別府史之に聞く39+3の質問

再来週からのシーズン入りを前に一時帰国した別府史之に、The Bike Journal公式Facebookページで募集した39の質問を聞いた。

難波ー 今日はTour Mediterraneenでシーズン入りする直前なのにお時間を取って頂きありがとうございます。「別府史之があなたの質問に答える!」という事でですね、たまにはオンラインメディアっぽい双方向でライブなコンテンツを配信しようという事で、読者の皆さんから質問を集めてみました。もの凄く大量の質問が集まった訳ですが、これはどうかなー?という質問を除いて、39に整理して来ましたので、答えて頂けますか?

別府ー 10問程度と言っていましたが、時間が許す限り全部答えましょう。

難波ー 流石欧州プロのファンサービス。

別府ー ではどれから答えましょう?

難波ー いきなり公私混同ですが、個人的な質問をしてもいいですか?「別府選手は、トレーニング、レース中は常に日焼け止めを塗っているのでしょうか?」

別府ー 冬場はともかく、シーズン中は常にしっかり塗っていますね。ステージレースではリカバリーが大事。日焼けは疲れますからね。
オーストラリアなんかで走るとオゾン層の問題もあってもの凄く日焼けします。なので極力肌に優しく出来るように心掛けています。疲れもありますが、日焼けのし過ぎは皮膚ガンの因子にもなり得ますから。

難波ー なるほど。では、皆さんからの質問。まずは、「過去のチームで乗っていたバイクはチームが変わったら返却しているのですか?それともプライベートで乗っているのですか?」

別府ー バイクに愛着はありますが、バイクは基本的にチームの持ち物なのでチームが変わったらすべて返却していますね。

難波ー すべて?

別府ー 返却です。

難波ー 「辛い、苦しい壁に当たったとき、どのようにして乗り越えてきたのですか?また、乗り越えてきたことによって自分に何か変化や成長はありましたか?」

別府ー やっぱり、自分が自転車に乗ってきて、一人じゃないっていうことがもの凄く大事ですね。苦しい時でも応援してくれるファンの後押しがあるから頑張って来れたかなと思いますね。

難波ー 流石プロ。。。次です「練習が辛いなと思う日はありますか?そんな時、お休みする事はありますか?モチベーションを保つコツを教えて欲しいです。」

別府ー 練習が辛いなと思う日は当然ありますね。極端に疲労が溜まっている日は休んだりもしますね。気持ちが乗らないときも練習しなきゃいけないんですけど、あまりに体が疲れているときに追い込むとマイナスに働くことがあるので、そういう時は休みますね。

難波ー なるほど。「レース中に楽しいと思うことはありますか?」

別府ー レースでもそうじゃなくても自転車に乗っている時は、しょっちゅう楽しいなと思って乗っていますよ。

難波ー 自転車は楽しい乗り物ですからね。笑 次です「日本で行ってみたい温泉地はありますか?」

別府ー また、黒川温泉に行きたいですね。

難波ー 別府温泉ではなく?

別府ー そういう答えを狙っていたんでしょうか?笑

難波ー 「小さな頃から自転車選手になりたかったですか?また、小さな頃からの夢は?」

別府ー もちろん小さな頃からプロの自転車選手になってツール・ド・フランスでステージ優勝する事が夢でした。

難波ー 是非、夢実現を。次です「英語とフランス語、どっちが得意ですか?」

別府ー フランス語ですね。

難波ー 「カンチェラーラは怖いんですか?」

別府ー いいえ。とても気さくで面白いですよ。

難波ー 「沿道からの日本語での声援ってちゃんと聞こえてるんですか?」

別府ー 結構聞こえる。ちゃんと耳に届いてます。

難波ー 「学生です。1ヶ月に低強度長時間と高強度短時間の練習を何対何ぐらいの割合が良いですか?」

別府ー ベースは有酸素トレーニング。1日1時間ぐらいはインターバルを入れていくのが基本になりますが、インターバルが1時間なのか30分なのか15分なのかっていうのは人によったりレベルによったりで変わってきますね。高い負荷のトレーニングをやりすぎると体に負担が掛かりすぎて来るので、やっても1時間ぐらい。

難波ー 特に若いうちは。と僕から付け加えさせてください。

別府ー そうですね。

難波ー 次です、「プロ選手でもプライベートで自転車に乗ることはありますか?」

別府ー マウンテンバイクが大好きなので、しょっちゅうマウンテンバイクで自宅の近所のトレイルに乗りに行っています。

難波ー 別府選手、ジュニアの頃はクロスカントリー選手でもありましたからね。笑

別府ー フランスのトレイルは本当に楽しいですね。リフレッシュとトレーニングを同時に行えるのでマウンテンバイクは良いです。

難波ー 「全日本選手権は出走されますか?新城選手との白熱した戦いが見たいです」

別府ー 予定は未定です。と答えさせてください。今シーズンの山場はジロ・デ・イタリアになります。まずはそこにフォーカスしてピーキングしていきたい。

難波ー 「きつい練習や、グランツールの最中は疲れが溜まっていると思うのですが、疲労回復で気をつけていることや実践していることがあれば教えてください。」

別府ー しっかり寝ることです。

難波ー まさに基本ですね。次です「トレックに乗ることが多かったと思うのですが、今まで乗ってきてトレックの印象はどうですか?」

別府ー 完成度が高いの一言につきます。完成されたバイクを作るメーカーという印象ですね。

難波ー 「あこがれていた選手は誰ですか?国内、国外を問わず」

別府ー プロ選手全員を尊敬していますね。ひとりひとり速さは違えど、持っているものがあるからこそプロとして走っている訳で、その辛さも苦労も解るからこそ全員リスペクトしていますね。

難波ー 「トレックのバイクで良いところはどんなところですか?」

別府ー 安心。完成されているから、あらゆる条件で安心して乗っていられる。任せられる。というところですね。

難波ー 「好きな食べ物を好きなだけ食べる事はありますか?」

別府ー 食べ過ぎるっていうことはあまりしないですね。常に8分目まで。

難波ー 節制は心掛けておられる。

別府ー 付け加えると、好きなものは最後に食べるタイプです。これで満足。

難波ー なるほど。「以前乗っていたマドン6に比べ、新しいマドン7、ドマーネの印象は如何でしょうか?」

別府ー これは大事な質問なので、長めに答えますね。以前乗っていたマドン6と比べると、マドン7は乗り味がガラッと変わって、マドンは尾ひれがついているような加速・・。んー、なんと言えば良いのでしょう?

難波ー トルクを出してゴンゴンゴンと踏んでいくと、リアが微妙にウィップしながら押し出してくれる、あの感覚でしょうか?

別府ー そう。それ。おいおい、どこまで行くの?っていうぐらい加速してくれますね。パワーを推進力に変えるバランスの作り方が凄く良くなっていますね。最初に乗った瞬間にこれは驚きましたね。あと、直進安定性が凄く良くなっていますね。下り、コーナリング、あらゆる条件で前に進むっていう事を考えて作ってある感じがします。

難波ー ドマーネは?

別府ー ドマーネは、まずショック吸収性がもの凄く優れている。まずはこれに尽きます。なので、コーナリング、バイクのコントロール性能もとても優れていて、長丁場のレースでは効きますね。これは一般のライダーでも、ロングライドしたりすると、スピードを維持できるという点でメリットが大きいでしょう。

難波ー 2台をまとめると?

別府ー パリッとキレのある走りで突き抜けているのがマドン、巡航性能を取るならドマーネかな。という感じですね。

難波ー 「自転車に乗る以外にしているトレーニングや体のためにしていることは?」

別府ー 体幹トレーニングやストレッチをしていますね。自転車に乗るための下拵えとしてやっています。

難波ー 「厳しいレースに挑む一番のモチベーションは何ですか?」

別府ー 厳しいこと、困難な事に敢えて向かっていきたいと思っていますね。厳しいは、チャンスですから。

難波ー 「全力でターゲットを追撃しているときに、呼吸や足が辛くなって来た時はどうしていますか?」

別府ー 先頭交代。笑

難波ー そうじゃなくて。笑

別府ー 集団に居て指示が入ったときも、小集団で先行を追うときも大事なのは落ち着いて自分のペースを守るっていうことですね。自分も辛いけど、前はもっと辛い。そう思うと言うより、それは間違いないですから。

難波ー タイム差が縮むのを見て、先行は追い込まれて行きますからね。次です。「世界各国の選手とコミュニケーションを取っていくコツはなんですか?」

別府ー やっぱりコミュニケーションを取ること。つまり喋ることですね。そのために、日本で何が起きてるかっていう情報収集は常に心掛けていますね。日本人なので自分の国のことが喋れるっていうのがコツですかね?

難波ー 「東京オリンピックは目指しますか?」

別府ー Pourquoi pas?

難波ー ん?

別府ー 英語で言えばWhy not。もちろん。目指さないと言う選択がある訳がありません。

難波ー 「強く、速くなるためにしていることはありますか?」

別府ー 地道なトレーニング。それ以外にありません。

難波ー 「体調管理で気をつけていることを教えてください」

別府ー 暴飲暴食はしない。

難波ー アスリートの鏡ですね。次、「走行中の呼吸で意識していることは何ですか?」

別府ー 呼吸の質問が多いですね。

難波ー アマチュアから言わせてもらうと、辛くなると口パクパクですから。

別府ー リラックスして無理のない自分のリズムの呼吸をする。ということは、意識せずに意識していますね。

難波ー 「ピークコントロールでされている事を教えてください。」

別府ー 体重管理です。

難波ー 「普段の食事の内容を教えてください。」

別府ー タンパク質中心の食事になっていますね。

難波ー ご飯とかパスタとかは?

別府ー あまり食べないです。肉などのタンパク質が中心でサラダなど。炭水化物は少し採るだけですね。もちろん、長く乗った日はパンやパスタもちゃんと食べますけど。必要ないときは食べません。

難波ー 体重コントロールとリカバリーを中心に置いているということですね?

別府ー そういうことです。

難波ー 「足がギリギリでどうしようもない時、どういう気持ちの切り替えをしていますか?」

別府ー よく言いますけど、人って限界だと思ったときの倍はいけるんですよ。足がギリギリだと思った時でも、脳が限界だと思っているだけで足は限界じゃないんです。なので、そう思わないようにしていますね。

難波ー 「大好きなハチミツの銘柄を教えてください」

別府ー これは色々ありますが、クリームタイプのハチミツが好きです。トロトロのハチミツではなく固まっているタイプという事ですね。

難波ー 「ファーストアタックをして逃げに乗れたとき、勝ちに向かってどんな戦略を考えますか?また、終盤自分はどんな所で勝負を仕掛けたいですか?ロングスパートで単独逃げですか?小集団スプリントでまくりですか?」

別府ー むむむ。

難波ー これは難しい質問です。展開次第、メンツ次第としか言いようがないのでは・・。

別府ー 逃げに乗ったときこそ、すべての状況を判断して焦らないで最後のゴールまでを意識してプランニングしてレースを組み立てる事ですね。走りながら、同じ逃げに乗っているライバルにどうやって仕掛けるか、後ろのペロトンの事も常に考えます。
追ってきているのは当たり前なので、逃げの途中で敢えてペースを落として、距離が少なくなってきた時に一気に仕掛けてみたりとか、そういう戦略を常に考えています。

難波ー 「怪我して走れない時に、焦る自分にどういう風に言い聞かせていますか?」

別府ー 怪我は、地道にやっていくしかないですからね。落車の怪我の場合は、怪我を治すことだけにまず集中しています。

難波ー 「ジュニア時代に高回転練習以外に行っていた練習は何ですか?」

別府ー 良くそんな事知っていますね。笑

難波ー マニアックです・・。

別府ー 自分より速い選手と走っていましたね。高校生時代は実業団の選手とトレーニングしていましたね。

難波ー 「いままで自転車競技をやってきて、一番嬉しかった、楽しかった事は何ですか?」

別府ー 自転車に乗れることですね。笑

難波ー 365日、いつでも乗れますからね。笑

別府ー 真面目に答えると、出会いですね。自転車競技をやっていたからこそ、いろんな人と出会えて来れた事が一番嬉しく、楽しいことですね。

難波ー 「長い海外生活で必ず常備している日本食はありますか?」

別府ー やっぱり醤油ですね。

難波ー 「なぜ、左耳にピアスを?」

別府ー 落車した時に30針縫っているんです。なので傷跡を目立たせないように左側にピアスをしているんです。

難波ー 「自転車以外でも趣味が多いと聞きますが、最近凝っていることは何ですか?」

別府ー 読書と写真撮影ですね。

難波ー 「レースを転戦していて世界のどこの国が好きですか?」

別府ー イタリアとフランスとスイスの国境にある「アオスタ渓谷」っていう所が人の手が入っていなくてもの凄く綺麗ですね。もの凄く好きです。

難波ー 「登りでのペダリングで意識していることは?」

別府ー 踏みすぎない。スムーズに回す事ですね。

難波ー 「自転車以外のスポーツで尊敬しているアスリートは居ますか?」

別府ー サッカー日本代表GKの川島永嗣ですね。

難波ー なぜ?

別府ー 親しい友人なんですが、彼を凄いなと尊敬しているのは今はベルギーのチームに居るわけですが、ゴールキーパーってチームの選手にとっては自分の背中を預ける訳じゃないですか。それを他国の、日本人の選手に任せるって言う所まで持っていけたっていうのが本当に凄いなと。で、日本代表でも活躍している。格好いいと思いますよ。

難波ー 読者の皆さんからの質問は以上ですが、実はジャーナリストの友人からも質問が入っていてこれも聞かせてください。「サガンがゴールするときにマウンテンバイクでトリックをしていますが、別府選手もマウンテンバイク出身として、何か用意していますか?」

別府ー 特に考えていないです。バイクはチームの持ち物なので変なことして壊しちゃうと大変ですからね。笑 勝つ事に集中したい。

難波ー 「欧州各地でレースが毎週ある訳ですが、どうやってチームに合流しているんですか?」

別府ー フランスのリヨン近郊に住んでいるんですが、主に飛行機ですね。チームの中に、選手の遠征をコントロールする担当者が居てチケットが送られてきて、決められた便に乗るとピックアップが来て空港からレースの拠点まで移動という感じですね。場所によってはTGVに乗っていくことも多いです。

難波ー なるほど。ということで39+3の質問でした。約束の時間まであと5分と迫って参りましたが、後少々インタビューを続けさせてください。

別府ー どんなインタビューでしょう?

難波ー フィッティングとトレーニングと今シーズンについて少々聞ければと思います。

別府史之に聞くフィッティングとトレーニングと今シーズンに続く
 
 

interview:Kenji Nanba
photo:Kenji Nanba
date:14.1.31