この夏行きたい島10選・ 東京都:伊豆大島

知られざる自転車パラダイス、伊豆大島。東京から一番近い太平洋の島であるこの島は羽田空港からANA便に乗ってわずか40分、竹芝桟橋からジェットフォイルでも1時間45分というお手軽なアクセス以外にもこの夏行きたい島としての魅力を兼ね備えている。

海岸線長は52kmと大して大きくない島に思えるのが東京からこれほど近い島であり、一度行った人には高い評価を得ていながらサイクリストの聖地になりきれていない理由だろう。しかし、伊豆大島リピーターの誰もが口を揃えて言うように「伊豆大島は自転車乗るのに良いトコロ」である。三原山大噴火で有名なこの島は、現役活火山が作り出したワイルドな地形と、その標高差をしてサイズ以上に走り甲斐のある島だ。

島の主な街は歴史的に火山の影響が少なかったであろう地域にあるため、メインの港である元町港に到着すると平和な景色にホッとするが、三原山の裏側や山頂方向に走ると景色がまったく異なり、誰もが口を開いて「ここは月面ですか?」と呟く。自転車に乗って火山のパワーをここまで体感出来る島と言うのは知る限りハワイのビッグアイランド(ハワイ島)と、ここ伊豆大島ぐらいのもの。特に一部が自動車・自転車も走行可能な裏砂漠エリア(走行可能エリアについては地元の観光協会などで要確認)は圧巻の一言に尽きる。このページではあえて驚きの裏砂漠の絶景エリアの写真を掲載しないが、ここは画像検索など使わずに”来週”、伊豆大島に行って自分の目で見て欲しい。

伊豆大島の走り方


伊豆大島の素晴らしい所は、あらゆるレベル、ジャンルのサイクリスト、トライアスリートが訪れても満足出来るオールインワンの島である事だ。飛行機、大型客船、ジェットフォイルのどの手段を使っても午前中に島に到着出来るが、到着したらまず島の外周を回ってみたい。

一番外側の道を探しながら走って45km程度だが、最大標高差は350m強、トータルでは一周で700m程度登るため初心者は、外周沿いの主な観光地などを巡りながら走るだけで1日お腹いっぱいのルートとなるだろう。大島椿や、差木地地区にある地層、通称バームクーヘン(写真)、波浮港などを周ると良い。ダラダラと登るのが好きな人は時計まわり、苦しい登りは短距離で登りたい人は反時計まわりを選ぶと良い。

三原山へのヒルクライムは標高差600m弱で3つのルートから上る事が出来るが、一番辛いのは御神火スカイライン。10%程度の上りが延々と続くので周回ルートにこのヒルクライムを組み合わせて走ると獲得標高差は1300mを超え、上級者でも本日の営業は終了レベルだ。また、ロードレーサーで裏砂漠を訪れるには更に島の裏側の波浮地区側から登る「月と砂漠ライン」(裏砂漠手前の駐車場まで)を同じく標高600m程度登る必要がある。

ちなみに三原山に行くならワイヤー錠とトレッキングシューズをバックパックに入れる事を忘れてはならない。600m付近にある御神火茶屋から先の登山ルートは舗装はされているものの自転車は走行不可となっているからだ(ちなみに馬は可)。三原山の火口を見ずに大島を去るのは余りに惜しいので是非ともトレッキングシューズに履き替えて最後の100mを登りたい。

MTBとロードレーサーの両方を持っている人は迷う事無くMTBを持って行くべきで、ちょっと寄り道して走行可能な火山エリアに入ってみたり、島の外周部に突き出た未舗装路に入ってみたりすると、オンロードでは味わえない景色が見える。島にはいくつかトレイルもあるが、トレイルに入る場合はローカルルールもあるので素直にトレイルガイドをお願いするのが良いだろう。

島の途中にはあまり補給食などを手に入れられる所は無いので、十分な補給と水は持って走りたい。また、島内での複雑な自転車の修理は現実的ではないので必要なツール、十分なスペアチューブ、チェーンピンなどを持って行きたい。

伊豆大島の行き方・泊まり方

伊豆大島は東京の人なら行こうと思えば明日の夜にでも行けるお手軽さが最大の魅力だ。行き方は簡単で、夜の10時に竹芝埠頭から出ている東海汽船の大型客船に飛び乗れば朝の6時に到着出来る。大型客船は横浜の大さん橋埠頭も経由しており、こちらの場合は夜11時半出港(同じく要確認)だ。

これからのハイシーズンの週末は予約が取れない場合もあるが、その場合は電話で「席無し2等」を予約すれば問題解決。席無し予約と聞くと帰省時の新幹線の立ちっぱなしというのが想像されるが、この場合は客船デッキの他の乗客に迷惑にならない場所にシートと毛布(レンタル出来る)を広げて、友人と宴会を開きながらワイワイと島に向かうのが基本的な乗り方なのであまり心配しなくて良い。(くれぐれも二日酔いでの飲酒運転は避けたい)静かな部屋で横になって行きたい場合は特2等以上の席を使うのが良いが、これも予約無しで乗っても空席があれば有料でアップグレード可能。

時間のない人や長時間の船旅が苦手な人は朝出発のジェットフォイルに乗れば1時間45分、飛行機の場合は、羽田空港発着のANA便、もしくは調布飛行場発着の新中央航空便に乗ればどちらも40分程度で到着出来る。

ちなみに、大型客船の場合は輪行バッグへの収納が必須、ジェットフォイルの場合は200cm以下に収まる輪行バッグが必須な上に手荷物料金1,000円が掛かる為、事前にヤマト便などを使って自転車や荷物をひとまとめにして宿に送ってしまうの手段の一つだ。輸送料金は東京都内なのであまり高くない。また、輪行で持って行く場合は、波が高い場合や大型客船の往路は島のメインの港である元町港ではなく岡田港に到着する事が多いので荷物はバックパック一つにまとめて、輪行袋もコンパクトなバックパックに入るものを選び、到着後に荷物を持ったまま自走出来る装備で行くのが良い。

一番オススメの訪れ方は、金曜日夜の大型客船で出発して日曜日夕方、もしくは月曜日夕方のジェットフォイルで戻ってくる2泊、もしくは3泊パターン。宿泊については、元町港近辺のゲストハウス、ペンション、ホテルなどに宿泊するのが便利だが、旅情も味わいたい場合は、2泊目は波浮港の古民家宿などに泊まってみるのも良いだろう。

トライアスリートの合宿ならプール付きの”パームビーチホテル”、サイクリストのグループならサンセットコースト沿いにある”ペンションいち・まる・いち”、女性サイクリストのグループ旅や一人旅なら”ゲストハウス・オアシス”などに泊まるとそれぞれ楽しめるだろう。男性の一人旅なら、ドミトリー1泊1,500円〜の”もりおの家”に泊まってみるのも良い。

バイクは前述の通り持っているならMTBで訪れるのが一番楽しめるが、ロードレーサーも可。元町地区から島の北端、もしくは波浮港までの間は大きな登りはないのでクロスバイクでも十分だ。一番オススメなのは29erのハードテイルMTB。

大型客船2等で現地ドミトリー宿泊なら2泊4日(1泊は客船泊)で2万円あれば余裕でお釣りが来るのが伊豆大島の魅力だ。週末の天気が晴れだと解ったら、あまり考えずに気軽に訪れたい。
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:12.6.21