2012 TIME RXRS ULTEAM

バイクジャーナル長期レポート三号機は「TIME RXRS ULTEAM」。
言わずと知れたカーボンマイスター、フランスのTIME社のフラッグシップモデルだ。ULTEAMにマイナーチェンジする前のRXR ULTEAMから数えると既に3年を経過する熟成モデルであるが、今なお人気の高いこのRXRS ULTEAMを長期レポートする事でその魅力の本質を探る。バイクの成り立ちや歴史の前に、まずプロが乗るとどう感じるのか?小笠原崇裕がインプレッション。

プロ視点でのファーストインプレッション
第一印象は、昨今の様々なメーカーのフラッグシップには風の抵抗を考えた流線型の極太チューブで組まれたフレームが多く存在するが、その中でこのRXRSは角ばったパイプを使用している点が目に付く。ハッキリ言って好きだ。期待を存分に含んでの初乗りは「アレ?」っていう感触から始った、見た目のゴツさから想像出来ないほどに、しなやかだった。
BBのウィップが3世代前のカーボンフレームのようなしなり方をした、昨今ではどんな踏み方でも進むから関係ね〜と言わんばかりの高剛性なフレームがフラッグシップであり良しとされる中で、このRXRSはペダリングの理想とされるような綺麗な回転でペダルを踏まなければ思い通りに走ってくれない。
高剛性のフレームのようにペダルの上支点でポンと踏んで残りの8割は慣性で回していくようなペダリングより、上支点からジワ〜ンと踏んで残りの6割は慣性を使うとウィップが実に効果的に効いてきて気象や路面の外的要因に変化が起きても同じテンポが刻みやすい。これは回転数の高い低いは関係無く踏み方の違い、高回転型のライダーだとどうしてもドリブルのようなポンポンポンと踏みがちになってしまうので高回転だけどジワ〜ンと踏んで走ればウィップを使えるだろう。
ハンドリングはいたって普通だがフォークの剛性がBB付近の剛性に合わせているのか少々物足りない、この物足りないというのはダウンヒルでタイヤがキュルキュル鳴るほどに攻めている時に路面の凹凸に対してフォークの先端が外側に逃げるのでアンダーステアリングが少し出てしまう。理解してのライディングでは怖いというまではいかないが、高剛性だと思い込みながら初めて乗っていきなりダウンヒルで攻めたら冷や汗が出るかもしれない。

乗り心地はシートチューブのボリュームから想像するものとは全く違い快適そのもので、しっかり腰を据えてペダリングできる。路面の凹凸からの跳ね返りが大きいフレームだと腰が落ち着かずに何度も座る位置を直す事があるが、コツコツと振動は伝わってくるものの衝撃がサドルに対して真上ではなく前方方向に伝わっているような感触があり、腰が安定するんだろうか。
タイムが良しとするバイクを具現化したのがRXRS、没個性が多い昨今のフレームの中で強烈な印象があった。柔らかい鉄フレームから柔らかいカーボンフレームと歴史を知っているライダーにとってこのRXRSはどこか「懐かしい」と感じるかもしれない。高剛性のフレームでは速く走らなければ面白さを見出す事が難しいが、RXRSは多摩川サイクリングロードをのんびり走っても気持ち良さを感じられる非常に稀有なフレームだった。
 
 

impression:小笠原崇裕
photo:The Bike Journal
date:2012.1.23