世界最”狂”のアマチュアステージレース、Haute Routeとは?

いよいよもって、今日18日からツール・ド・フランスの山場であるピレネー越えが始まるがテレビに張り付いてツールを観戦すると同時に「あの山でレースしてみてー」と思った読者は居ないだろうか?

心配しなくても、あの山をツールの選手みたいに走れるレースというものがこの世の中には存在する。賢明な読者は、「ああ、エタップね。」と思うだろう。ところが、世の中には我々の想像を大幅に越える「市民」レースというものが存在するのだ。(注:L’Étape du Tour:ツールの山岳ステージと殆ど同じコースを使って、開催期間中の開催されるワンデイ市民レース)

それが「Haute Route」(オートルート)である。登山家の間ではアルプスの山々を7日間で縦走する事をHaute Route、もしくはThe High Routeと呼ぶが、世界最”狂”のサイクリングイベント「Haute Route」の名称もおそらくこれに習って名付けられたのだろう。

7日間に渡って開催される究極のアマチュアステージレースであるオートルートの獲得標高差はなんと21,000mだ。単純に比較しても余り意味はないがロードバイクで登れる日本で一番高い峠を目指す全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の標高差は1,260mに”過ぎない”事を考えると、オートルートは7日間とは言えその16.7倍の標高差を登るレースである。

このレースは単なる変態イベントではなく、むしろ紳士による本気の山岳ステージレースと言える。主にフルマラソンのイベントなどを手掛けるスポーツマーケティング会社のOC ThirdPoleによって企画されたレースで、コンセプトは「ツール・ド・フランスに出れない人のために、本物のツールの選手の気分が味わえるレース」。本物の選手気分が味わえるレースとは一体何なのか?まず、レースはオールインクルーシブ、つまり、宿泊(なしの選択も可能)、食事、荷物の運搬などがついた典型的なヨーロッパのステージレースの形態を取っており、更に専属のメカニック、MAVICのニュートラルサポートカー、マッサー、自転車15台に1台のバイク先導車が用意されるなど、ツールの選手の気持ちを山岳ステージで味わえる世界に他に例の無いレースである。

もちろんコース取りも本物の山岳ステージで、今年のルートはスイスのジュネーブをスタートして、アルプスの峠を超えてニースにゴールする780kmのコースで、7日間7ステージで行われる。その中には、L’Alpe d’Huez峠、Madeleine峠、COURCHEVEL峠、Colombiere峠などが含まれ、それぞれのステージの獲得標高を挙げて行くと第1ステージ2700m、第2ステージ2700m、第3ステージ4700m(!)、第4ステージ1100m、第5ステージ3700m、第6ステージ3200m、第7ステージ2900mといった具合だ。並べてみると第4ステージが楽そうに見えるが、ここはなんとL’Alpe d’Huezを下から上まで登る「個人タイムトライアル」の日である。

冷静に考えてみると並のライダーでは第3ステージを走りきるのでもう限界だと思うが安心してほしい。8月20日から開催される今年のレースは既に売り切れてしまっている。開催は今年で2回目と歴史の浅いイベントだが、年末の発売開始から1200ユーロ(宿泊は+300から1000ユーロ)の参加費にしてすぐに売り切れてしまった。来年の開催、開催時期にはついては現時点では公表されていないが、来年もあるとしてレースまでにはまだ1年以上あるので、ミッチリと練習すれば完走出来る筈だ。ちなみに、足切りの目安は平均15km/hに設定されているという。

昨年のリザルトをみるとトップの選手はプロ並みのペースで走っているが、昨年の例だと参加者の13%が初めての自転車イベントへの参加で、なおかつその50%はサイクリング歴が5年以下のライダーだったという。ちなみに、それらのライダーの完走率については公表されていない事は述べておきたい。どちらにしても言えるのはHaute Routeはこれから丸1年を掛けて準備して「人生最大の山場」として臨んでも、ツールに参加出来ない我々にとっては十分なレースであるのは間違いないだろう。まずは年末の台湾で開催される太魯閣ヒルクライム(2012年の開催日程は未定)に出て、7日間同じ事が出来るかどうかを考えてから年明けにエントリーするのが賢明だ。

Haute Routeオフィシャルサイト
 
 

report:Kenji Nanba
photo:OC ThirdPole
date:12.7.17