GRAPHITE DESIGN DOKKE XC vol.2

面白い。
アスファルトでの加速は近年の高剛性のフレームには2歩も3歩も遅れをとるが、路面が荒れたオフロードではバイクがやけに安定してスムーズに加速した。
その理由としてタイヤがしっかりと地面を押し付けつつも、嫌な弾かれ方をしないのでペダリングがしやすいのだ。サドルやペダルにタイヤが弾かれた力が伝わってくると、どうしてもペダリングがギクシャクしてしまい、特にシッティングでのペダリングがスムーズにいかなくなる。
しっかりとサドルに腰を据えて安定したペダリングってものを狙っているのだろう、これも一つの「しなり」として考えると開発者の意図が汲み取れる。

近年の高速化されたダッシュの連続するXC(クロスカントリー)レースを考えると、このドッケXCは一世代前のXCレース的な走りを想像して・・・走りが正にそんな感じなのだ。
どこか懐かしい、そんなペダリングフィールがドッケXCにはある。グッと踏み込むとスパ〜ンと加速するのではなく、踏みながらジワっと僅かな溜めがあった後にウィップと共にギュイ〜ンとフレーム全体を使って進んでいく感じ。

魚で言うと尾ヒレを振ってゆっくりと体全体を使って進んでいる、そんな例えだろうか。ペダルを踏んだ以上に凄く進んでいるとか、速度以上に速く感じるとかそういった感覚的な事が「鈍い」。これは冒頭で書いた安定したペダリングって事に繋がってくる事で、路面からの嫌な衝撃や、ペダリングしたパワーがフレームら戻ってくる跳ね返りがマスキングされているので「速い感じ」というのは受けにくい。

これが高剛性のフレームならばペダルを踏んだら踏んだ分だけのインフォメーションがあり、バイクの進みや挙動が良くも悪くも手に取るように伝わってくる。しかし、このドッケXCは鈍い、と書いたが実際はバイクからのインフォメーション以上のトラクションが掛かった。

これには少し驚いてしまった、湿った岩が剥き出された箇所をダンシングで乗り越えると、いつもなら「ズル、ズル、ズル」とかなり滑りながら越えていくのだが、ドッケXCでは「ズ、ズ、ズ」と僅かだが滑りが少なかった。タイヤも空気圧もいつもと同じなので、これはフレームがしっかりと路面を押しているという事だ。

シートステーの湾曲が乗り心地と共にトラクションまで高めている、チェーンステーは決して短くはないものの、ここまでのトラクションをみせるとはカーボンの特性を活かす技術というのは本当に凄い。
「しなり」はフレームの中心から後ろにかけて感じられる。ヘッド周囲は「しなり」も無く、特徴はほとんど見えて来なかった、強いて言えばもう少し剛性が欲しい。

今回装着されていたフォークとの相性があまり良くなく、入力に対してもう少し粘りの特性があるサスペンションフォークと組み合わせると、よりこのフレームの良さが引き立つだろう。ハンドリングはハイスピードの下りでは若干クイックになり、左右に振られる感じがあったが、低速から中速にかけては非常に軽いハンドリングでハンドルをコジって無理矢理にバイクを曲げたりしなくてもスムーズにハンドルが切れ込んだ。

これによってグリップを握る握力のセーブにつながるから長距離レースでも恩恵を受けるだろう。
トータルでみると、バリバリのXCレーサーとは言い難いかもしれない。全ての点においてバランスを重視しているようで尖った部分が見当たらない。

こう書きながら、私自身も「う〜ん」と唸ってしまった。というのも今シーズンのジャパンシリーズではこのドッケXCで走ったレースの成績が一番良いのだ。

実はまだ私自身でも捉えきれていない未知なる部分があるのかもしれない、速い感じがしないのだけれども、走ると速い。Vol.1で記したが、チョイ乗りではこのドッケXCの素性は全く解らないと言ってもいい。
最適な位置にポジションを合わせ、重心を乗せ、綺麗な円を描くペダリングを行い、そして乗り込んで初めて「こういうバイクか!」というのが見えてくる。
まるでスルメのようなバイクだ、噛めば噛むほど・・踏めば踏むほど・・回せばま回すほどドッケXCの素性が見えてくる。
 
 

report:小笠原崇裕(Takahiro Ogasawara)
photo:The Bike Journal
date:12.11.25