世界最軽量かつエアロ。TREKが新型マドン、Madone 7 Seriesを発表!

先程、トレックがフルモデルチェンジしたMadoneを発表した。2003年(MY04)にランス・アームストロングのために開発されたMadoneがその後の彼の活躍を支えた事は言うまでもないが、あれから約10年、3度目のフルモデルチェンジをして新世代フラッグシップMadone 7 Seriesへと進化した。

1991年(MY92)に誕生した初の量産フルカーボンロードバイク、5200の登場から今日のカーボン全盛時代に至るまで、カーボンバイクのトレンドをリードし続けて来たトレックが、初めてロードバイクに「7」のモデルナンバーを付けて来た事から、その並々ならぬ決意が感じられる。

言うまでもなくMadoneに課せられた使命はツール・ド・フランスを含むグランツアーでの勝利。勝つためにトレックはMadoneをどう進化させたのか?

新型Madoneのコンセプトは「FAST IS EVERYTHING」だ。直訳すると「速さこそすべて」。自転車の速さのために必要な要素は4つ。「エアロダイナミクス」、「軽量」、「剛性」、そして人が操るロードバイクであるが故に必要な「快適性」。

この4つの要素のチャートを1点でも妥協する事なく引き上げる事で最速のロードバイクを作る事が出来るのは誰の目にも明らかだが、エアロを最優先にすると重量と剛性が犠牲になり、重量を最優先するとエアロと快適性が犠牲になるなど、設計上では相反する要素なのも明らかだ。カーボンバイクのリーダーとして、これらの限界に挑戦し、4兎を追って4兎を得たのが新型Madoneである。

まず重量は量産世界最軽量バイクである。フレーム単体の重量は750gで、キャノンデールのSUPERSIX EVOやCervelo R5caのように競合の中にはMadoneより軽いモデルも存在するが、新型MadoneはTREK曰く、シートピラー、ベアリングセット、フォークを含めたシステム重量として世界最軽量となっている。

軽量化のための要素は、まずカーボン素材と製法。アメリカ国内でしか使用出来ないカーボンファイバー(今回はHEXCEL社製とは明言されていない)を使った素材自体の優位性と、最低限の素材で最高の剛性を得られるOCLV製造プロセスなのはメイド・イン・USAの7シリーズなので言うまでもない。シートマストやフルカーボンのベアリング受けを採用したE2ヘッドチューブ、BB90構造は従来から継続されているテクノロジーなので驚く程のものではない。

驚くべきはフレームの完全フルカーボン化である。従来からもリアエンドをフルカーボン化したバイクは存在したが、新型Madoneはドロップアウトまでカーボン化し、ウォータボトルマウントの受けの部分やフロントディレーラーマウントもカーボンで一体成型する事で軽量化を実現している。同時に従来のバイクの塗装は40gから80g程度の重量があったが、新採用のU5 Vapar coat塗装では、なんと5g以下となっている。50g以下ではなく5g、U5はunder 5gの略である。

エアロダイナミクスについては、風洞実験で、40km/hで仰角10°の風を受けて走った時に従来比で25Wのパワーを削減している。25Wと言えば、先の条件で1時間の走行で2分4秒速く走れるに等しい。
 これを実現した要素にはいくつかあるが、まずはチューブシェイプの最適化。エアロだけを狙ったチューブ形状なら簡単だが、剛性や軽量化と両立するとなると一筋縄にはいかない。そのために投入されたのが先のTTバイク、スピードコンセプトで採用されたKVF(カムテイル・バーチャル・フォイル)チュービングだ。チューブの後ろ側をスパっと切り落とした形状を持つ仮想翼断面は、その名の通り、あたかも翼断面のような空力特性を発揮しながら軽量でかつ剛性に優れているという。このKVF形状はフロントフォークにも採用されており、これによりフォークでも空力を高めながら、軽量化と剛性向上を実現している。
同時に、徹底的なエアロ化を実現するために新設計されたBontragerのAero Roadハンドルバーにも前述のKVF形状が中央部に採用され、更に約2Wのパワーを削減するという。

次にブレーキのインテグレーション。従来のブレーキマウントを廃止してゼロから設計したブレーキ(マウントの規格はシマノと共同開発)は、独自開発らしくフレームにフィットするエアロ形状を実現しながら従来のマウンティングプレートが不要になる事で大幅な軽量化を実現している。またリアブレーキは一般的なシートステイではなくTTバイクのようにBB下にマウントする事で、空力を高めつつ、シートステイにブレーキ補強用のレイヤーが必要なくなり、ブレーキブリッジも排除出来るためフレームの軽量化にも貢献している。

剛性面と快適性については従来のMadone 6 SSLでも十分に定評があったが、剛性は従来比で高めつつ丸形シートマスト形状の採用で快適性は確保されているという。

フランク・シュレクは、この新型Madoneについて「1年程前にプロトタイプをテストした結果、長いヒルクライムで良く登るのは明らかだし、下りの空力も優れている事が確認されており実戦ではやく使いたいと思っていた。最近実戦に投入したがパフォーマンスの向上は明らかだ」とコメントしている。

また、Madone 7以外にもカーボンのグレードを下げた普及版のMadone 6、Madone 5も同時に発表されている。新型Madone 7の続報についてはインプレッション可能な実車が手に入り次第お届けしたい。ちなみに、実車は写真よりも、かなり、カッコいい。
 
 

report:Kenji Nanba
date:12.6.26