ALFINE Di2を試す

常識的に考えて、DURA-ACE Di2、ULTEGRA Di2と来たら次は105 Di2、もしくはXTR Di2が出てくるだろうと思っていたら、スポーツサイクル用Di2の3番打者は大穴、ALFINEだった。少し気になっているという人は多いであろうALFINE Di2に試乗する機会を得たので詳しくレポートする。

ALFINEを知らない人のために簡単に説明しておくと、スポーツサイクルをファッショナブルで手軽に乗りたい人のための「プレミアム内装コンポーネント」である。内装ハブは8速と11速が用意され、8速では306%、11速では409%のギアレシオを持つ。油圧及び機械式ディスクブレーキにも対応しており、シンプルかつクリーンな見た目のスポーツバイクを作る事が可能になっている。

Di2バージョンのALFINEは電動アクチュエーター内蔵のリアハブをULTEGRA Di2と同じE-TUBE接続のシフトスイッチとコントロールユニットで作動するシステムだ。シマノのデモ車はビューティフルとは呼べない仕上がり(フレームサイズと試乗の都合でポジションが無茶苦茶なのはご愛嬌)だが、NAHBS(北米ハンドメイドサイクルショー)系ビルダーの手に掛かればブレーキラインも信号ケーブルもバッテリーもすべて内装化した上に、パッと見シングルスピードのものすごくクリーンなロードバイクが来年は出来上がってくる事が容易に想像される。

という事で、気になるALFINE Di2の走りはどうか?見た目のクリーンさから過度な期待と妄想を抱いてしまいがちだが、残念ながらこれはDURA-ACE ALFINE Di2ではなくてALFINE Di2だ。DURA-ACE Di2で驚いたような電動外装変速機の凄さは正直言って、ない。単純に述べるならALFINEが電動になった。以上。

一度でもALFINEかシマノのシティサイクル系の内装変速機を乗った事のある人なら解るであろう、シフトダウンはスムーズだがペダリングしながらシフトアップすると引っ掛かる感じが、そのまま電動になっても残っている。そもそもワイヤーでコントロールしていたものを電動にしたのだからワイヤーの時の癖がそのまま残っているのは致し方ないとも言えるだろう。

ただし、確実に決まる変速とそのスピード、従来は操作の重かったシフトがスイッチになった点はやはり評価に値するし、ALFINEかALFINE Di2かで考えると、どう考えても迷う間もなくDi2であり、DURA-ACEやULTEGRAとはそもそもカテゴリーが異なるので比較の対象にならない。

峠に向かうのであるならALFINE Di2はリアハブ単体でDURA-ACEのフルコンポ並みの重量なので余り向いていないし、そもそもカセットスプロケットの方が明らかに良く走るのは紐ALFINEと同じである。

STIレバー自体は、アルテグラ Di2のものと基本的に同じでフィニッシュが異なるのみである。一方で左側のレバーはフロントメカが無いので当然スイッチは省略されているが、スイッチが省略されたのだから単純にブレーキレバーで良い所なのに、新規のレバー型は起こせなかったのかアルテグラDi2レバーからスイッチを外してプラスチックのカバーを装着している所は「プレミアム」コンポーネントとしては如何かとも思う。しかしこれは価格との兼ね合いの話なので、レバーの型は新規に起こしました、価格も高くなりましたよりはマシ。

完成車でALFINE Di2採用車を買う人はそれで良いだろうし、そもそもNAHBS系にオーダーする人は、下の写真のように、自分仕様のスイッチをオーダーするのが標準だ。(もちろんシマノの保証対象外。写真のスイッチはFireFly Bicycle制作によるもの)

(参考:FireFly BicycleによるカスタムオーダーのDi2スイッチ内蔵ハンドル photo:FireFly)


今回の試乗車は手元のシフトインジゲーターはダミーだったので、ここの使い勝手は述べられないが、少なくともフォントサイズが見やすいことと、バッテリー残量計が付いている事は完成車でALFINE Di2を買うユーザーの事を解っている装備と言える。

全体的に辛口なのか肯定派なのかよく解らないレポートになってしまったが、完成車でALFINE Di2搭載車を買って荒川や多摩川を流す乗り方はサイクリング文化として正常な方向であろう。また、NAHBS系オーダーバイクの素材としては変速の歯切れを除いては文句無しの一品であると言えるし、新しいジャンル・形状の自転車が生まれてくるのは間違いない。
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:12.7.20