ラインが見えない中でほぼノーブレーキで飛ばす。リスクはかなりあるが、今はそのリスクを取る時だと判断。

危険、リスク、楽しさ、喜び、全てを引っくるめて、命をかけるほどの存在が私にとってのMTB。だから熱くなれるし、やめられない。

ワンコーナー差までその姿が近づいてくる。届きそうだ。

しかし、コーナーを曲がり、登り返したところでアジェイがフィニッシュしている姿が視界に飛び込んできた。先にフィニッシュしていたコーリーとティナスの姿も。

追いつけなかった。ステージ優勝もできなかった。

この日のアジェイとは33秒差。トップからは9分58秒差。

私がロスト時間は10分29秒(STRAVA調べ)。単純にロスト時間を引くと、ステージ優勝も夢ではなかったタイム。

レースに「たられば」はないが、今日のこの日、私は勝てる足と気持ちは持ち合わせていた。それがコースロストという理由で結果に繋がらなかった。

大会のコースマークミスという行き場のない怒りと、勝てなかった自分に対する死ぬほど悔しい想いはあるが、十分に戦えるポテンシャルがまだ自分の中に秘められていたことは驚きと同時に純粋に嬉しかった。

あと1日。今日の悔しさを明日にぶつけてみせる。

ステージ9(32km、獲得標高1250m、最高標高3751m):

最終ステージ。4位のアジェイとの差は38秒。今日も昨日に引き続き、狙うは悲願のステージ優勝。

短いステージだけにスタートから激しい攻防が始まる。序盤の平坦セクションではアジェイと共に先頭に出て、積極的に勝ちを意識した走りを見せた。

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©Matt Rousu

距離が短いとはいえ、アップダウンが激しく、ハードコースには変わりない。加えてキツイ向かい風が容赦なく吹き付ける。

最初の長めの登りに入り、ペースアップを図るが自分の身体とは思えないような重さを感じた。一気に先頭集団から取り残されてしまった。後続にも追いつかれ、必死に着いていこうとするが徐々にちぎられていく。

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©Matt Rousu

下りで前に近づくも登りに入るとスピードが出ない。前日のコースロストからの追い上げで足を使い果たしてしまったのか、足がフニャフニャで力むことも難しく、息だけが上がる。

それでも、最後まで諦めずに全力でやり抜く泥臭いスタイルが私。

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©Matt Rousu

最終日は7位と全く振るわない結果となってしまった。9ステージ総合は5位。

レースを終えて・・・

優勝をするためにネパールへ再び戻り、参戦したヤックアタック2016は終了した。

悔しさと反省だけが残るレースだったのだろうか。もちろんその部分は大きいがそれだけではなかった。

沢山の試練と感動、サバイバルな生活環境、涙が出るほどの絶景、自分の弱さとの葛藤、自分に秘めた新たな可能性、MTBの素晴らしさ、ライバルや仲間の大切さ、ネパールの文化、暖かさ、感謝、、、

この10日間の大会期間中に経験した幾多の「気付き」は私をレーサーとしてだけでなく、人として大きく成長させてくれたと思う。

優勝こそできなかったが、今シーズン最後のレースとして「ヤックアタック」へ参戦して良かったと心から思える。

今大会も、今シーズンも沢山の熱い応援・サポート誠にありがとうございました!

高地順応/低酸素トレーニング特別協力:
HYPOXICO 低酸素システム
ニュートラルワークス[NEUTRALWORKS. BY GOLDWIN](低酸素ルーム/リブートストレッチ)

登山・アウトドア装備協力:
THE NORTH FACE

レース中機材・装備:
バイク: Canyon LUX CF 29 チームエディション
フォーク・リアショック:Rock Shox RS-1Monarch XX
ブレーキ:SRAM Guide RSC
ドライブトレイン:SRAM XX1, フロント32T(ステージ2から30T)
タイヤ: Continental X King 2.2Protection: 前後18〜20PSI
シーラント:Stan’s NoTube Race Sealant
グリップ: Ergon GS1
グローブ: Ergon HX2
サドル:ERGON SMR3 S Pro Carbon
ペダル: Crank Brothers Eggbeater 11
ヘルメット: Limar
工具・サドルバッグ・ボトルケージ: Topeak
チェーンオイル:Finishline
補給食:GUパワーバージェル&VESPAプロSayako’s Kitchen
ソックス:C3fit 
テーピング:ニューハレ
ケーブル/ワイヤー:JAGWIRE
ヘッドバンド:Halo II (ヘイロ II) プルオーバー
チームジャージ:Primal Wear

パーソナルスポンサー:
NEW HALE:テーピング
自転車コーキ屋
Peaks Coaching Group Japan
VESPA
パワーバー
THE NORTH FACE
C3フィット
なでしこ健康生活・生きている玄米
ヒロコンフーズ
VITAMIX
HALO HEADBAND:ヘッドバンド
オルタナティブバイシクルズ
民宿 藤屋(王滝村)
百草丸 日野製薬(株)
スポーツクラブ ルネサンス

チームスポンサー:
Ergon
Topeak
Canyon
SRAM XX1
ContinentalTires
Primal Wear
Finish Line
Crank Brothers
Chamois Butt’r
Stan’s No Tubes

 

ヤックアタック2016レースレポート前半

大会名:ヤックアタック2016
大会ウェブサイト:http://theyakattack.com/yakattack/
開催地:ネパール・アンナプルナサーキット/ムスタング
開催日時:2016年11月3~16日
結果:9ステージ総合5位
ステージ1(33km、獲得標高1190m、最高標高1616m):7位
ステージ2(71km、獲得標高2900m、最高標高2700m):5位
ステージ3(30km、獲得標高1250m、最高標高3540m):5位
ステージ4(16km、獲得標高1238m、最高標高4450m):6位
ステージ5(11km、獲得標高1036m、最高標高5416m):6位
ステージ6(46km、獲得標高2050m、最高標高4080m):3位
ステージ7(38km、獲得標高1400m、最高標高4010m):6位
ステージ8(54km、獲得標高2150m、最高標高4288m):4位
ステージ9(32km、獲得標高1250m、最高標高3751m):8位
タイム(9ステージ合計):24時間55分55秒

世界で最も高い地で行われるマウンテンバイクレース「ヤックアタック」。ネパールのヒマラヤ山中で行われる世界で最も過酷なレースとして世界にその名を轟かす。

特に今年は10周年記念ということでステージ数も増え、コースも大幅に変わり、例年のアンナプルナサーキットに加え、許可が無いと立ち入ることができないネパールの聖地「ムスタング」がレースの舞台となった。ステージ3からステージ9までの平均標高は3500mを越え、例年より過酷さは増し、よりダイナミックなコースとなった。

2年前は準優勝、昨年はレースをリードしている最中に落車からの怪我。届きそうで届かない優勝。「今年こそはてっぺん!」その強い想いを胸に4回目の出場を決意した。

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ステージ1(33km、獲得標高1190m、最高標高1616m:タイムトライアル):

1分のインターバルで一人一人出走するタイムトライアル形式。コースは前半約15キロの荒れた険しい登り。ここでできるだけ前のライダーを抜かし、出し切って登頂し、後半フィニッシュまでの得意な下りでさらにタイムを稼ぐ。単純な作戦だ。

優勝候補とアナウンスされてコールアップ。多くの声援にテンションはマックスまで高まる。スタートから自分のレッドゾーンを見極めながら冷静に追い込む。しかし、普段のレースよりも息が早く上がり、足も重く感じ始める。序盤は一人での走行なので自分が速いのか遅いのかが判断できない。

登り中盤からその答えが明らかになる。後ろからスタートした選手に次々と抜かれていく。必死にもがいて着いていこうとするが、気持ちに身体が全く着いていかない。

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©Mtbmagasia

「なぜ?」「こんなはずではないのに!」「必死に準備してきたのに!」

今理由を探しても仕方ないのはわかっているのに、気持ちの中で葛藤し、見苦しくもがく。とにかく最後まで出し切ったが7位という最悪の初日となってしまった。まだ1日目。明日こそは本調子がでるはずだ。自分に言い聞かせる。

ステージ2(71km、獲得標高2900m、最高標高2700m):

今大会で最長にして、最大獲得標高のクイーンステージ。スタートから先頭集団に食らい付き、先頭に出る場面もあるが、昨日に続きどうにも足の反応が鈍い。

普段だったら着いていけそうなペースアップにも置いていかれ、ずるずると遅れ一人旅となる。パワー数値に目をやると置いていかれるようなスピードではない。

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©Matt Rousu 写真中ライダーはLeigh Ann

先頭から離れて4時間以上の孤独な登り。延々と続くきつい坂と葛藤する自分との戦いの時間。

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©Matt Rousu 写真中ライダーはLeigh Ann

刻々と変化するダイナックな素晴らしい景色すら今の自分には皮肉に見える。昨日同様、今更考えても仕方がない不調の理由まで勝手に頭が探し始める。

2月からの長いシーズンの疲労が溜まっているのだろうか?レース直前の追い込みトレーニングを焦ってやり過ぎたのだろうか?オーバートレーニング?だとしたら今どうする?どんなチョイスが残されている?

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©Matt Rousu

結果とパフォーマンスが出ないのだったら続ける意味あるのか?違う!

こんなに苦しんでも結果が出ないんだったら足を緩めても良いのでは?違う!

心の中で自分と格闘する。

必死でトレーニングしてきた自分と心から応援してくれる沢山の人たちを思い出す。

すると、

どんなに調子が悪くても、どんなに辛くても、どんなに悩んでも、

行き着く結論は常に一つ。やることはただ一つ。

「今のベストを尽くす」。

二日目。昨日より二つ順位を上げて5位でフィニッシュ。

ステージ3(30km、獲得標高1250m、最高標高3540m):

距離は短いがいよいよ標高3000mを越え始める。

st3matt1©Matt Rousu

標高の反応は人それぞれ違うが、今年は低酸素テントに寝泊まりし、低酸素ルームに通いトレーニングを入念に行った。

相変わらずトップ4人からは遅れを取っているが、例年よりもきつい中での呼吸は楽な気がする。

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©Matt Rousu 写真中ライダーはLeigh Ann

昨年、このステージのフィニッシュには酸欠気味になりフラフラたどり着いた思い出があるが、今年は後半に行くに連れて足が回る良い展開。まだまだこれからのステージに希望があると思わせてくれる日となった。5位でフィニッシュ。

ステージ4(16km、獲得標高1238m、最高標高4450m):

16キロとかなり短いが3500m−4500mへ上がる標高が超高いステージ。この標高で追い込み一回息が上がると、頭もクラクラし、普通の呼吸に戻すのに平地の倍の時間はかかる異常な世界。

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ここに来て、争う順位が微妙に変わってくる。トップにいたアジェイが標高のせいか調子を落としてくる。しかし、高地に来てグングンと強みを見せてくるライダー達もいる。特にネパール選手の何人かは活き活きとしている。

ヤックアタックの絶対王者と言われるアジェイを交わしてもトップ5に入れない状況。今までトップ争いに絡むことがなかったナラヤンやローンが頭角を現し、標高を物ともせず強みを見せてくる。低地のレースではない展開だ。

標高4000mを越えてのレースはやはり別世界。スローモーションに感じるほど体の反応は鈍い。空気も極度に乾燥し、強風による砂埃で呼吸器系に余計なダメージを与える。

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©Tito Tomasi

ゴールまで続く崖と隣り合わせの狭いオフキャンバーシングルトラックを登る。急勾配なので酸欠でフラフラすると滑落すらし兼ねない危険なセクション。基本に帰り、ゆるい砂礫の路面のトラクション確保に集中し、大事に一漕ぎずつゴールへ向かった。

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フィニッシュゲートをくぐるその瞬間まで追い込み続け、6位でフィニッシュ。4日間総合は5位。

ステージ5(11km、獲得標高1036m、最高標高5416m):

昨晩から喉の痛み、止まらない鼻水、悪寒が始まった。4500mの標高、低い気温(部屋に暖房器具はもちろん無い)、昨日の乾燥と砂埃の影響だろうと思っていた。

午前2時30分起床。寝袋から出るのも苦痛なほどに寒い気温と体調の中、ほぼ無理やり朝ごはんを胃に詰め込み、4時スタートのために準備を進める。

コース前半5.5キロはほぼ乗車不可能なのでバイクを担ぎ、自分の足で歩き、登山で大会中最高地点ソロング峠(5416m)を目指す。

私はバックパックにバイクをストラップでくくりつけて登った。選手によってはそのまま肩、背中、頭にバイクを担ぐ。

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午前4時はまだ真っ暗なのでヘッドランプを点けてのレーススタート。序盤は手をつく必要がある急斜面な箇所もあり、バイクを担いでいると非常にきつい九十九折が続く。ここで集団は一気にばらけていく。

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しかしながら路面コンディションは過去最高に良く、まさかの残雪が一切ない。昨年は残雪やアイスバーンも多く、頂上まで乗車箇所はほぼなかったのでバックパックにバイクをくくりつける作戦をとった。

しかし、平坦や緩い登り箇所は乗車可能という予想外の事態。乗車する選手に抜かされる場面もあった。ストラップを外そうかとも迷うが先が読めないので選択に悩まされた。結局、最初に決めた作戦を選び、頂上までは担ぐことにした。

今日のステージは、標高での強さに加えて、登山の力も必要とされるので上位選手達が微妙に入れ替わる。ネパールの選手は全体的に登山が強い。山岳民族の遺伝的なものなのだろうか。

バイクの背中にかかる荷重が一定でないので時間が経つと腰が痛くなる。かく汗も一瞬で凍えるほどに冷えるので立ち止まることも許されない。ヘッドライトで照らされた目の前のトレイルを必死に、ただひたすら進むだけ。

水分補給は胸ポケットに入れた小さいフラスコから大事に飲んだ。外に出しておくと凍って飲めなくなってしまうからだ。

約2時間でようやく登頂。この時点では8位。昨年は約3時間かかっているので今年のコンディションはかなり良かったことが伺える。それにしても2時間は悪くはないタイムだ。周りがとても強く速いのだ。

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↑は昨年の登頂時の写真。今年は雪は全くなく、最高のコンディションだった。

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↑昨年の峠からの写真。この絶景の中を一気に爽快にダウンヒル。

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↑名物の吊り橋。かなり揺れるし、高さもあるので高所恐怖症の私にとっては結構な難関だ。

せっかくの登頂記念だが、頂上だと気づかないほどにまだあたりは暗かった。ゆっくりと日の出など拝んでる暇などもない。順位を少しでも取り返すために最小限の時間でバイクをバックパックから外し、補給食を摂り、ダウンヒルへと突入した。

超テクニカルだが約2000mの標高差を一気に下る極上のダウンヒルだ。

下りに入るとうっすらと明るくなり始め、ダイナミックなヒマラヤ・アンナプルナの360度パノラマの絶景が現れてくる。

その中をMTBで思い切り駆け抜ける爽快感は言葉ではなかなか表せない。

マウンテンバイクをやっていて良かった。心底そう思える瞬間だ。

下りしかないのでサドルは思い切り下げてダウンヒル仕様に。ブレーキを最小限に飛ぶように下る。

スピードを上げれば上げるほど、冷たい空気と共にキンキンに神経が研ぎ澄まされていく。タイヤのノブ一つのヨレまで感じるくらいの集中の塊となる。

転んだら命を失うほどのスピード、滑落の危険との隣り合わせ。しかし、このスリルが生きていることを実感させ、テンションを最高潮にさせてくれる。

危ないと思われるかもしれないが、逆に恐怖を感じ、スピードを緩め、雑念が多い方が集中しきれていないので落車につながることが多いのだ。

確かにスピードは出ているが、極限まで集中しているので滅多に転ぶことは無い。機材もそれに耐えうる最高のチョイスをしている。

だいぶ前に登頂した二人を抜き去り、順位を一気に6位へ上げた。

もっと下っていたい。もっと長くこの集中の世界に身を置いていたい。

そんな最高のフィーリングの中、フィニッシュラインをくぐった。

ステージ6位。5日目総合は5位。

順位には満足していないが、5416mからヒマラヤを一気に駆け下りるダウンヒルを体験できたことには心から満足できた。あのきつい登山をした甲斐は十二分にあり、最高のご褒美だった。

やはりマウンテンバイクは最高のスポーツだ。

後半戦へ続く。

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高地順応/低酸素トレーニング特別協力:
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タイヤ: Continental X King 2.2Protection: 前後18〜20PSI
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今シーズン最後のレースを終えました!

今シーズン最後にして最強のレース

ヤックアタック

を終えました。

ヒマラヤ山中の10日間9ステージの激闘の総合結果は、、、

5位でした。

てっぺんを狙いに行った決戦でしたが、、、

あの時、あの状況の中で必死にもがいて、葛藤して、ベストを尽くし、出し切った結果です。

優勝したコーリー・ウォレス選手は本当に強かった。

ティナス(2位)、ピーター(3位)、アジェイ(4位)も強かった。

完敗です。

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ただ、9ステージの中には対等に戦える場面もあり、自分の新たな可能性も見ました。

特に、最終日まで1分以内で4位争いをしたアジェイとの勝負は今思い出しただけでも興奮します。真剣勝負の中でお互いを高め合い、限界を何回突破し、成長できたか、最高のレースをしました。感謝の念すら覚えます。

みんなありがとう。

まだまだ強くなれる。

まだまだ強くなりたい。

まだまだ強くなってみせる。

今はその気持ちでいっぱいです。

そのはやる気持ちは今は少し抑えて、来シーズンに向けて始動する前に充電期間を設けます。

ヤックアタック中に崩した体調もまだ回復していなく、そして2月からスタートした長い今シーズンの疲労もかなり蓄積しているので自分のペースでゆっくりと身体と心を癒したいと思います。

ヤックアタックの詳しいレポートは近日中にアップしますのでよろしくお願いします!

もう一つお知らせです。

11/10発売 【Tarzan】No.707

4Pに渡ってロングインタビューを掲載していただいています。ヤックアタックへの決意、MTBの魅力ーetc について語っています。お近くの書店、コンビニなどでぜひご購入してご一読お願いいたします⭐︎

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今シーズン最後の戦い「ヤックアタック」明後日からスタート

ネパールに無事に入っています。

移動疲れが残っているものの、調整して本番が始まる明後日には万全の体制で臨みます。

成田空港では盛大に見送られました。応援してくれる家族、仲間がいることに心から感謝。幸せ者です。

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こちらに来てからは食中毒を避ける為に数日間自炊しています。最初は標高が低く、気温が高いので食中毒のリスクも高まります。水も危険なので歯を磨く水もミネラルウォーターです。

標高が高くなると湿度も気温も低くなるのでリスクは減ります。ステージ2までの辛抱です。

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自炊でもしっかりと栄養をとる為に、厳選したスーパーフードを持参しています。

ヘンプシーズ(麻の実)、ビーツは特にお気に入りの食材。私のお気に入りの麻の実は良質なタンパク質/アミノ酸、食物繊維、鉄分、オメガ3/6がた〜っぷり。

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日本のソウルフードのお味噌汁、梅干しも欠かせません。梅干しはクエン酸豊富、そして殺菌作用もあるので重宝しています。

他にもジャパニーズスーパーフードの納豆、玄米甘酒、青汁、百草。健康体を保つことでパフォーマンスを最大限発揮します!

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4年目ということでネパールのコミュニティやレース仲間も増え、恒例のビッググループライドも行きました。世界のレースに出ると世界に友達の輪が広がっていくのが嬉しいですね〜!これもMTBの魅力!

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レースナンバーは「5」。バスケ時代から好きで付けていたマイラッキナンバー!

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とても良い予感しています⭐︎

明日は、6時間ほどみんなでバス移動してスタート地点ベシサハールへ向かいます。

ステージ1は明後日から始まります!レース期間は10日間。

レースの様子は

大会ホームページ:http://theyakattack.com/yakattack/leaderboard/2016-upcoming/

大会フェイスブック:https://www.facebook.com/theyakattack/?fref=ts

で更新されると思います。

もしくは、妻の清子のフェイスブックページ:https://www.facebook.com/sayako.munakata?fref=ts

なんせ標高5400mまで登る山の中なのでネット環境は超微妙です。。。大会自体も途中結果をアップできるか微妙なところですが・・・

おそらく私は明日か、明後日から音信不通となるのでよろしくお願いします!

さて、ヒマラヤを舞台にした大冒険の始まりです⭐︎

いってきま〜す!

今日からネパール遠征スタート!

いよいよ。本日から今シーズン最後の戦い、遠征が始まります。

外苑前のニュートラルワークスにて約2ヶ月間に及ぶ低酸素ルームでのトレーニング・リブートストレッチでの身体のケア。

非常にクオリティの高いトレーニングができました。ありがとうございました!

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自宅ではHYPOXICOの低酸素システム(株式会社ウィル)を使った低酸素テントで寝泊まりして高地順応を行いました。

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株式会社ウィル様も本気で応援してくれています。急なお願いにも対応してくれて感謝してもしきれないほどです。

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愛車は、自転車コーキ屋で最終整備。最高の状態でネパールへ出発できます。いつも本当にありがとうございます!

 

 

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そして、たくさんの方たちからの熱いメッセージ。。。

お守りまでいただいたり、
img_0151img_9983メッセージも❤️
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感謝しかない。

やる気が溢れ出ています!

やれることはやりました。

あとは、健康にスタートに立ち、やったことを出し切るだけ。

応援してくれている人たちの為にも、

自分の為にも、

諦めることは絶対にしない。

そして、絶対に自分にも負けない。

では、大好きな国ネパールへ行ってきます!

現地でもネットが入ればできるかぎり発信していきます。

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