Long Term Report。日本語に訳すなら長期インプレッション。気がつけば、自転車のインプレッションを雑誌などの紙面で行ってもう10年を超えているが、その経験から考えると自転車の印象というのは、まず触って叩いて持ち上げて落としてみると3割ぐらいの事が見えてくる。例えば、クロモリスチールのフレームなら明らかに重いし、叩いたりすると音叉のような振動が返ってくる。ウルトラハイモジュラスカーボンをメインチューブの構成材に採用したフレームは、爪の先でコツンと叩くとミディアムモジュラスとは違ったパキッとした感触を返してくるし、勿論持ってももの凄く軽い。この印象と言うのは、実際に乗ってみると裏切られる事はまずない。なのでこの時点でそのバイクの3割は解ったと言える。が、これではバイクに乗っていない訳でインプレッションにはならない。あくまで触っただけ。言うならば、確度の高い妄想。

次に300m乗ってみる。新製品の発表会場、特に欧米メジャーブランドのイヤーモデル発表会なんかでは、用意された時間は3時間なのに試乗車の種類はクロスバイクからチームレプリカまで数十種類という事も多々ある。とすると、1台に与えられる時間は必然的に短くなるので、本当に会場の中で少しだけという事もあるが、乗ったか乗らないか。と言うのは、想像の妄想なのか実際に乗ったのかの違い。これはもう0と1の差。やはり持って触っただけの印象とは、大半の印象は変わらないが細かい部分が大分違う。この時点で5割は解ったと言って良い。この時感じた事は、普通に平らな所を1時間程走ったぐらいでは大きくブレる事はないと言うのが経験。更に言うなら、小さな丘を越えて、タイトなコーナーを曲がったら見えてくる性能で6割。

バイクに乗っている皆さんなら当然解ると思われる、3時間もしくは100kmぐらい乗っていると見えてくるバイクの性能というのがあって、簡単な所で言うとロードバイクのスプリント向けのフレームだと、100kmも乗った辺りで並のライダーなら腰に来る。数分間乗っただけの疲れていない体だと「ああ、なんて進むフレームなのだ」と思っても100kmを超えると辛くて固いだけのフレームだったりする事もある。そう言った点でバイクが解ってきた時点で、まあ7割。ちなみに、新モデルのスペシフィックなジャーナリスト試乗会と言うのは大体、このくらいの距離で行われている。

ではあと残る3割は何なのか?やはり、実際に自分でエントリーフィーを払って出てみるレースでしか感じられないバイクの性能だったり、完成車状態からホイールをヒルクライム専用の軽量ホイールに替えて初めて見えてくる素性だったり、もしくは300km走って初めて見えてくる本性だとか、そう言った所。最後に手放す時に後ろ髪を引かれる思いか?なんて言う所まで見えてくると、そのバイクを全部理解したと言えるのではないかと思う。

Bike Journalの長期リポートでは、このようにバイクの全てを理解する為に、新型車を実際にプロレーサーの視点とホビーライダーの視点、複数の目から1台のバイクを長期間、例えば3ヶ月ぐらいの単位で実際に使って確かめて行きます。どうぞご期待ください。
 
 

Kenji Nanba