SeaOtterClassic最新トレンドvol.4 650Bを国内最速フルテスト

結論から言ってしまおう、「650B」で決まりだ。ゲイリー・フィッシャーが作り出した初代29インチから29インチを知る身として、29インチが辿って来た軌跡は決して平坦なものではなく山あり谷ありの苦労の連続であった。

昨今ではようやくジオメトリーが安定し、パーツも各種出揃って選択の幅が26インチと遜色ないところまで来た。後はライダーが「好きか、嫌いか」の選択になっている。こうして29インチが完全に定着したと同時に650Bが世間を騒がし始めた。というのも2012年ワールドカップ初戦で優勝したスイスのニノ・シューターが新たに投入した650Bでいきなり勝ってしまい、29インチがクロスカントリーのスタンダードであり最速のバイクだという話に水を差した。

世界中のクロカンライダーが動向を追うワールドカップという戦場での650Bの優勝、これは次のバイクは29インチを買おうというライダーを実に悩ませる事件だ。しかしハッキリ言おう「650Bだ!」。この29インチ最高論もメーカーの戦略が窺い知れる、実際にワールドカップ#2戦の優勝者であるフランスのジュリアン・アブサロンは26インチにマヴィックのクロスマックスSLRのアルミリムだ。

世界のトップライダーともなると綿密なデータ採取でコースに合わせた最速なバイクセットアップをピックアップする中で初戦と#2戦で650Bと26インチが勝利したというのは、決して29インチが最速であるというわけではない事を示している。そこで実際に650Bをインプレッションしてみた。

バイクは650B専用設計の最新のKHSのカーボンフレームだがパーツはアルミのステムやシートポスト、非常にエコノミーなホイールセットと650Bの素性を探るにはちょっと物足りないのではないかと感じながらのインプレライドとなった。アスファルトを走るだけなら26とも29ともどっちとも取れないような感覚。ポジションを完全に自分のもので乗ったならば26に近いだろう。

トレイルに入ると走りは一変、凹凸の激しい箇所では29の走破性により近い。ホイールが弾かれバイクが上下動する動きが29のタイヤを高圧にした程度の具合で、26で低圧にした場合より明らかに弾かれない。弾かれないという事はトラクションも掛かりやすく、砂利の浮いた路面で前輪に加重し、わざと後輪のトラクションが掛かり難いポジションでペダルを踏んでみるがジュ、、ジュ、、ジュ、、と若干滑りながら路面を捉えていて、29のトラクション掛かりまくり状態まではいかないが26フルサスに近いトラクションはあった。

ゼロスタートからの加速の反応は正に26と29の中間、あえてどっちかと言えば26に近い反応をする。今回はホイールがエコノミーなのでトップグレードのホイールセットを装着したら26とほぼ変らない加速をすると想像できる。29erのスタートの重さを嫌うライダーは実に多く、レース後半の踏み踏みになってしまったロスの多いペダリングの際にバイクが等速で進むのではなく、細切れで加減速のような進み方をする場合にこの加速の重さが非常に辛く感じてしまう。650Bは26の加速性能に29の走破性を併せ持った進み方だ。

ハイスピードのバンピーなコーナーでは26と29では明らかに29の跳ね難さに分があったが、650Bは26と比較するより29と比較してどうかという程に路面の追従性が良い。タイヤの接地面積がこの3種類でどれだけ違うのかは分らないが、サイズが中間である650Bは29に近い路面追従だからタイヤの選択も26ほどシビアではなく、29のようにドライ~ややウェット程度ならセミスリック系のタイヤで事足りてしまうかもしれない。それでいて泥の路面ではタイヤに纏わり付く泥の重さが29より少なくなるので軽さの面で有利になるのは間違いない。

そして650B最大の利点としてポジションの作りやすさがある。これは完全に26を元にポジションを作っていけるので、29のように悩み続ける事は無い。29でステムを40度とかいったような急降下なステムを付けてハンドリングが不自然なものになるようなポジション作りから開放されるだけでも650Bの有益性はある。

29でハンドルが高くポジションが作れない事に対して「肘を曲げて乗れば大丈夫」と唱える人もいるが、肘を曲げて乗るのには体幹が十分に育っていて体幹で上半身を支えて使い続ける事が出来るのならいいかもしれないが、多くのライダーは腕で支える事になり、すぐに腕が疲労して上半身を起こしてしまい、登りで力が入らないポジションで走る事になってしまう。650Bならば26にほぼ近いポジションが作れるので、同じ身体の使い方をしながらも29のメリットかそれ以上のメリットが生まれる。

29インチ完璧論に一石を投じた650B、ライダー目線ならば速く走るための選択肢が増える事は大歓迎。ショップ目線ならば在庫の管理等の煩わしさから微妙。マウンテンバイク界にとって2012~2013年は激動の年となるに違いないだろう。
 
 

report:小笠原崇裕
photo:The Bike Journal
date:12.4.28

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