特集:人はどこまでエアロになれるのか?
本文の前に前口上をお読みください。

エアロ第1テストは、前回も紹介した通り、一般的なロープロホイール(EASTON EC90SLX)、デニムショーツ、ジッパーを開けたウィンドブレーカーを組み合わせ、DHバーの上にAMAZONの配達ボックスを貼付けてのパワーを測ってみた。

手持ちの機材で出来るだけ正確なデータを得るために、一旦目標の計測速度より少し上まで加速してスムースにペダリングしながら、計測速度に落として行ってそのスピードを維持。体感的にペダリング負荷が一定になった所の数値を測る。という行程を複数回おこなって安定した平均値を得る(5%以上の誤差が出たデータは破棄)という測り方でのワット数を出してみた。
本来の予定では、30km/h、35km/h、40km/h、45km/h、50km/hを計測する予定だったが、40km/hの計測が終わった時点でテスターの小笠原氏が「もう、無理」という。ちなみに測定値は次の通り。

30km/h35km/h40km/h45km/h
AMAZON BOX+ウィンドブレーカー320W425W618W不可能

40km/hで618Wの平均値が出てしまったので、残念ながら45km/hを維持してスムースなペダリングを維持する事は難しいという事でこの勝負はAMAZONの勝ちとしたい。小笠原崇裕はこのテストの結果をこう語る。
(注:公開が遅くなったのは、データの信憑性を確認するために再度似たような条件で、データの傾向が正しいかどうかを検証していたためです。THE BIKE JOURNALにはリソースが限られていますのであしからずご了承ください。)

-以下、小笠原崇裕によるコメント

まず最初のテスト。AMAZONボックスを装着。正直言ってこんな装備で走るのはありえない。ありえないが面白いので計ってみた。バイクジャーナルは他でやらない面白い事を真剣にやるために存在している。いざ、スタート。漕ぎ出して時速10キロからなんか重い。20キロも出ると、普通のロードレーサーで30キロで走っているぐらいの出力が必要だ。

30キロだともはや全然違うし、35キロ、40キロ超では早朝のノンアップ状態でしかも軽い登り坂なので乳酸がすでに出てきてしまっていたが、難波さんは45キロと50キロの定点データも必要だと言うがこの感じだと50キロを維持して計測するには1500W超で一定トルクで波のない美しいペダリングをせねばならず、ヴィギンス並みの世界トップレベルの脚が求められる。

現実的には、40キロを維持する計測が限界なので、急遽40キロまでの計測とする事にした。しかしながらタイムトライアルやトライアスロンにおいて、プロやトップアマチュアでない限り、時速40キロ以上での空力は参考にはなるが現実的には走り続けられるスピードではない。なので40キロというのは結構妥当な所だろう。

本当にAMAZONボックスっていうのは空力的に悪い。そもそも自転車メーカーが極限までに頑張って前面投影面積を少なくしているヘッドチューブ付近にこんなものを置いたら空力が無茶苦茶になるのは小学生でもわかる。バイクジャーナルを読んでいる人も、ママチャリの前カゴが如何に空力に悪いかは良く知っているだろう。ステンレスのカゴと藤のカゴで全然違うとか、外したらめちゃくちゃ楽になるとか、はたまたカゴの先端を持ってDHポジションにすると楽だとか。

あと、AMAZONボックスと同じぐらいにチャックを中途半端に開けたウインドブレーカーというのも強烈に空力的に悪い。これはパラシュートを体に装着して走っているようなもので、もうどうしようもないのが体感でわかる、数値をチェックしなくとも上半身が後方に持って行かれる感じに、それに耐える様にハンドルを握る腕の力と、時速を維持しようとする足の力で全身を使っている。チャックを上まで閉じたウインドブレーカーがバタバタとはためいているのももちろん悪いが、空気の抜けない素材で出来ているウインドブレーカーのチャック中途半端開けはそれこそ向かい風ではそのまま上空に持ち上げられてしまいそうな程の抵抗があった。

この状態では、私でも2.45%の斜度の登りで、風速2m/sの向かい風の中を時速40キロを維持して走り続けるのは無理だろう。いや、むしろやりたくない。そのくらいにAMAZONボックスのトレーニング効果は高い。

Vol.2に続く
 
 

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計測条件:
斜度・ほぼ一定の2.45%登り
路面・アスファルト
気温・19℃
天気・曇り
風速・向かい風、約2m/s
タイヤ・Continetal Competition Tubular、MAVIC YKSION CXR
空気圧・7.8気圧

report:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:12.9.12