Cannondale 2015 OverMountain特集 Vol.5「JEKYLL 27.5をENDUROレースで試す」
 
Vol.1をまだご覧でない方はこちらからご覧ください。
  
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日本からやってきた・・・と紹介を受けて村の人々に見送られて4人のグループでスタートすると、よく考えたらコースマップを渡されていない。ENDURO、ENDUROと色々と海外誌を読んでいたものの、未だにアジアでレースが開催された事がないので筆者自身もENDUROレースはこれが初めて。自分と同じ枠でスタートしたマレー氏に聞くとENDUROはそういうものらしい。(レースによっては事前にマップが配られたり、リエゾン距離と標高差のみが提示される場合もある。ENDUROワールドシリーズの場合は事前に完全試走付き。)

リエゾン区間にゴンドラがあっても良いし、レースも1日とは限らない。現在のENDUROシーンはUCIとは関係ない所で運営されているので大枠で決められた規則はあるものの比較的自由でフレキシブルなルールが適用されている。(注:UCIは昨年”ENDURANCE”レースに関する規則を制定しています。)

山の上に作られた白い村の周りは、スペインの山で想像されるようなゴロゴロの岩だらけで、この先にどんなコースが待っていてどれだけ登らされるのかは知らないけど、唯一解っているのはタイムドセッション1のスタート時間が1時間20分先という事。要するにどこまで行くのか解らないコースを1時間20分以内に走れということだ。
 
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記されたマーキングに従って白い壁の村の中を右に左に走るとまず気になったのは従来のJEKYLLよりフレームがゴチッとしている。旧型はセンターの剛性は高かったが、ヘッド周りは比較的柔らかめの作りになっていたのが、新型は斜めに振りながら踏んでも全体的に板のような硬さを持っている。キャノンデールのフレームと言えば全車ひとまとめに、10年以上前はゴチゴチ、ここ数年はロードもMTBも柔術的な程良い柔らかさを持っていたが今回のJEKYLLはヘッドからピボットまでが1枚のカーボンの合板になっているかの如く硬い。

同時にJEKYLLの場合、一番剛性が不足しがちなロッカーリンク部分に鍛造部品を採用して、ピボット部にはベアリングを2個並列に並べ15mmスルーアクスルで固定するECS-TC(Enhanced Center Stiffness-Torsion Controlの略)という仕組みを採用しているので、一般的なこのカテゴリーのバイクに比べてロッカーリンクとスイングアームの捻れ剛性が猛烈に高い。
 
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これがオフロードでどう影響するのかは解らないが「ヘッド付近とフレームの捻れ剛性がものすごく上がりましたね。」と走りながらマレー氏に聞くと「その通り。そこが新型の肝だ。」とウィンクしながら答えてくれた。

標高差で300m程の20%ぐらいの斜度の舗装路を一気に下ると未舗装のジープ道へと出た。試乗を兼ねたレースなので、「エレベート」と「フロー」のモードを行ったり来たりしながらどんなものかと延々と続くダブルトラックのアップダウンを繰り返すと、忘れていたのが27.5インチ。新しいJEKYLL27.5は、そういえば27.5インチなのだった。
 
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最大のトピックは27.5インチ化なのだが、筆者自身は既に多くの27.5のバイクを乗ってきているので、JEKYLLが27.5だからと言って、いわゆる26が27.5になった差以上の差は感じない。旧型と単純比較しても、ダブルトラックを走っている分にはバイク自体が劇的に変わっているので、よく考えると転がりが少し軽くなった、全体的な乗車位置が少し上がった、ハンドリングがほんの少しだけ29er寄りになったという事だ。

むしろそれよりも、「エレベート」と「フロー」モードの差が激しくなったということの方が大きい。従来は登りでも斜度が緩ければ「フロー」のままでも良いんじゃないかと思っていたが、今回は「フロー」にすると以前よりDHレーサー寄り、「エレベート」ではTriggerにかなり近い走りになっている。

緩い区間を走っての印象は、ヒルクライムに関しては従来モデルに比べて進化しているが、劇的という程のステップではなく3年分なりの進化。2.35幅のタイヤを履いて実測で12.3kg。12.3kgの95mmトラベルのバイクという数字よりは走りは軽い。斜度が10%を超えても登りは苦痛ではないけど、スカルペル並に登るということはない。

クルクルと軽いギアで回して登っていけば快適に登れるが、ハンドルに加重を掛けて踏んでいくと160mmトラベルのLefty SuperMaxがロックアウト(機械式で完全にロックアウトするのではなく、ロックショックスSIDのような油圧回路を硬くするタイプ)しても邪魔をするので、登りのタイムを競うような走り方には向かないし、そもそも160mmのバイクでそんな事をする人は多分居ない。

長いダブルトラックの登りを登り切るとシングルトラックの入り口にマーキングがしてある。一息ついて「フロー」モードに切り替えると、お手並み拝見と心の中で呟いてスペインならではのゴツゴツの岩だらけのシングルトラックに突撃して行った。
 
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Vol.6「ジキルとハイド」に続く

Cannondale 2015 OverMountain特集
Vol.1「ENDUROが世界を変える
Vol.2「ENDUROが世界を席巻した理由
Vol.3「新型JEKYLL 27.5、TRIGGER 27.5の詳細
Vol.4「マウンテンバイク2.0
Vol.5「JEKYLL 27.5をENDUROレースで試す
Vol.6「ジキルとハイド
Vol.7「ENDUROの神髄
 
 

report:Kenji Nanba
photo:Ale di Lullo, Kenji Nanba, The Bike Journal
date:14.5.20