TREK SpeedConceptの走り

少し間が空いてしまったがお陰でしっかりSPEED CONCEPTに乗る事が出来たのでその走りについて、アマチュアサイクリスト的な観点から少々考えてみたい。史上もっとも空気抵抗の少ないTTバイクと言うだけあって、このバイクは平坦路の巡航であればもの凄く速い。40km/h台で平坦巡航出来ないようではエアロバイクの意味は無いのではないか?と言われるかもしれないが、ソレは違って、時速25km/hを超えた辺りから何か違うかな?と思いはじめ無風で35km/hを超えるともう全然違う。体感的に同じTREKのMadone6にアイオロスの6.5で32km/hで走っている感覚がSPEED CONCEPTに9.0なら35か36出ているという感じ。ホイールのエアロ効果がスポイルされないフレームの形状で、相乗効果が出せているのは明らか。

一方で平坦路向けのTTバイクでありアイアンマン用のバイクなので、バイク自体は軽くない。改めて写真の装備で実測を測ってみたら8.86kgあった。ボトル台座やCO2が入っているので300gは重くなっているにしても素の状態で8.5kg。なのでヒルクライムは得意ではないが、最上級のTTバイクとしては平均点以上だと思う。開発のターゲットはハワイ島のアイアンマン世界選手権のコースが入っていると思うが、5、6%のアップダウンを繰り返すあのコースにはプロレベルなら問題ないかもしれないがアマチュアのサイクリストだと若干デメリットがある。といっても普通のアマチュアはアイアンマン世界選手権には出れないので全然関係ない話。

未来的なルックスのSPEEDCONCEPTだが、走りのフィーリングはマシーンそのものだ。走っていて、楽しく、ラグジュアリー感も味わえる高級ロードバイクとは違ってTTバイクは完全に仕事の道具ですよという雰囲気が走りにある。非常に無機質な踏み味なので、正直言ってサイクリングロードを淡々をサイクリングする為にこのバイクを買うと乗る事が嫌になってしまうだろう。あと、リアバックからの突き上げは最近のカーボンバイクとしてはかなり強い。

実際にこのバイクに乗ってアイアンマン台湾にも出てみたが、コースには長い下りがあって65km/hを超えたあたりから他社製のエアロバイクに乗る他の選手は頑張って踏んでいるのに踏まずに追い越せるというのは今まで経験した事のない経験だった。斜め風に強いと設計者は言うが、これは間違いなく事実。あと、10m/sぐらいまでの風だと90mmホイールのままでも心配なく走って行けるぐらい直進安定性というか横風には強い。

下りでのハンドリングや安定性もTTバイクとしては存外に高いというか、普通のロードバイクと違和感の無い走りが可能だがインテグレーテッドブレーキの性能については高いとは言えない。アイアンマンと言えども90度ターンで時速10km/hまで落ちるようなシチュエーションは結構あるので、個人的にはもう少しガッチリ効くブレーキの方が嬉しい。ただしSPEED CONCEPTに慣れてしまうと外付けのブレーキが付いたTTバイクはどうしても旧世代の乗り物に見えてしまうので難しい所だ。
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:2011.11.27