DURA-ACE陥落か!?NEW RED最速試乗 vol.1

シマノの人は”少し”だけ安心して読んで欲しい。NEW REDは、その変速のスムーズ性能ではDURA-ACEの境地には至っていない。が、果たして7410DURA-ACEが登場してから約20年、DURA-ACEの絶対王座がここまで追い詰められた事があっただろうか?恐らく、無い。つまり、SRAM RED 2012(正式名称はそう呼ぶらしい)はそれほどに良く出来ている。今回の試乗は欧州SRAMの協力のもとでNEW REDを手配してもらって行ったが、順を追ってパーツの詳細を述べる前に全体の印象を言っておきたい。

新型では旧REDのネガティブ面は完全なまでに打ち消され、新REDはDURA-ACEと掛け値無しにタメを張れる製品に仕上がって来た。

まずコンポーネントの要である変速性能。詳しくは後述するが、変速しているのかしていないのかよく解らない程にスムーズなDURA-ACE、特に7970 Di2と比べると同じレベルのスムーズネスには達していないと言える。一方で、変速の節度感、そして肝心の変速スピードは厳密に計測した訳ではないが体感上は紐のDURA-ACEと変わらない。

エルゴノミクスの点では当社比で200%ぐらい静かになっている上に、ブラケットの握り心地、ブレーキレバーのエルゴノミクスやブレーキタッチは、私の知る限りは過去最高のコンポーネントである。

FORCEが登場してSRAMがロードバイクコンポーネントに参入してから6年、REDの登場からは4年であるが、今回のREDの出来を見るに、変速性能原理主義的な観点でコンポーネントを見ない限りは、REDを否定出来る要素は無いのではないか?と思える仕上がりである。正直言って、世界的なマーケットでみるとシマノはかなり危うい。カンパニョーロはもっと危うい。

順を追って、各パーツのインプレッションをお伝えしよう。まずはコントロールレバーだ。

握り心地が良い。平均的な日本人のサイズである私の手には、まさにジャストフィット。これなら何時間でも握って居たくなる。というかもはやコレを握ると、RECORDならともかく、DURA-ACEは握りたくない。

従来よりブラケット部分が若干小振りになった上に、ワイヤーの取り回しの変更によりハンドルとの接合部分は極めてスムーズに作られており、ここの形状には徹底的に配慮して設計された感じが手に取るように解る。また、レバーの先端部の切り返しは大きく取られており、従来のREDの問題点(ちなみに私は全然問題だとは思っていなかった)として挙げる選手も居たという、巡航時にブラケットを軽く握った状態で路面の段差に遭遇すると手が抜けてしまうことを解決している。欧州SRAM関係者に聞くと、実はここの部分の改善にはランス・アームストロングの「強い」要望があったらしく、旧REDでは今だから言えるがランス専用に、ラバーブーツの形状こそ同じだがブラケット本体が削ってあり握ると段差が大きくなる仕様のスペシャルモデルを作らされて居たようだ。ランスのブラケットのシャクリ度合いを見ると、ああなるほど。と言える改善点である。

また、ブレーキレバーの形状は極めて秀逸で、若干長くなったレバーはリーチ調整も簡単で、日本人の手にはもってこいである。

変速レバーのタッチは、従来よりも若干ショートストローク化されており、クリック感も節度感があって好ましい。また、ダブルタップの問題点であったリアをロー側に入れている時にタップすると一枚上に上がってしまう症状(調整次第でオーバーストロークに振れば改善は可能だったが、チェーン落ちもしやすくなった)が無くなっており、ヒルクライムでもはやギアが無いし一杯一杯なのに、勢い余って重くなってしまうという問題が解決しており、実用上これはかなり大きいし、整備的にも楽になった。またフロントディレーラーのYAW機構のお陰でフロント側はトリム操作が不要になった点も評価出来る。つまりコントロールレバーに関しては八方死角無しの状態である。

問題点を挙げよと言われると、レバーを正面から見た時のハの字が大きくなっており、バイクを横に倒した時にレバーに傷が入ってしまうのではないか?という点ぐらいのものである。

ちなみに実物は、「かなり」カッコいい。

vol.2に続く
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:12.2.29