TREKがワールドツアーライセンスを取得

UCIワールドツアーに参戦するための狭き門、ワールドツアーライセンス。18チームにしか発行されないこのライセンスのひとつを現在、Radioshack Leopard TREKを運営するLeopard s.a(ルクセンブルク)からTREKが買収した。

TREKのチームのライセンスをTREKが買収?と思われる読者の方も居るかもしれないので簡単に説明すると、現在ツール・ド・フランスを含むUCIプロツアーを走る大半のチームはチームの運営会社によって経営・マネージメントされており、そこに対して投資しているスポンサーは1スポンサーでしかなく発言権は投資割合にもよるが、我々が想像するよりも大きくない。あくまで、誰が、どのレースに参戦するのか、どういう戦略でどのレースを勝ちに行くのかは、スポンサーの意向よりもチームのマネージメント側によって決断され、決定されている。

何故かというと理由は複数あるが、チームのマネージメント側にとっては現在のスポンサーも大事だが、その意向を汲んで勝てないレースに勝てない体制で望むより、確実に勝てるレースを狙った方が翌年以降の活動資金を得易いという理由もそのひとつ。

ツール開幕を週末に控えたこのタイミングで、TREKが買収を発表したのには、裏を読むと色々理由があるが、まずはランス・アームストロングの一件もあって欧州ロードレースからTREKが撤退するのではないかという憶測も流れているぐらいなので、それを払拭し、更に現在よりも深い関わりでロードレースにコミットしていく意思を表明するのに絶好のタイミングであったからであろう。

今ツールは始まったみないと解らないが、シャンゼリゼでのマイヨ・ジョーヌの獲得にはチーム力が足りていないというのが大方の下馬評であるため、タイミングとしては後よりも先の方が良いとの判断とも想定される。

もうひとつは、ファビアン・カンチェラーラの行方だ。春先から移籍の噂も流れたりしているカンチェラーラとの契約を延長するためには、ルクセンブルク主体でシュレク兄弟よりとされるLeopard s.aに任せておくより、TREKがリーダーシップを持って契約交渉に臨んだ方が話が速いとの理由もある。NISSANがスポンサーから撤退し、Radioshackとの契約期限も満期を迎えるタイミングでのこの発表は、もともと噂されていた事でもあるが、いざ表に出てみると相当に深い理由があってこのタイミングでの発表と考えるのが正しい。本当の理由はTREKのみぞ知る所である。

TREKのリリースでは、現行のRadioshack Leopard TREKとしての活動は2013シーズン中は続けられ2014年よりTREK主体のチームとして活動を開始するという。現行のチームラインナップの選手との交渉も行われており、早いタイミングで2014年の選手ラインナップの一部が発表されると書かれているが、この中にシュレク兄弟、カンチェラーラが含まれるのかどうかはやはり気にならないと言うと嘘になるだろう。

The Bike Journalでは春先に流れたカンチェラーラの移籍の噂に関して、春のクラシックで直接チームマネージメントスタッフに質問しているが、その時点での答えは「噂があるのは事実。決定した事は何もなく、私達は本人から何も知らされていない。ファビアンの事はファビアンのみが知っているだろう。既に何かを決めているのか、それともまだ決めていないのかも含めて。」と、噂を認める発言は得ている。

また、我々日本のユーザーにとって興味深い発言が英文リリース中から読み取れる。TREK副社長のJoe V氏の発言では、”The rider’s nationalities represent our major markets and can become an army of ambassadors at events across the world.”とある。知っての通りTREKにとっては日本は無視は出来ない規模のマーケットである。”TREKにとってのメジャーマーケットの代表として、それぞれの国から選出された選手が世界中のレースシーンでアンバサダーとして戦うであろう。”と言う事は、つまり、TREKのワールドツアーチームには、日本からもライダーが選出されて契約する可能性がある。いや、極めて高いと考えるのが順当である。
今からツールを走る日本人選手なのか?それとも、欧州プロレースで走っている選手なのか?コンチネンタルチームを走る選手なのか?契約があるとすると一体誰なのか?文中にもある通り、そう遠くないタイミングで発表されるとの事なので続報を待ちたい。

繰り返すが、現時点では明らかなのは「TREKがプロツアーライセンスを買収した。」との発表だけだが、裏を考えると相当に深い内容である。

プレスリリース原文:
FOR IMMEDIATE RELEASE

Trek and Leopard SA reach agreement for RADIOSHACK LEOPARD TREK’s license

(Waterloo, WI USA and Luxembourg) – Trek Bicycle has reached an agreement with Leopard SA to obtain its WorldTour racing license to create a new team debuting in 2014. A named sponsor since the team’s inception in 2010, beginning next year Trek will assume ownership of the team.

While the new team’s organizational chart and roster of athletes has not been completed, Trek plans to conserve a large part of the existing roster. Current General Manager Luca Guercilena will be retained to manage the team. Trek is currently engaged in negotiations with several marquee athletes that will be announced shortly.

“We’re thrilled to be able to reach this agreement with Leopard,” said Trek VP Joe Vadeboncoeur. “The team has established a great foundation of staff and athletes. Great Athletes Ride Trek is something we are incredibly passionate about and we are looking forward to everything the future holds with this new team. We will have the ability to create more and better marketing content. The rider’s nationalities represent our major markets and can become an army of ambassadors at events across the world. We can have better integration into new product development and the ability for hospitality and activation at events.”

“I am proud to hand over this project to the people at Trek Bicycle, who have been a very dependable and loyal partner over the past three years” said Leopard owner Flavio Becca. “When we started in the summer of 2010 we had a blank canvas in our hands, a puzzle. Now, three seasons later, we have a team that has won some of the biggest races of cycling with Fabian Cancellara and put two Schleck brothers from Luxembourg together on the podium of the Tour de France. I am also especially pleased to have launched the professional career of a young talented rider like Bob Jungels and that the team has become a major player in professional cycling. I believe cycling has entered a new era, in which a bike manufacturer like Trek Bicycle takes on full ownership of a team. I have taken a lot of pleasure in running this project and I wish the team and all its members a bright future.”

Trek will begin the process of seeking partners for the new team immediately and looks forward to presenting the team plans to potential sponsors. RADIOSHACK LEOPARD TREK will operate under current management throughout the remainder of 2013.
 
 

report:Kenji Nanba
date:13.6.27