MAVIC CROSSMAX SLR 2012

どんな製品?

MTB用完組ホイールのド定番、CROSSMAXのフラッグシップSLR最新モデル。パッと見では、2011モデルから色が変わっただけ程度にしか見えないが、実は中身は完全フルモデルチェンジ(詳しくは後述)。最新のSLRは最高のSLRなのか?

プロ視点でのインプレッション
カラーがレッドからホワイトに変っただけなのでは??とパッと見の印象では思うだろう。しかし新型はフルモデルチェンジと言っていいほどの変貌を遂げている。リム幅が17ミリ→19ミリ、ツメが2個→4個、ノッチ数が18→48、スポーク数が24本→20本の変更点がある。幅が広がりツメが増え、ノッチ数の増加によって重量と抵抗が増えるかと思いきや、重量は前後で80グラム軽くなり、ノッチ数の増加はツメが2個ずつ交互に引っ掛かっていく方式で2個のモデルと同じ抵抗に抑える事が出来ている。

2011年までの旧型SLRと乗り比べると、1コギ目から明らかな踏み出しの軽さがあった、これは慣性が物凄く低い事から来るものだろう、まるでカーボンリムかのようなペダルがストンと落ちて行くような感覚。トレイルに入ると路面の凹凸は旧型と同じ様に拾って突き上げてくるが、突き上がった際の失速が断然に少ない、これはスポーク数を減らした効果なのか、リムは硬くてもホイール全体でショックを吸収しているように感じられた。

ペダルを踏んだ時の「縦の硬さ」は旧型と比べても大きく変っていないが、コーナリングや斜めに木の根を越えた際の「横の硬さ」は意図的に落としていると感じられた、握り拳大の石が埋まったハイスピードコーナーに突っ込んでいくと、旧型なら高い剛性のせいか、若干弾かれながら暴れるバイクを押さえて走る事があったが、新型ではホイール全体がバランスよくしなるせいか、弾かれる感じがかなり希薄になりハンドリングも安定し狙ったラインをトレースしやすくなっていた。また、リム幅が広がってタイヤの形状が若干変る事も影響しているだろう、タイヤのサイドノブが立つようになるので(丸から四角に近くなる方向)コーナーでのグリップが増している事も考えられる。

ノッチ数が48になった事によって、激坂で滑る路面にバランスを取りながらペダルを踏んだり止めたりしながら走る際の微妙な踏み返しで、止めたペダルを踏み込んだ瞬間のツメが引っ掛かるまでのほんの僅かなラグが、必要以上の筋力でペダルを踏んでしまう原因となり、泥の路面ではズルっと滑ってしまう事につながってしまうが、48ノッチでは瞬時にツメが引っ掛かるので踏んだ瞬簡に路面の感触をタイヤを伝わって掴む事が出来るので、トラクションコントロールが非常にしやすいものだった。

重箱の隅を突くと、世界的な流れではカーボンチューブラーがプロのトップレースでは主流になりつつある中で、アルミリムのチューブレスがこの先どこまで通用していくのだろうか?新型を乗ってみて、カーボンチューブラーに肉薄する性能があり、耐久性や取扱などカーボンと比べても格段に分があるが、視覚的なインパクトにイマイチ欠けてしまう点が惜しいところ。

report:小笠原崇裕


(左2011CROSSMAX SLRのリム、右2012CROSSMAX SLRのリム)

ジャーナリスト視点でのインプレッション
初代CROSSMAXのデビューは私がレースを辞めちゃう前の99年とか00年とかその辺りだった記憶がある。確か00年。当時走っていると、後ろからもの凄い勢いでバキバキバキっと煽られた記憶がある。その後10年経って音の変化はあったものの、CROSSMAXのラチェットと言えばバキバキ音系。煽られるとビビる。

ところが2012ではDT SWISSかSHIMANOの様な上品な音に変わった。煽られても怖くないCROSSMAX。それはCROSSMAXとしてはどうなのか?とも思うが、とりあえず性能に関しては手放しで2012。文句無し。というか、フルクラムのカーボンホイールよりハッキリ言って走るし、重量も誤差の世界。恐らく実測で前後50gの差もないと思う。少なくともホイール単体同士を手で持ち比べても解らなかった。ちなみに乗り心地はフルクラムの方が全然上。

ココに来て、MAVICは何かフランス人的なレジスタンス思想全開のモノ作りになっている。カーボンホイールが時代の中心になろうと言うのにアルミを極限まで突き詰めてみたり、29erがヨーロッパでも60%ぐらいの市場シェアなのに29erは何年も放置したまま26をフルモデルチェンジしてみたりと、ホイールメーカーのド定番ですよ。と言われるのを嫌がっているかの如き製品の出し方だ。

個人的な予想では29erのSLRは、この2012SLRのテクノロジーを使って来年出ると勝手に予想している(注:全く根拠は無い)が、大手も含む完成車ブランドが相次いで26インチからの撤退を表明もしくは実質撤退している中で、フルアルミの26インチCROSSMAXの完全なフルモデルチェンジはこれが最後になるのではないかとも思っている。仮に次のモデルチェンジがあったとしてもカーボンスポークであろう。アルミ最後(予想)のSLRは間違いなく買いだ。断言する。
 
 

report:Kenji Nanba

photo:Kenji Nanba
date:2011.10.26