Yahoo!がツール・ド・東北を主催する理由

11月3日に、第1回ツール・ド・東北が開催されたが、主催者が「株式会社河北新報社」(以下、河北新報)と「ヤフー株式会社」(以下、Yahoo!)の共同主催と聞いて、アレ?と思った読者は自転車歴がかなり長い。河北新報と言えば、日本の自転車競技黎明期に三笠宮杯東北一周自転車競走大会を主催しており、その後、三笠宮杯ツール・ド・とうほくに名前を変えて合計20回開催された伝説の自転車レース主催者(正確には、河北文化事業団が主催)だからだ。
なぜ、そのツール・ド・東北にYahoo!が共同主催なのだろう?IT企業がサイクリング大会?流行ってるから?震災復興慈善事業?Yahoo!がイベント事業に進出?気になるその謎にThe Bike Journalでは、東京六本木にあるYahoo!本社に伺って、その理由を聞いた。お答え頂いたのは、Yahoo!広報部の安田真奈さん。インタビュー形式でお届けしたい。

ー11月3日に開催されたツール・ド・東北、どうでしたでしょう?

今回はおよそ1500人の方々に出走して頂いて、20℃という季節外れの暖かさの中でほぼ全員が完走されました。第1回としては非常に盛況だったのではないかと思っています。

ー将来的にはロードレースも開催する、10年やるという話も伝聞で伝わって来るなど、想像以上にツール・ド・東北は本気のイベントという話が伝わって来ます。何故、ツール・ド・東北。何故、自転車なのですか?

3年前の3月11日の地震で壊滅的な被害を受けた三陸地方ですが、Yahoo!としても復興をサポートしたいという思いがあり、石巻にYahoo!の復興支援事業の拠点を2012年の7月に作りました。弊社はIT企業ですから、ITを活用して被災地の復興に協力して来た訳ですが、被災地を訪れた弊社代表の宮坂学は震災復興のどこかのタイミングでITを活用した復興支援だけでなく実際に人を送り込む活動をする事が必要だと思っていました。それが、ごく初期のツール・ド・東北のアイデアです。

ー何故、それが自転車イベントにつながっていったのでしょう?

それには2つの側面があります。まず、先程の石巻のYahoo!の復興支援事業の拠点が河北新報の石巻支所の一角をお借りして運営していたという偶然があって、弊社の宮坂と河北新報社の一力雅彦社長が会談した際に、実際に被災地に人を呼べるイベントを行いたいという話をした事がありました。宮坂がサイクリストであったこともあって自転車イベントという話が持ち上がり、それが河北新報社が以前主催されていた三笠宮杯東北一周自転車競走大会とつながったという事があります。

ー多くの人を呼ぶと言う意味では、マラソンや音楽祭の方が人を呼べると思うのですが?

もう一つの側面がそこなのです。もの凄く多くの人に来て頂く事も重要なんですが、ただ石巻に来て帰るだけでなく、実際に被災地の復興を見て頂きたいという思いがあるんです。三陸海岸というのはご存知の通りもの凄く長い距離で、マラソンは42km。往復で考えると僅かに21kmしか見る事が出来ません。自転車は、自分の力で一日で200km近くを走る事が出来ます。そうして被災地を自分の足で周る事で、見て感じた事を周りの人に伝えて頂けると良いなという思いがあって自転車イベント。という事になりました。

ー10年続けて行うという話がそこにつながる訳ですね。

10年という期間を通じて開催する事は、弊社としては既に決めています。10年間継続して被災地の復興を見続ける事で、見えて来るものと言うのがあると思っています。10年というのは、10年で終わると言う事ではなくて、まずはひと区切りとして10年は続けます、その先ももちろん続けて行くつもりで考えたいと思っています。

ー公道を使った世界クラスのロードレースになるという話も聞こえて来ますが?

メジャーなイベントにしたいという思いはありますので、ロードレースというのも一つの選択肢として考えてはいますが、ルートや安全上の問題、自治体との話もありますので、今すぐ、来年にロードレースを行うと言うのはあまり現実的ではありませんが、10年続けて行く上でどこかのタイミングではあり得ない話ではないと思います。

ーYahoo!では、他にも東北でイベントを企画していたりするんでしょうか?

ご存知の通り、Yahoo!はIT企業ですので大きなイベントを主催するというのは、実はツール・ド・東北が初めてなんです。なので、他にイベントを始めるという計画は現在ではありません。弊社の震災復興事業としてツール・ド・東北を地元に根付いたイベントにして、人々に三陸を訪れて頂いて、復興を支援するというのがこの先の目標ですね。

ー来年はどんなイベントになるんでしょうか?

開催時期も含めて色々なアイデアがありますが、まだ公表出来る段階ではありませんが、この先10年間で年々大きくなって行くイベントにしたいと思います。是非来年の開催をお楽しみにしていてください。

ーThe Bike Journalとしても、ツール・ド・東北の今後に期待すると共に来年は参加してみたいと思います。お忙しいところありがとうございました。
 
 

interview:Kenji Nanba
photo:Yahoo!
date:13.11.12