3大ブランド旗艦ロードバイク徹底比較 Vol.3

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難波ー すると?

小笠原ー 何故か思ったより硬くない。ヘッドもBBもリアバックも。硬い硬いという評価を事前に聞いていたので、どんだけ硬いんだよと恐る恐る乗ってみたら良い意味での拍子抜け。この硬さなら全然OK。

難波ー 同感。最初の時に乗った印象と全然違う。一番最初のプレス向けのサンプルが余りに硬過ぎて不評(?)だったから市販品では実は剛性を変えていたのか何なのか理由は良く解らない。
スペシャライズドに聞いてみても、SL3の時はイヤーモデルで途中で剛性が変わった事があったけどSL4に関しては特にそういう話はないという。
とはいえ、これはどう考えても最初に乗ったアレとは違う。今回試乗して気になったので、近所のディーラーに乗りに行ってみたけどやっぱり硬くなかった。正確には硬過ぎなかった。絶対的には硬いバイク。とは言え、心配して身構えるような硬さではない。
最初のサンプルはマンホールを越えただけで奥歯にガツガツっと来る乗り心地の硬さがあったけど、これなら全然OK。

小笠原ー 最初のそれは、昔のアルミフレームが一番硬かった頃、キャノンデールのCAAD3とかの頃より硬かったんですか?

難波ー 全然硬かった。突き刺さるような硬さのエッジはカーボンなんで丸くなっていたもののドスンと突き上げられる硬さだった。特にヘッド周りが。
で、その硬かったSL4は忘れて、このSL4を語ると、一言で言って非常にレーシングバイクとしての完成度が高い。典型的現代ロードレーサーのお手本。

小笠原ー 僕の場合は、その硬かった時のSL4に乗っていないので前と比べてのインプレは出来ないんだけど、単純に今のS-Worksはこれだという事でインプレすると、すべての項目をチャートにしたときのバランスが良い。ここをもっとこうして欲しいとか、ああして欲しいとか、そういう不満が出てこない。

難波ー 奥歯に来るようなガツンとした衝撃も来ないし、踏んだパワー分しっかり進むし、普通に超軽量だし、コーナリングもスパッと決まる。直進安定性も高い。確かに不満らしい不満は単体では出てこない仕上がりになっている。

小笠原ー 穴がないバイクって言っちゃうと、インプレになってないっていう話があるけれど単体で見ると本当に穴がない。登り、巡行、スプリント、下りのどれかが飛び抜けているかって言うとそれがない。全部そつなくこなす。

難波ー スペシャライズドのバイクって、どれをとってもスポーツの道具というか機材感が強いんだけど、その中でも特に機材感が強い。レースのための道具。バイクは文句の出ない機材を用意したんで、ドラマを作る主人公は人ですよ。と言われてる感が非常に強い。

小笠原ー 確かに。人が中心。

難波ー あとね、乗った瞬間にレーシーなの。元々全然速くない上に現役(?)を引退して久しいので、レースなぞのんびりトライアスロンぐらいしかやらない自分でも、乗ると久々にロードレースしてみっか。という気分にさせてくれる。

小笠原ー 乗って最初に思ったのが、SL4はバイクに慣れるっていう作業が不要なんですよ。このバイクはこういう癖があるから、こーいうところでこうしないといけない。っていうのが、ペダリング、コーナリングひとつ取っても全然ない。なので、レース当日の朝に渡されてポジションだけ出して走って来いと言われても乗った瞬間に不安とかがない。こういう気分にさせてくれるロードレーサーって、あまり記憶する限りでは他にない。

難波ー そういう所が、乗った瞬間にレーシーだって感じさせてくれるのかもしれない。

小笠原ー 広島のチャレンジロードのコースって、下りのもの凄いグネグネが続くんですけど、あーいうコースでも、いきなり渡されても走れると思う。だから、ちゃんと走れる人ならどんなライダーでもこれは受け入れられると思う。

難波ー こういう、どっか飛んで行っちゃいそうな気分にさせない作り込みっていうのは偶然作って出来るもんじゃないので、その点やっぱスペシャライズド頑張ってる。としか言いようがない。

小笠原ー 決定的に良い所を伸ばしたんじゃなくて、悪い所を全部潰してみた。っていうバイクですね。ただし、ひょっとするとヒルクライムレース専門職の人には物足りないって思われるのかもしれない。EVO、マドンと比べると、登りの軽快感はあっちに軍杯が上がる。フレーム重量云々は実際関係なくて、乗ってどうかの話。

難波ー 自分で買ってロードレースするならこれを選びたい。なんでかって言うと、どれを選んでも最初から勝てない訳ですが、勝てないなりにレースしてるぞ感の演出が半端ないので。
あとS-Worksを語るならサドル、シューズ、それから余り言われないけどジャージも含めてセットで考える必要があって、そこまで含めたS-Worksキットの完成度は非常に高い。スペシャライズドのシューズとサドルが良いのはもはや否定のしようがないので。そこまで含めてバシッと着こなして乗りたい。

小笠原ー トレックなのにスペシャのサドル。と突っ込まれる心配はSL4ならない。遠慮なく全部使って、サマになるっていうのは機材として正しい。

難波ー SL4乗るなら全部セットで。実は余り知られていないけどスペシャのショーツパッドとサドルの相性は絶品なんです。

小笠原ー 今回はそれらを全部揃えて乗っていない訳だけど、ヘルメットまで揃えてSL4に乗るとこのバイクの印象がもう1レベル上に行くと思う。そこまで含めてスペシャライズド。

難波ー と上げた所で一言言っておくと、あのチェーンリングはない。

小笠原ー ああ、10速&11速兼用と書いてあるあれですか。チェーンの幅が絶対的に違うんだから両方対応なんかあり得ない。

難波ー 格好はいいけど、素直に純正のチェーンリングを使うべきでしょう。ただしFACTカーボンクランクは剛性高くて宜しいかと。

小笠原ー まとめると、これ1台で練習から、あらゆるジャンルのレースまで何でも走るよ。という人には良いと思う。

難波ー ただし普通の人には200kmを超えて走る場合には、初期型と比べて硬くないとはいえ、この剛性は辛いかと。週末の超ロングライドがメインなら、ターマックじゃなくてルーベか他のを選んだ方が良い。

小笠原ー SL4は一旦このくらいにして、最後にもう一回まとめなおすとして、次はEVOいってみましょうか。

Vol.4に続く
 
 

talk:Kenji Nanba,小笠原崇裕
photo:Kenji Nanba,The Bike Journal
date:13.3.07