メイドインジャパンの情熱。MIYATA JAPONストーリー Vol.3
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MIYATAの最高級スチールフレームが製造されなくなって10年以上が経っていたが、ミヤタの社員が使われなくなった茅ヶ崎の工場を探すと、その片隅で職人さんが当時使っていた治具はカバーを掛けられて、いつか使われる時の事を待っていたという。

「日本のフレーム製造では主に平板治具という治具が使われていて、これにヘッドをセットして、そこを起点にセンターを出して行くんです。一方で、ミヤタではヨーロッパのOEMを多く受けていたので立体型の治具を使ってBBを固定してフレームのセンター出しをしていく手法を取っていました。」

どちらの治具にもそれぞれに特徴のあるセンター出しの方法だが、復活したTHE MIYATAでは職人芸の精度を実現するために新規に製造した平板治具の両方の治具を使用してフレームの芯出しを行っているという。その製造台数は、1人の職人さんが0から10までを担当して月に僅か3.5台。(塗装工程は別の職人さんが担当)

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「きちんとしたフレームを1本作ろうと思ったら1週間じゃ無理。9日程は掛かります。会社はね、もちろん月に5台、6台作れって言ってきますよ。でもね、自分が満足出来ない品質のフレームを作るぐらいだったらミヤタに戻って来てません。

1本30万円近くするフレームですからね。オーダーを受けて作ってると、それに乗るお客さんの顔が浮かんでくるんです。30万円のフレームって一生に何度も買える物じゃないですから、満足出来ない仕上がりの物は出せないですよね。

ミヤタにとってTHE MIYATAっていうのはそういうものなんです。単なる商売じゃない。世界に向けて、ミヤタの物作りっていうのはこうなんだって言うのを見せるための看板でもありますからね。だから、世界のフレームビルダーの人にTHE MIYATAを見て欲しいですね。きっと、フレームビルダーにしか解らない、細部へのこだわりが解って貰えると思います。」

と職人さんは言う。

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近代自転車の誕生から、100年に渡って主役を務めてきたスチールフレーム。最先端の有限要素解析を駆使して作られたカーボンファイバーフレームには、いわゆる性能面では勝負にならないが、一方でTHE MIYATAの追い求めた物は、物としての精度、そして造り込み、そして感性性能だ。

同時にそれは、昭和の時代に置き忘れてしまった日本の物作りの信念を2014年の今に現実として体感出来る最後の機会なのかもしれない。

「カーボンのフレームの方が軽いし速いかもしれない。でもちゃんと芯出ししたスチールフレームの気持ちよさは乗る人が乗ればきっと解って貰えると思いますよ。」

この、日本の職人芸を後世に語り継げるのは、月に3.5台しか製造されることのないフレームを手に入れることの出来た幸福なユーザーだけであろう。

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MIYATA JAPONインプレッションに続く

MIYATA JAPONオフィシャルサイト
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Miyata Cycle、Kenji Nanba
date:14.4.2