レースバイクとしてのTop Fuel

エクステラグアムでトレックのトップフューエル9.9SSLを使用した。
フルサスペンションバイクで真剣なレースを走るのは実に7年ぶりだろうか。
今回のバイクはフレームから組み上げたものだが、昨今多いフレームにワイヤー類が内蔵されたバイクの組み立ては実に難解で時間がかかるものだった。説明書はもちろん無いので細かなパーツをどこにどのように使用するのか見当も付かず、様々なショップに電話で聞きながらの組み合てとなった。しかし、自分で組み立てると、バイク設計者、またはそのメーカーのバイクに対する考え方ってものが見えて来て、このフューエルは妥協の無い作りに「ほぉ~ほぉ~」と感心しながらだったので組み立て時間は実際よりかなり短く感じられた。
グアムのコースは最初にアスファルトで20分ほどのヒルクライムが待ち受け、その後はモトクロスがバンバン走る登ったり下ったりが連続するジェットコースターのような赤土の大地を抜け、しばらくアスファルトを下って登った後はシングルトラックと芝の斜度のキツイ登りを終えたら最初に登ったアスファルトを永遠と下るレイアウト。
スイムは他のプロ2人と一緒に上がったが、トランジッションで先行した1人を追いかける展開に。登りに入っても同じ様なスピードで走っているのかなかなか差が変わらない。赤土のトレイルに入るとフューエルの本領を発揮してここまで一緒に登ってきたプロを置き去りにし前を追って行った。洗濯板のような連続するギャップでのバイクの進みが、ハードテイルでは絶対にありえないようなスピードでこなしている事に気が付く。腰をサドルから浮かさずともペダルを踏んでいればバイクが進んでいく、、、、失速するはずのバイクが同じスピードを保って走る事に驚きを隠せなかった。今回のバイクコースが常にボコボコしているっていう事もあるが、それを差し引いても、ギャップに突っ込んで行ってもリアタイヤのトラクションが抜けないし、ケツがサドルに蹴飛ばされて浮き上がる事もない。ペダリングによるボビングは多少はあるものの、ペダルを踏んだパワーがリアショックによって吸い込まれてしまうようなボビングではなく、キックバックのように、沈んだリアショックが戻りながら推進力に変えてくれている感じがした。かといってキックバックが強く出ていてペダリングがギクシャクするって事もない。途中にあるかなりの斜度の激坂登りではリアタイヤのトラクションを気にせず、ペダルを叩き付けるようなペダリングでもジリジリと路面を鷲掴みにしたようなトラクションが感じられた。今回は泥の個所が無かったが、こういったトラクションの掛り方は泥の路面では物凄く武器になる。
エクステラでは1時間30分前後のバイクセクションでの疲労の軽減ってのが大きく求められる、同じ速さで疲労を軽くという考え方。このフューエルはその理想に一番近いバイクなのかもしれない。今回のレースでは男子プロは8人の参加、この8人中6人が29インチという現実の中、バイクラップのトップから僅か4分遅れというのはフューエルがまだ29インチと遜色ない戦闘能力を持っている。26インチではもちろんバイクラップはトップだし、前のライダー達は世界選手権で1桁に入るような世界のトッププロ。
では国内のJシリーズを戦うにあたって、このフューエルは武器になるのだろうか?
その答えは「YES」だ。
フューエルは万人が速く走られるように設計したのであろう。テクニックやバイクのクセを活かした走りが出来るバイクを好むプロライダーには面白みが無いが、単純な「速さ」というものを追い求めるのであるなら選択の最有力候補に挙がってくるだろう。
何も考えなくても速く走られる・・・バイクの理想形ではあるが、玄人の食指もが動くような圧倒的な何か、、、が再度備わればまさに最強のバイクと言えよう。
 
 

report:小笠原崇裕