マウンテンバイク完組ホイールのベンチマーク的存在のクロスマックスシリーズ。その中でも最高峰のSLRをレポートしたい。クロスマックスが誕生し、SL、SLRと進化を遂げ、その進化とはいかなるものか?マウンテンバイクのホイールに求められる要素は多岐に渡る、重量、踏み出しの軽さ、耐久性は言わずもがなどんな場面でも必要とされるが、レースに焦点を絞って言うと、1つめはリム部分の剛性。ここは高ければ良いってもんではなく、石や木の根を越える際に高剛性のあまり弾かれて滑ってしまうようではいけない、程度なしなりというかショック吸収してくれないとタイヤがいかに高性能だとしても粘りが出ないのだ。この点でクロスマックスSLRは縦に硬い、縦というのは地面に対して垂直方向に対してだ。連続する木の根を越える場合にどうしてもハンドルをコジる事がある、こういった時に剛性が高すぎるとタイヤやハンドル&ステムに多大な負荷がかかり運が悪ければパンクのリスクがある。しかし適度なしなりがあるとホイールでのショック吸収が出来るので手に伝わってくる振動の当たりも柔らかくなり疲労軽減にもつながってくる。

この辺りのバランスはさすがベンチマーク的存在!と唸るほどだ。2つめは慣性の低さ。一度回りだしたホイールが止まりにくい方が良いというのは正解でもあり間違いでもある、マウンテンバイクの走り方は「加速し続ける」というもので、常に路面の抵抗によってバイクに強制的にブレーキがかかっている状態、その中でスピードを落とさないようにペダルを踏んで常に加速している。加速する場合にはホイールに慣性が大きく働いていると踏み出しが重く加速が遅い、これはロードでも同じ。マウンテンバイクレースの平均時速が20km/h前後、ブレーキをしてターンして加速し始める時のスピードが10km/hを切っている事も多くあり、いかに慣性が小さく踏み出しが軽いかは非常に重要。

クロスマックスSLRではリムサイドの切削のみならず上面も応力解析で耐久性を犠牲にしない極限まで切削され軽量化と低慣性に貢献している。実際に走るとスキー場ゲレンデのボコボコとした路面では身体に伝わってくる振動が柔らかいのに、ペダルを踏んだパワーのロスを生む事もなく進んでくれる。先程も触れた様に木の根などでコジってみるとリムのしなりが戻る際に推進力方向に働いている事が分かる、このしなりの戻りが早過ぎるホイールが多く、早いとハンドルが反対側に持って行かれるような動きをする。クロスマックスSLRではきし麺のような平べったいジクラルスポークがこの要素に大きく関わっており、粘るようなジワっとした戻りの感触なので特に泥のコンディションでは一気に滑ってしまう事が避けられる。3つめはハブの剛性。ハブに至っては剛性が高い方が良く、このハブが捻じれてしまっては内装されているベアリングが歪んでロスになり、ホイール全体としての剛性も上がってこない、スポークが生きるのもハブ次第。クロスマックスSLRではリムを伝わってくる振動で様々な動きをするスポークをハブ側では固定するのではなく、首の部分を適度に動かしてあげる事で振動を逃がしスポークの耐久性をも上げている。この部分が固定されているかのように遊びが無いホイールは、乗ると「パキパキ」と形容されるような乗り心地でオフロードを走ると突き上げが酷い。クロスマックスSLRでは適度な遊び部分が効果的で突き上げがしっかりと緩和され推進力ばかりか身体への疲労にも違いが出てくる。レース会場に行くと右を見ても左を見てもクロスマックスが多い理由は、レースに求められる要素のバランスが良い。尖がった部分は無いが誰でも気を使う事無く使用できるだろう。