「MERIDA 2013注目モデル斜め乗り」特集 vol.3


まだ、Vol.2以前をお読みでない方はこちらからお読みください。

難波 - 次は最新モデルのBIG NINETY-NINE XT-M行ってみましょう。

小笠原 - BIG NINETY-NINEって言ってるけど、リアのトラベル量は103mmなので正確にはNINETY-NINEじゃない。

難波 - フロントカーボンのスイングアームはアルミ。NINETY-NINEの性能をそのままに29erハードテイルのBIG.NINEの性能と融合したとMERIDAは言っている29erフルサスペンションバイクだ。

小笠原 - BIG.NINEだNINETY-NINEだと言っているから、29erフルサスだけど相当にレーシーなバイクなんだとばかり思っていた。

難波 - 思っていたというと?

小笠原 - 実際乗ってみると、レーシングバイクというよりグランツーリスモ。長距離の起伏が少ないトレイルをズドーンと走って楽しいバイクだね。

難波 - これも王滝仕様って事?

小笠原 - 王滝と言われると今回乗ったのはXT仕様だったし、アッセンブルもあって、ちょっと重量が重すぎる。王滝よりもヒルクライムを半分斜度を緩くしたけど距離は100km。みたいな条件で乗ると非常に良いだろう。

難波 - それこそドイツ中部・北部の、丘みたいなトレイルの長距離走行にバッチリって言う事ですな。

小笠原 - その通り。

難波 - 日本で言えば、富良野とか阿蘇の丘陵とかそう言う所?

小笠原 - そう。富良野はちょっと違うかな。もう少しなだらかな丘をモリモリとパワーのある人が登って、ペダリングせずに惰性でハイスピードを維持して下れて、シングルトラックより、大きな岩やガレ場を下って。というようなシチュエーションにはバッチリ。

難波 - 富士見みたいな所でレースでセンターの数枚目を使ってガシガシ登って。というコンディションでは他に選択肢があると思う。

でもシャシーの安定感はバッチリなので、ロードは100万円級のバイク乗っていて、ちょっとだけMTBに乗った事あるけどやっぱMTB怖いというか難しいよね。という人で、このクラスを買えるのなら、下りのライン選びとか、ヒルクライムの濡れた根っこで加重を抜くとか、そういう細かい事を考えずに乗れるので非常に良い。シャシーの安定感がしっかりしていて、下りで怖くないというのは特に、この手の味付けの29フルサスならでは。

小笠原 - モデルとしてもチームモデルとは謳っていないし、リアバックがアルミというのもあるしで、この先チームモデルが控えているのかはちょっと気になる。

難波 - チーム仕様のレーススペックが2014モデルで控えているのかどうかは2月のチーム発表まで待たないと解らないと思う。

小笠原 - 写真を見るとレーシングポジションが出せていて生粋のレーシングバイクだと思って、Jシリーズに使うとどうなのかという目線で試乗に臨んだだけに肩すかしをくらった感はあるけど、高速ツアラーとして考えるとレベルは、走り、ハンドリング、ジオメトリーともに非常に高い。

難波 - 買う時も試乗する時もその点には留意して乗るべきだと思う。

小笠原 - 間違いない。

難波 - ショートストロークのマウンテンバイクでは最後にBIG.NINE。

小笠原 - 去年のモデルは固かった。全体に硬かったけど特にリアバックが。フラットな芝生や運動場のような路面だと26か?これは?というぐらいクイックに走ったけど、ひとたび本格的なオフロードに入るとドスンと後ろから突き上げを感じる程にゴチゴチしていた。

難波 - 去年のローンチの時に某誌でインプレした時に自分も同じような事を書いた。

小笠原 - それがねー。13年モデルでは、乗り心地、バランス、ウィップという単語を加えて仕上げ直して来た。

難波 - 形をまったく変えずに1年でここまで乗り味を変えてくるのは自転車の世界では異例の事。軽く説明しておくと、13年モデルのBIG.NINEはリアバックに食物繊維由来のバイオファイバーレイヤーを採用して振動吸収性を向上しつつ、カーボンレイアップの変更で100g軽量化したという。バイオファイバーのレイアップで60g程重くなるという話はロードバイクの時にエンジニアから説明を聞いているので、事実上150g軽量化したと言っても良いのかもしれない。

小笠原 - そのくらいオリンピックがMERIDAにとって大事だったという事でしょう。

難波 - 結果はヘルミダが4位、ガン・リタが落車もあってDNFと作戦通りには行きませんでしたが。

小笠原 - レースは水ものなので、それは仕方がない。でも、MERIDA BIKING TEAMはかなり自由選手がバイクを選んで、開発にも口を出しまくっていると聞いているので、選手からの強い要望があっていきなりマイチェンしたのは間違いないでしょう。

難波 - プライベートに話している時にあれだけ「俺は29erはメリットは解るけど使わないよ。」って言ってたヘルミダが乗り換えてたのには、彼らの要望にあったバイクに仕上げ直して来たっていうのがあるでしょう。というか、つい最近会って話したガン・リタ曰く、ある。

小笠原 - 言っちゃった。笑

難波 - で、乗るとどう思った?13年モデルのBIG.NINE。


小笠原 -
これはもう、試乗会で乗ったディーラーも業界人も斉藤亮も言ってるけど、13年モデルのBIG.NINEはいい。どんな路面でもウィップを活かしてなめらかに加速するし、前後バランスもハンドリングもピカイチ。

難波 - 硬いと解っていて硬い29erが1台欲しかったので12年モデルを実際に買った身としては、正直に参りましたと言えるぐらいXCレーシングバイクとして進化している。ただし、舗装路でスプリントするなら12年モデルの方が好みだけどね。

小笠原 - MTBはオフロードを走るためのバイクですから。

難波 - XCエリミネーターがあるじゃないか。

小笠原 - ちなみにBIG.NINE、今年からUCI MTB世界選手権の公式種目に採用されたXCE(クロスカントリー・エリミネーター)の世界チャンピオンバイクでもあるのは言っておきたい。XCEは市街地の舗装路でも開催されるし、今年の世界選手権は舗装路というか石畳だった。

難波 - という事で、13年モデルのBIG.NINEは太鼓判?

小笠原 - 太鼓判。実際太鼓判なので、この試乗をやった後にすぐに借りてエクステラの世界選手権に持って行って使わせてもらった。なのでその辺のレポートは改めて長期レポートとして紹介したい。

難波 - 自分もこのバイクに関しては12年モデルのオーナーとして、もうちょっと言いたい事があるのでもう一回改めてフルインプレとして載せたい。

難波 - なんで1年でこんなに変わったんだろうね?

小笠原 - 個人的な興味としては、12年モデルと13年モデルをカットして、同じ形状なのにどこの何をどう変えて、レイアップをどうやったらこうも走りが激変するのかを研究してみたい。難波さん所有の12年モデル、カット用にくれない?

難波 - 無理。

小笠原 - 僕は試乗時間がなくて乗れなかったけど、ロングストローク系は、昔DHレースを真面目にやってた身としてインプレしてみてどう?

難波 - 120、140、160、180mmとラインナップがあるけど、MERIDAが主戦場としているヨーロッパでは最近ゴンドラで運んで山を下るスタイルがかなりの流行を見せていて、そこにも注力という事で140、160、180mmのラインナップを13年モデルでフルモデルチェンジして来た。

小笠原 - VPKだっけ?

難波 - Virtual Pivot Kinematics。要するにサンタクルズとかが採用しているようなバーチャルピボットを搭載して来た。

小笠原 - その効果は?

難波 - 説明するともの凄く長くなるので、その辺はMERIDAなりが出している資料を熟読して欲しいけど、よーするにロングストロークなのに登れるようになった。

小笠原 - なんで?

難波 - バーチャルピボットの追加でリアハブの軌跡を自由にコントロール出来るようになったので、ペダリング時のユニットの沈み込みとチェーンの引っ張りを自由にコントロール出来るようになったから。MERIDAは主にバーチャルピボットの効能を登れる。という点にかなり振って設計している。

小笠原 - ふむ。

難波 - 学ぶより乗った方が早い。で160mmトラベルのONE-SIXTY。試乗したのは安い方のONE-SIXTY 1000。アルミフレームの大して軽くもないバイクなんだけど、これが驚く程にモリモリと登る。VPKの効果は絶大。

小笠原 - 160mmトラベルの登れるバイクを日本のどこで使うの?

難波 - と、言われるとシチュエーションは限られるんだけど、富士見限定で考えても、あれだけフレーム剛性がしっかりしててアッセンブルも良いと遊びでBコースを走るのにはバッチリかと。今回は試乗コースがDH用じゃなかったのでそれ以上はインプレ出来ないけどチョイ乗りの下りの印象は良かった。リンク周りの横剛性はバッチリ。少なくとも乗ってがっくしのダウンヒル性能ではなかった。

ただし、VPKの登りの良さが体感出来るのは富士見だと駐車場からゴンドラまでの間だけど。。。実はDHレーサーだとその数百メートルが何本も走ると結構疲れるのは事実。そういうペダリングがシャキッと走るので疲れないって言うのはコースの中での立ち上がりのペダリングなんかでも地味に効いてくるので、一日に7本、8本走ると結構カラダに効いてくる。

乗る前に心配してたのはSR SUNTOURのフォークだけど、全然オッケー。FOXのTALASと比べてと言う話になると分が悪いけど、ロックショックスのREVELATIONあたりとだと動き自体は勝負出来るレベル。チョイ乗り、チョイセッティング出しの印象では。ライバル程デザインが垢抜けてないけど。

小笠原 - デザインと言えば、ONE-SIXTYとFREDDYは造形はともかくグラフィックデザインが。。

難波 - あれはねー、ヨーロッパのゲレンデに行くと解るんだけど、欧州の下り系ライダーの中ではああいうデザインのバイクが流行ってるのよ。デカール剥がしてマット塗装にしたりして。確かに日本人にはギョッとするロゴとカラーだけど、パーツのアッセンブルなんかを見ると例えばFREDDYの高い方だとメタルポリッシュで統一されてたりして、実はグラフィックデザインにもこだわっている。アメリカ市場をまったく気にせずにヨーロッパのトレンド限定でデザインするとああなるらしい。

更に言うと、160と180だけ他のMERIDAに比べて極端にグラフィックが違うのは、日本には入っていなかったけどヨーロッパではMERIDAの下り系専門のサブブランドでUMF(UNITED MERIDA FAMILY)というのがあって、ゲレンデDHコースに行くと結構走っていて、安いのもあって20代前半のダウンヒラーに人気なんだけど、そのUMFが今年からMERIDAブランド本体に欧州で統合された。

統合はしてみたものの、UMFのファンが多い、要するにあのグラフィックがウケているので、そのテイストをそのまんま受け継いでいると言う事らしい。乗ってない時はフーディーを着てサングラスつけてDCシューズ履いてのあのスタイルにはUMFのグラフィックがズキューンと来るのかもしれない。

小笠原 - 少しだけ理解出来た気がする。

難波 - 遊びで富士見、遊びでピックアップで山に上げてダウンヒル。という人がいったい日本に何人居るのかは知らないけど、それで考えるなら選択肢に入れて良いモデルだと思う。富士見に確かMERIDAの試乗センターがあるけど、そこにONE-SIXTYとFREDDYが常設されるのかどうかまでは知らない。

小笠原 - 120、140は?

難波 - こっちは時間が足りなくてインプレ出来る程乗り込めなかったのでまたの機会に。一言だけ言うと140はVPKがついてるので確かに良く登る。VPKの効果はあり。3分ぐらいしか乗らなかった(乗れなかった)のでそれ以上語れない。

小笠原 - 残念。

難波 - はい、では皆さんご期待のロード行ってみましょう。ランプレ・メリダ。

vol.4に続く
 
 

Talk:Kenji Nanba,小笠原崇裕(まとめ:Kenji Nanba)
Photo:The Bike Journal
date:12.11.29