世界初公開!M9000 XTR完全レポート Vol.1
 
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2014年4月12日。MTBの歴史にとって、今日この日はひとつのターニングポイントとなる事は間違いない。ひとつの歴史が終わり、そして新しい時代が始まった。

1992年に誕生した世界最高のMTBコンポーネント、シマノXTRが第6世代へとフルモデルチェンジし世界同時発表されたのだ。M9000シリーズと名付けられた新型XTRは、従来の3桁から4桁へと変更されたモデルコードが表す通り、すべてが変わった。性能が刷新されただけでなく、M9000 XTRの誕生は、同時にMTBのあり方、MTBとはの次元にまで踏み込んだ刷新である。世界初公開となる今回のレポートでは、その新しいMTBの世界について述べる。

世界最大の複合自転車イベント、シーオッター・クラシックに合わせて開催された報道向けスペシャルイベントで発表された新型XTRを語る前に、アメリカ、そしてヨーロッパで今起きているひとつのムーブメントについて紹介しておきたい。なぜなら、このムーブメントを語らずして新型XTRを語る事は不可能であるからだ。その名をENDUROという。

10年程前にフランスで始まった登り区間はタイムを計測せず、下りのみの区間のタイムで競いゴールを目指す形式のレースは次第にエンデューロと呼ばれるようになり、現在の中心的なフォーマットではレース中に3回のタイムドセッションが設けられ、それぞれのタイムドセッションは下り中心でヒルクライムは10-15%以下と定められている。スタート地点からタイムドセッションのスタート地点までや、タイムドセッション区間同士の間のリエゾン区間のタイムは計測されない。しかし、ヒルクライムを含む過酷なリエゾン区間を次の決められたスタートタイムまでにクリア出来ない場合は失格もしくはペナルティとなる。

下りと登りの双方のパフォーマンスを要求されるエンデューロの詳細については別項にて詳しく紹介するが、このスタイルのレースが、この数年間の間にヨーロッパとアメリカで、文字通り爆発的な人気となっている。それは、かつて観た事のない程の勢いであり、ある超大手ブランドのブランドディレクターの話では、3000ドルを超えるバイクの30%近くがエンデューロバイクとなり、00年代中盤までの販売台数の中心的なカテゴリーであったクロスカントリー系は全ジャンルを合わせても過半数を下回ろうとしているという。

その流れを受けて、シマノはMTBのこれからを大きく左右する決断を下した。新型XTR M9000シリーズのENDURO対応である。

XCレーシングコンポーネントの頂点として君臨して来たXTRが、その用途としてENDUROレーシングを同時に掲げた事の衝撃は果てしなく大きい。しかし、同時に、もちろんクロスカントリーコンポとしての性能を何か妥協した訳でもない。相反するように見えて、クロスカントリーとENDUROの双方に求められるパフォーマンスは、ヒルクライムとダウンヒルで共通している。求められるパフォーマンスレンジの主軸の位置が違うだけだ。

つまり双方のパフォーマンスを極限まで高めれば、自ずと双方の用途に対応出来るのだ。シマノのエンジニアはそうは語らないが、出された答えを逆から辿ると、ここに開発の焦点があった事が見えて来る。

それでは、新型XTRが見せるMTBの新しい世界を紹介しよう。

Vol.2に続く
 
 

text:Kenji Nanba
photo:The Bike Journal
date:14.4.12