3大ブランド旗艦ロードバイク徹底比較 Vol.6

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小笠原ー Madone7。20年前の92モデルのTREK 5200に始まって、歴代OCLVロードの殆ど全部を乗り継いで来た難波さんがまずMadoneはどーいうバイクなのか語ってよ。僕も94モデルの5500から大体乗ってるんで語られなくても知ってるけど、読者の人は知りたい人も居ると思うので。

難波ー OCLVとはなんぞやとか、OCLVうんぬんの話からの人は、前にOCLVの生みの親に話を直接聞いているので、これを読んでほしい

小笠原ー とはいえ、少しはブリーフィングを。

難波ー 今回のMadoneでMadoneとしては4世代目だけど、実はトレックの主力ロードバイクって、この20年間、ガラッと大きく方向を変える事はなく地道にアップデートを続けて来て、その乗り味を時代に合わせてリファインし続けて来た。なので、一番最初の92年モデルのOCLVカーボンのロードを実はまだ持っていて年に2,3回乗ってるんだけど普段乗ってる先代Madone6に乗り換えても印象としては、方向性は大きく変わっていない。ちなみに、これが20年落ちの5200。

小笠原ー アッセンブルがダサい。。。

難波ー まあまあ。資料バイクなので余ってるパーツをつけただけなので。笑
トータルバランスと軽量かつ硬すぎないバイク作り。この辺がテーマになってると、歴代Madone&5000シリーズのチーフエンジニアも全員口を揃えて言っていた。トレックは剛性が低いとボコボコに他のブランドやドイツ系の数値大好き雑誌なんかに叩かれてる事があるけど、当の本人は完全スルー。比類無き最高剛性こそが良い事だとは一言も言ってなくて、ライドパフォーマンスがすべてだと言っている。

90年代は5200、5500、5900、5900Superlightと来て、MY04にMadone5.9が出て、すぐにMadone SLが出て、MY05に5.9SSLxが出て、MY06に6.9SSLになって、MY08で2代目Madone6が出て3年続くかと思ったら、MY10に3代目が出て、MY11に6SSLが出て、今回MY13で4世代目としてMadone7になった。

小笠原ー 時系列で見ると、アームストロングが連勝(後に剥奪)していた頃は毎年変わってたけど、最近は少し落ち着いているんですね。

難波ー 1台辺りの開発時間を昔より長く取るようになったとも言う。スケッチからはじめて大体2年位掛けて行っているとはいろんな人が言うので本当なんだと思う。ヘッド周りの剛性とかフォークの剛性とかは時代時代でブレがあるのか硬くなってみたり柔らかくなってみたりしたけど、そこから後ろの剛性バランスと快適性に関してはもの凄く変わったという印象はあまりなく、年々リファインして行った。と20年並べて考えるとそう思う。

そう言う話をエンジニアとすると、やっぱりMadoneらしさ。アメリカの社内ではMadonessとか言っていて、そういうのを大切にしているらしい。あそこのねじれ剛性があれなんだったら、こっちはこれ。みたいな体系化された数値。

小笠原ー で、今回のMadone、今までそのマドンネスのはドコに行っちゃったの?という位に見た目は大変身を遂げてるけど、12年のツール開幕の前日にベルギーでやった発表会では、どういう説明だったの?

難波ー トレックとしてもMadoneのモデルチェンジは失敗する訳にいかないんで、徹底的に色々準備したんでしょう。歴史的に有名な元修道院の美術館を貸し切ってやった発表会の説明では、第4世代Madoneのコンセプトは、エアロで、軽量で、ライドパフォーマンスに優れて、快適。この4つのすべてで、それに特化したライバルと比べても全部引けを取らないレベルに仕上げつつトータルパフォーマンスで他を圧倒。と社長自らシュレクやホーナーらと一緒に登壇して語っていた。

後ろの2つ、ライドパフォーマンスと快適さは、いままでのMadoneで培って来たもので既にトレック曰くナンバーワンなので、前のふたつを突き詰めましたと。




新製品のプレゼンテーションって言うのは他のブランドのバイクと新製品を比べてボコボコに言う事が多いんだけど比較的プレゼンでは他ブランドの事を話さない事が多いトレックが、ターマックもEVOも含めて競合の実名を上げてプレゼンをやったので、こりゃー本気だな。と思いながら聞いた。簡単にまとめるとそんな話だった。

小笠原ー その話、トレック曰くの部分は無視するとして、見て触れば乗らなくても何がやりたいのかは解りますがな。

難波ー で、問題はですよ。良くあるアップルの新製品発表のプレス向け招待状ってあるでしょ。「Something you want to see. Jul.7」みたいな。

小笠原ー ふむ。

難波ー そう言う手紙を受け取って、ベルギーに行った訳ですよ。そしたら出て来たのはMadone7。壇上で語ってる事は確かにもの凄いし、実物も破壊力がある。で、翌朝さて試乗となったら、肝心のモノがない訳ですよ。

小笠原ー 何が?

難波ー Madone7。。。

小笠原ー なんと。

難波ー 単純に量産が間に合わなかったのか、なんなのかよく解らないけどホテルの前にズラリ100台並んだのは全部Madone6。その時はMadone7はツールで使うチーム用のしかなく、新型のMadone6に乗った訳。

小笠原ー 新型のMadone6には僕は乗った事がない訳ですが、アレはどうだったんですか?

難波ー 説明を受けた通りで、確かに従来のMadoneに近い乗り味でそれがエアロになって、持つと確かに軽量になった。以上。雑誌にその時のレポートは書いてあるけど、確かにエアロになったのは下りで55km以上出して行くと気のせいではないぐらいのレベルで伸びて行くし、マドンらしい走りは健在。シートマストももちろん快適。でもフォークが硬い。左右はとにかく進行方向前後方向に硬いので突き上げが結構来る。みたいな話を書いたと思う。

小笠原ー 話だけ聞いて解釈すると、エアロと軽量化を追求した反面、トレックらしいフロントからリアまで乱れのないバランスが崩れちゃったと。

難波ー そう。なので、カタチも大きく変わったけど、自分で今乗っている先代の6.9、それを乗り換えるかというと、55km/hなぞそうそう出さないのでという事で思いとどまった。

小笠原ー 難波さんが思いとどまるって珍しい。

難波ー で、今回Madone7に乗って思い返すと、7シリーズをベルギーの発表のタイミングでプレスの人数分用意出来なかったのは失敗だったんじゃないかなーと思う訳ですよ。

小笠原ー もう一回乗らせて驚かせたかったとかそういう作戦?

難波ー かもしれない。そのくらい6と7だと印象が違いすぎる。

ということで、Madone7の今回の乗り比べインプレについて話してみましょうか。そういう予備知識無しに乗ってまずどう思った?

小笠原ー 最初は、ポジション出しとかネジの締まり具合とかチェックするために3台をとっかえひっかえクルクルっと乗ってみたんですよ。その時の印象はトレックがダントツで悪かった。

難波ー なぜ?

Vol.7に続く


 
 

talk:Kenji Nanba,小笠原崇裕
photo:Kenji Nanba,The Bike Journal
date:13.3.08